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深夜バスには情緒を求めたい。情緒のない深夜バスには、だから乗りたくない。深夜バスには深夜バスの情緒というものがあるはずで、そのことを十分に理解していない深夜バスが、昼間の情緒をまとってやって来ることがあったりすると、はなはだ困惑し、迷惑する。人が昼間ではなく深夜に、深夜バスに乗ろうとする意味を、深夜バスは十分にわかっていない。それが最終の深夜バスであったとしても、わたしはその深夜バスを見送ってしまう。当然のように。
そんなわたしの気持ちをいくらかでも汲んでくれたらと思うのだけれど。それなのに、それなのに…
そのときも情緒のない深夜バスを見送り、ひとりさびしく家まで歩いていた。
―このまま歩いていくと、あのお店の前を通るなあ
そんなことを思いながらだった。




