HP1から始まる《英雄》
更新遅れて誠にサーセンしたぁ!!
シロクロ・チェリーサイクル、略してシロチェルの方も投稿したんで読んでくだせえ!
[外道術師の研究所・素材倉庫]
「次はここ……」
書斎と同じ様に盾持ちの骸骨戦士を前に出し、その後ろからそおっと部屋を覗き込む。
そして目に入ったのは……瓶詰めの巨大な目玉が!
「うぎゃあ!」
『そう驚くな。ただの素材だ』
素材というように、目玉には【イビルアイの邪眼】とあり、確かに素材アイテムのようだ。
つまり、この部屋はその名の通りやばい素材がわんさか保管された素材倉庫……ということになる。
『ほれほれ。「根こそぎ奪い取る」のだろう?{影収納}が満杯になるまでかき込むぞ!』
「うぐ……」
自分の言ったことなので言い返せない。だができることならこんなでっかい目ん玉持ち歩きたくない……!
あやは渋々{影収納}の中に入れた。
『どんどんいくぞ。今日中に邪気の操作と魔力制御を練習せねばならんのだからな』
「うっす…」
強化したステータスに物を言わせて腕が分身する勢いで素材をイベントリに入れるあや。
【血塗れの十字架】【首無し騎士の霊炎】【混沌の欠片】【女帝蜂の蜜】【世界樹の葉】【死竜の肉塊】【一角馬のツノ】【黄金の薔薇】【ホムンクルスの核】etc……
中には【月の石?】や【???の光】、【■■■■■】など未鑑定のものもある。同時に【石】【カワンナの鱗】など拍子抜けするものもある……何故取っておいているのだろうか。
「エバー、入れた物覚えている?」
『おう。じゃんじゃん入れろ』
覚えている、というのは{影収納}のデメリットによるものだ。
{影収納}は、イベントリの200枠なのに対し、驚異の1000ものアイテムを収納することができる。が、しまった物はイベントリと違いリスト化して表示されない。そのため、収納した物を全て覚えておく必要があるのだ。下手したら入れて二度と取り出さない……なんてこともある。まぁ、全部ドバァーっと出すこともできるが。
今のところはエバーのお陰でそういった心配はしなくていい。便利だが使い所には悩むのが{影収納}だ。
「うおっ!……なんだ頭蓋骨か……」
あやが手に取ったのは人の頭蓋骨。びっくりはしたが、骸骨戦士達を見ていたら人骨に慣れてしまったせいか、たいして怖くはなかった。嫌な耐性がついたものだ。
「人の骨まで集めてるのか……」
あやが手に取ったのは人骨。きちんと全身揃ってる。しかも二人分。
『何かしら特別なものだと思うが……』
「えっと……【“操国”露羅の遺骨】と【“紅花”緋彩の遺骨】だって……うん?」
『“操国”と“紅花”ってさっきの書斎のやつですか?』
あの書類はこの二人の生前の記録について調べたものだろう。ほとんど何にも書かれていなかったが。
『ふむ……骨に名が残っているところを見るにやはり《英雄》か……』
「英雄?」
『まぁ、そう呼ぶに相応しい力を持つ者のことだな。せいぜい一人で国滅ぼせるくらいの実力があれば、その名は世界に残る。こいつらがどんな《英雄》かは知らんが……歴史的犯罪者かもしれんな』
『英雄なのに犯罪者ですか?』
『行いも英雄的なら、きちんと墓に納められているし、盗み出すこともできまい。おそらく、その辺で野垂れ死んだ犯罪者の《英雄》の骨を拾ってきたのだろう』
「犯罪者……」
あやはなんとなく頭蓋骨を正面から覗き込む。白い骨からは善悪どちらの存在かは感じない。
『まぁ、{死霊魔法}で蘇らしてやれば戦力増強が望める。それまでは{影収納}に突っ込んどけばいい』
「えー……お墓作ってあげない?」
『ダメだダメ。ぶんどるんだろう?』
「うぐっ」
あやはいやいや{影収納}の中に二人分の人骨を放り込んだ。
(蘇らした時ごめんなさいするんで勘弁して下さい……)
そんなことを思いながら。
図書館。水筒、財布なし。飴舐めた。
結果。めっちゃ喉乾く。




