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第十三話 修行のはじまり(2)

「もう一度だ」


ヴァルクの低い声が森に響く。僕は息を整えながら手を前に出した。

朝から何度目だろう。


「……火」


指先に小さな火が生まれる。

だけど――

ボッ

一瞬で大きくなり、すぐ消えた。


「……あ」


僕は慌てて手を引っ込める。

ヴァルクは腕を組んだまま言った。


「魔力を押し出すな」


「え?」


「流れを作れ」


僕は首を傾げる。


「流れ……?」


ヴァルクは地面に枝で一本の線を引いた。それを指でなぞる。


「魔力は水と同じだ。流れがあれば自然に動く。無理に押せば暴れる」


僕は真剣に聞く。

孤児院ではこんなこと教えてもらえなかった。

わかるようで、わからない。

まだ、僕6歳なんだけど、子供相手にこの説明って、ひどくない...?


「……もう一度やってみろ」


僕は深く息を吸う。目を閉じ、集中する。

言われたことを理解しようとただ必死で体の奥を探る。すると――魔力が見えた。

赤い光。

青い光。

緑。

茶色。

金色。

黒。

たくさんの光がぐるぐる回っている。


「……」


僕はその中から赤い光を掴む。


「……火」


手のひらの上に

小さな炎が生まれた。ゆらゆら揺れる炎。さっきより安定している。

でも次の瞬間。

ボンッ


炎がはじけ、枯れ葉が舞い上がる。


「うわっ!」


僕は思わず尻もちをついた。

ヴァルクは動かず、ただ静かに見ている。

僕は慌てて立ち上がる。


「す、すみません!」


ヴァルクは短く言った。


「問題ない」


そして少し目を細める。


「魔力が多すぎる」


僕は苦笑する。


「でも僕、弱いです」


ヴァルクは首を振った。


「違う、多すぎてまとまっていない」


僕は驚く。


「そんなことあるんですか?」


ヴァルクは小さく息を吐いた。


「普通はない」


そして指を一本立てる。

ヴァルクは続ける。


「火が安定してできるまで、他の魔法は一切考えるな。」


僕は少し驚いた。


「え?」


「まだ早い」


それだけだった。それ以上説明しない。僕は少し不思議に思いながらも


「……分かりました」


と答えた。そしてヴァルクは足元の小枝を一本拾った。そして僕の前に突き出す。


「この先に火を灯せ」


「え?」

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