泣いていられない
更新頻度がバラバラですみません。
最近、話の進め方や書き方に悩んでいまして...書いていてこれでいいのか? とか思うようになってしまって。
でも、この話を書いてている間になんとなく話の終わりのめどが立ってきたのでこのまま頑張ります!!
嫌われることなく無事に下の名前で呼び合える中になったわけだが......
「優くん、どの映画にする?」
「えーっとーどうしようかなー」
「別に急がなくていいからね。私、待ってるから」
「う、うん」
椎名がすごい積極的になった!
トイレから戻ってきた時も椎名から手を握ってきたし。今はもう腕を組んじゃっているくらいだ。
先の出来事で俺たちの仲は友達以上の何かには確実になったわけだが......
俺は横にいる椎名を見る。無垢な笑顔で俺が何の映画を見たいか選んでいるのを待っている彼女だが、当の本人である俺はそんなことを考えれてないんだ。申し訳ない。
あ、目が合った。くそ、かわいい......
「どうしたの? 優くん」
「い、いや、そうだ! 明莉ちゃんは何が見たい?」
先生! 救いの手を! お願いします!
「これ」
「これ? えーなになに......しぇぇぇえ!!」
『~これは最後の恋~ ラスト・ミッドナイト』って、俺知ってるぞ。これがちがちのやつやないか! 俺達が見るべきものじゃないから! どろどろの三角関係のやつだから!
俺のリアクションの真意は結局二人に伝わらず、これを見ることになったのだが......
「え? 優君?」
「あ、天野さん」
なんでこうなるの......
・
・
・
映画を見終わった俺達はフードコートで一緒に休憩を取ることにした。
「それにしても偶然だね。同じ映画を見てるなんて」
「そうだね」
天野さん......こんなところで会うことになるなんて。急で全然気持ちの前準備ができてなかった。心なしか前よりかは動揺を抑えれているけど......この人も一緒にいるとは。
「優君......」
「え?」
やばい、話聞いてなかった。
「優君も隅に置けないね。こんなにかわいい奥さんと娘さんがいるなんて」
「い、いや、奥さんって! 天野さんも知ってるでしょ! 同じクラスの椎名と亮介の妹の明莉ちゃんだよ!」
「むぅ」
え? 今椎名ににらまれた気がする。
「もぉー冗談だよ。わかってるよ。こんにちは、椎名ちゃん。こうして向き合って話すのは初めてだよね」
「はい」
無言で椎名を見つめ続ける天野さん。すると、突然抱き着き、たかが外れたように椎名の頭をなで始める。
「んーかわいー!!」
「あ、あの」
「どうして急にイメチェンしたの? 優君のため? そうなの?」
「そ、それは......」
「あ、天野さん。椎名も困ってるから、それくらいに」
俺が止まらない天野さんをなだめよとした時だった。
「ちゃんと名前で呼んで」
「え?」
「ちゃんと名前で呼んでほしい」
こんな時に何言って......でも、あの奥手な椎名が、自分を押し殺して、あまりやりたいことやしたいことを話さない椎名が、呼んでほしいって......
「天野さん。三尹を離してあげて。三尹はあまりそういうのが得意じゃないんだ」
これでいいんだよな、三尹。
「へーそんな関係なんだ」
三尹の体をゆっくりと離し、席に戻る天野さん。その刹那、何かをつぶやいた気がしたが、俺はそれを聞き取ることができなかった。
「優君と椎名ちゃんはそんなに仲が良かったんだね。知らなかったよ。ごめんね、椎名ちゃん。椎名ちゃんのくりくりお目目が可愛すぎてつい」
「私は大丈夫です」
「よかった。これから、仲良くしようね。椎名ちゃん」
「はい......」
流石、天野さんだ。天性の人当たりの良さでもう三尹と打ち解けている。それに比べて俺は。
俺は天野さんの横に座っている人物を見る。
「あ、私も紹介するね。と言ってもね、天智先輩のことは優君から紹介してもらったんだけど」
そうだ。気になる人がいるという天野さんに、俺が中学時代同じバレー部に所属していた天智先輩を。
「この人は一個上の天智先輩。優君に紹介してもらって今は付き合ってるんだ。この話はクラスのみんなには内緒だよ?」
「天智琉人だ。よろしく。青井も久しぶりだな」
「久しぶりです......」
「どうだ? 元気にしてたか? なんでバレーを辞めてしまったんだ。亮介は頑張っているぞ」
「はい。ちょっと......」
この人のことは昔から苦手だ。中学時代、部活では天智先輩とポジションが被ってしまって、先輩が現役の間はずっと勝てなくて試合に出られなくて、自信がなくなった俺は後輩にも追い抜かれて......
部活だけじゃない。勉強も普段の学校生活も全部そうだ。このひとにはすべてにおいて負ける気しかしなくて。
別に比べてる気もないし、先輩が見せつけているわけでもない。でも、事実ある圧倒的な差に俺は勝手に負かされてしまっていた。天野さんだってそうだ。
少しでも天野さんに喜んでもらおうと、話すきっかけを作ろうと先輩を紹介したのだったが、現実はこれだった。
先輩は何も悪くない。それでも苦手意識を持ってしまうのは避けられないものだった。
「そうだ! このまま四人でダブルデートしようよ! ね? 天智先輩いいでしょ?」
「ああ」
「優君たちは?」
最悪だ。これ以上、でも断るわけには......
「明莉ちゃんもう帰りたい」
明莉先生......!
・
・
・
その後、三尹を駅まで送り届けた俺は、今度は亮介の家に向かっていた。
「優君、泣かないで」
「うん。ごめんね。みっともない姿見せて」
まだだ。まだ泣いていられない。家に帰ってキャプテンイタリアンさんに愚痴るよりも先に、まだやることが残っている。




