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鎌倉ヴァンパイア・ヴィンテージ ~独占欲強め銀髪メイド様は、私(の血)を独り占めしたい~~  作者: つきよ


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第44話 夏休み開始と最強の刺客(お母さん)

舞台は日本にもどりました。

景ちゃんと色々あった日から、今ではすっかり仲直りして、学校もこの集会とホームルームが終われば夏休みに入る。蒸し暑い体育館には、全生徒が集まっていた。


「長い夏休みになりますが、歴史ある我が校の生徒という自覚を持ち、有意義な時間をお過ごしください」

校長の好感が持てるほど短い話が終わり、事務局からの連絡ということで、大江理事長が壇上に立った。


「えー、事務局から一点。旧校舎の建て直しのための募金を募っておりますので、気になった方は事務局までお願いいたします」

校長の後で周りの生徒たちがざわついたり私語をしている中、黙々と事務的に話す大江理事長。どれだけの生徒が理事長の話を聞いているのかわからないが、こういう裏方の人がしっかり仕事をして世界は回っているのだろう。私は少し大人な考えを持ちながら、その話を聞いていた。


各クラスに戻ってのHRも終わり、いよいよ夏休みだ。景ちゃんはバンド仲間と文化祭に向けた練習があるとのことで、私一人で館に向かった。


メイド服に着替えて更衣室から出ると、久しぶりにアナスタシアさんに会った。


「しぐれ。お久しぶりです、元気でしたか?」

「は、はい! 元気でした!」

「しぐれ、少し体を貸してください」

言うなり、彼女は私をギュッとハグしてきた。


「ど、どうしたんですか?」

「ちょっと、このままで」

いつもの仕事モードな、感情が読めない言葉遣いだけど……何かアメリカであったのだろうか。


「何か、あったんですか?」

「やり残したことをしてきたのですが、少し過激なことが続いたので……」

「過激なこと? それは大変でしたね」

「そうだ、お土産があります」


体を離すと、アナスタシアさんはアメリカンな大量のお菓子と、古びた指輪を差し出してきた。

「ありがとうございます! 私、外国のお菓子好きなんですよね」

「あと、この指輪は何ですか?」

「これは、私……私たちの宿敵だった組織の者が持っていた指輪です」

「それって、特級呪物じゃ……」

「私たちヴァンパイアは、戦利品を大切な者に渡す文化があるんです。受け取ってください」

「そうなんですね……なんか、猫が捕まえた獲物を飼い主に渡すみたいな? なんかすごくビンテージっぽいし、このコンパスのマーク、どっかで見たことあるやつだ」

「そんなものです」

ヴァンパイアの文化って、本当に特殊だ。


「あの……それで……ご相談があって……」

私は景ちゃんとの約束のために、アナスタシアさんに景ちゃんと喧嘩したこと、そしてその時に交わした約束のことを話した。

「ということで……アナスタシアさんには、また館に戻っていただきたくて……」

「いいですよ」

「ですよね、難し……え?」

「喧嘩した件は聞いております。私はもともとソフィア様の護衛も兼ねていますので、館を離れるのはやはり難しいですから」


あっさり了承してくれたのはいいけど、これはこれでなんかモヤッとする。

「生を受けて十数年しか経っていない赤ちゃんと張り合うほど、私は子供ではありませんし」

アナスタシアさんは真顔で言い放った。

「どう転がっても、正室は私ですから」

「あ……いや……そんな、私は殿様ではないのですが……」

「ただ、たまにはそちらの館にもお泊りしていただければと」

「いったん、その件は持ち帰ってご返答します」


そうしていつものように仕事をして、書斎の清掃のために入ると、珍しく仕事モードのソフィア様がデスクに張り付いていた。

「お掃除してもよろしいですか?」

「ええ、もちろんよ。そういえば、もう夏休みに入ったの?」

「はい、ちょうど今日まで学校で、明日から夏休みに入ります」

「いいわね〜。どこか行くのかしら?」

「まったく考えてないですが、景ちゃんたちとどっか行こうとは話をしています」

「そうなの〜」


タイピングをしながら、ソフィア様が話を続ける。

「タイミングが合えば、今度一緒にイギリスか、フランスに行く?」

「海外!!? 正直行きたいですが……」

「旅費はこちら持ちよ」

「大庭しぐれ、満を持して行かせていただきたく候」

「その話し方おかしいからやめた方がいいわよ。本当に現金な子ね。いいわよ、日程が決まったら教えるから」

「ソフィア様と出会えて、この大庭しぐれ、光栄の至極でございます」

「はいはい」


私は特に部活もやっていないので暇なのだ。海外ってことはパスポートとか取らないといけないよね……やば、楽しくなってきた。


そして仕事を終えて自宅に着くと。

「あれ、知らない靴がある……」

先に帰っていた景ちゃんの靴とは別に、見慣れない女物の靴があった。

広間に向かうと、そこには見慣れた顔がいた。


「しぐれ、元気にしたはった?」

「ええ! お母さん! どうしてここにいるの?」

「ちょっと東京に用事があってな、そのついでに寄らせてもろたんえ」

「こちら、粗茶ですが……」

「堪忍え、気ぃ遣わしてしもて。おおきに」


見たことないほどガチガチに緊張した景ちゃんが、お茶を出していた。

「景ちゃんも大きなりはったなぁ。昔、何回かお会いしたことあるんえ」

「そ、そうだったんですね。母からもお義母様のこと聞いておりました」

「ともえさんとは大学が一緒でな、よう遊んでもろてたんよ」

「は、はは……そうだったんですね」

「それにしても、ともえさんに似てえらい立派な胸やなぁ」

同性だからギリ許されるノンデリ発言をするこの雰囲気、久しぶりだ。ちょっと安心する。

「お母さん、やめなよそんなこと言うのー」


「かまへんやないの〜。そんで、あんたたちお付き合いしたはるって聞いたんやけど、ほんまなん?」

和やかな雰囲気から一転、空気が変わった。お母さんの核心を突く攻撃は、いつも突然始まるのだ。

「え……えーと……そんな……かん……えーと……」

私がおどおどしていると、景ちゃんが真顔でこちらを見ている。怖いよ、たまにアナスタシアさんもやる目だ。

「まぁ、それに近い感じです……」

「へぇ……。今の時代、色んな愛の形があるんは知ってるけどな、ちゃんとしとかんとあきまへんえ」

「は、はい」

「しぐれはお父さんに似て優柔不断やさかい、あっちこっちに愛を振りまいたりしたら、あかんえ?」

「うっす……肝に銘じておきます」

「そないな言い方もそっくりやわ」


「お母さん、今日は泊まっていくの?」

「そうさせてもらうわぁ。そんで、あんたと景ちゃんがお世話になってる『吸血鬼のソフィアさん』ちゅうお人にも、ご挨拶しとかんとあかんしな」

「ええ!? そんないきなり??」

「そらそうえ。あんたの口座管理してるさかい定期的に金額見させてもろてたけど、えげつない貯金額になっとるしな。お父さんが言うたはった話がほんまやったら、一度お会いしとぉてな」


「……ちょっと連絡してみるね」

慌ててソフィア様に連絡したら、即座に『OK』のスタンプが返ってきたので、明日会うことになってしまった。

本当に、嵐のような人だ……。

投稿が遅れてしまってすみませんでした。

月に1回、体調が悪くなるのですが、今回は花粉症もあってダウンしてました。

これから投稿再開しますのでよろしくお願いいたします。

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