決闘④
誰もが予想もしなかった、少女の勝利。
敗北した男は、修練場の真ん中で愕然と佇んでいる。
「おい、見たか!何だあの技は!?」
「避けたと思ったら、いつのまにか剣が!!」
騒ぎたてる周囲を他所に、ロードはふぅとため息を吐くと、呆然としているエリックの元に帰った。
「勝ったよ」
突っ立っているエリックに向かって、剣を押し付ける。
目の前の少女が勝ったことが、まだ理解できていないような顔だ。
「え、あ、ありが」
ありがとう、そう口にしようとした時、再び聞きなれた不快な声が耳をつんざいた。
「嘘だ!!!!!!」
面倒な事になった…ロードは心の中で脱力した。
身体を怒りで震わせながら、恨みごとのようにありえない、そう叫ぶ、先程ロードが打ち負かした男。
どうやら彼はまだ、自分が負けたことを認めていない様だ。
ロードが使った技、技という程でもないが、ただ単純に合気道で剣を流し、コテの要領で仕留めただけだが。
この勝負、最初からこの戦法で勝すると決めていた。
今の自分の身体では、真っ向から受けられないと危惧したからだ。
まさか軍に所属する様な兵士が、型も何もなく初っ端から突っ込んでくるとは思わなかったが。
お陰でいらん痛手を負った。
そうこうするうちに、ヒートアップした男は、再びロードに向かってきた。
さっきの様に受け流すか、いや、今は後ろに青年がいる。
受け流したら彼が致命傷を負うことになるだろう。
なら受け止める。
決断してから素早く、青年から剣を奪いとり再び奇声を発し振りかぶる男に向き直った。
キンッ
剣同士が爆ぜる音が響く、片方は男、もう片方はロード……ではない。
ロードを庇うように、白いマントを身につけた者が、男の前に立ちはだかった。
何が起こった?
すぐ様立ちはだかった相手を見上げるが、高身長のせいか逆光で誰かはわからない。
「あ、あなたは……」
相対した白マントが、ようやく口を開く。
「二等兵隊副隊長、ザロン・ブロック、私事での決闘を許可した覚えはないぞ」
「アロンザ大団長……」
先程とは打って変わって、男の声は震えていた。




