第5話「また逢える時まで」
こんにちは、作者の飽き性の少年です。
この物語は、前世の記憶を持つ少年ノルディアの、少し奇妙な日常と冒険を描いています。
理不尽な孫の手様の作品、無職転生に影響を受けつつ、
自分なりの物語を書いてみました。
多少妄想全開な描写がありますが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
俺はラクロ、ラクロ・ノーリスだ。
村の外れで道場の師範をしている
来る生徒は大体貴族なので、金は結構稼げる。
「師匠、この技ってどうやって習得するんですか?」
こいつは俺の弟子、フィリアだ。
物覚えがよく、身体技術も高いので将来良い
剣士になると踏んでいる。
あまり俺や他生徒には興味がないようだが、剣術は別人のように食いつく。
「この前教えたように、まず構えが大事なんだ。足は肩幅、利き手の反対側の足を...見せた方が早いか。一気に踏み込んで、こう!」
「理解しました。一気に踏み込んで....こう!
ですか?」
壁には傷一つ付けず、斬撃はしっかりとすり抜けている。
「よし、合格だ。お前はこれから魔人級を名乗って良い」
驚いたような表情をしたがすぐいつも通りの顔に戻り言った。
「私は技を覚えただけなのに、いいんですか?」
本当は試練を受けて全てをクリアしないと魔人級にはなれないのだが...
めんどくさいから今度教えよう。
「あぁ、いいぞ」
月日が経った。
フィリアはあの日以降も切磋琢磨と努力をしてこの道場一番の弟子、ロラディアと剣戯をするらしい。
2人とも実力は魔人級...良い戦いが見れそうだな
「では、初め――!!」
戦いは終わった、結果はロラディアのボロ負け
俺が鍛え抜いた最強の弟子だったんだが。
無敗記録は無事女の子に抜かされた
「なんなんだよお前、魔術使ってんだろ」
「使ってない。あんたの実力不足」
また火に油を注ぐようなことを...
「うるせえよ、もう知らねえ。こんな泥臭え道場やってられるか!」
「ちょっとまて!ロラディア!」
どこかへ行ってしまった。
俺が決闘させたのが間違いだったのか?
「私は帰ります、さようなら師匠」
「あぁ、分かった」
俺は追いかけなかった。
ロラディアは気の強い子だったからきっと自力で立ち直ると思っていたんだ。
だが
ロラディアは帰って来なかった――
この時の間違いが今世史上一番のやらかしになるとは思いもしなかった。
その日は、いつも通り道場にて授業をして帰宅していた。
何やら森の中にある街で何かがあったらしい
「おい!あんた、早く逃げろ。ここは危険だぞ」
「何か起こったんですか?」
「分かんねえよ!とにかく早く逃げろ」
ここで街の人々を助ければ報酬でも貰えるかもしれないと思い。
街へ向かった。
「オマエラ
助けて!
ナニニゲヨウトシテイル」
魔人...か?
どういうことだ、なんでこんな田舎に
「コノ
いやだ!
ニンゲンをカエシテ
誰か!
ホシケレバコッチヘコイ」
あいつ、何を言ってるんだ。
まるで"二重人格"みたいだ
「助けて!
マダカ?ハヤクシナイトコイツを
師匠!!」
魔人の腹が急に蠢いて、何かが出てきた。
「ロラ...ディア...?」
「ソウカ
やめて!
コイツのシショーか、ミオボエがアルトオモッタ」
なんでだ....ロラディアがなんで魔人の体に、食われてた?胃から突き破った?
「知らない人
サンビョーカゾエル
に誘われて!
3
変な注射ウたれタ!
2
タスケて師匠!
1」
まず体を動かせ!
一気に踏み込んで...刃を斜めに
「一直線ッ!!」
仕留めた、首を切断した。
あとはここからロラディアをどうやって助け出すか
「よケテ!」
咄嗟に片足を魔人の背後に突っ込んで避けようとした。
完全には避けきれなかった...足の指が3本も逝った!!
「アーァ、オマエのセイでヨケラレタゾ。モーオコッタ」
おい!何するつもりだ...
やめろ!
「いヤダ、たす」
目の前で物凄い衝撃音が起こったと同時に、ロラディアの声が消えた。
魔人が、自分の腹を喰った?
「おい....やめろ離せ!」
首元に剣を振った、魔人の首ではなく。
ロラディアの首を。
切り落としていた――
「あ....」
ロラディアの首を自ら切り落とした自分ではなく
先に魔人を責めていた。
「何やってんだよお前...ッ!!ローラスが、ローラスがぁぁぁぁぁ!!!!」
「ニンゲン、オモシロイ」
この時の俺は何も気付かなかったが、魔人は口数が減っていた。
「あァ、あぁ、お..前のせいで、ロラディアが...ァ」
「ニンゲン、オマエ、セイダ」
俺は周りや片手に持っている村人のことなど全て見えなくなり
ただひたすら魔人への殺意を溜めていた。
この後のことは覚えていない。
気が付いた時にはロラディアの首は無くなり。
村人も村も周辺の木々も消え去っていた。
小さな女の子ただ1人だけが俺の背中にしがみついていた。
魔人への殺意は無くなっていて、魔人の四肢がそこら中に散らばっていた状況に。
俺は全て終わった、魔人は倒したと勘違いしていた。
――1週間後
あの日の出来事は新聞に載って、俺は英雄となった。
ロラディアの首を切った時の感触が、残っていたため、数週間道場を休み。
久しぶりに道場へ来た時だった。
「お疲れ様です♡よく休めましたか♡」
フィリアの口調や態度が急変した。
後から聞いた話だが、あの日助けた女の子がフィリアの親友だったらしい。
女の子から好かれても何も思えなかった。
俺は人殺しなのだから
――一年後
子供が生まれた、名はノルディア。
とても愛着ある名前で、素晴らしい剣士になると思い名付けた。
ノルディアは見た目こそいいものの...
少し大人っぽく、接し方が難しかった。
家事は妻のクロアに任せっきりだったので、メイドを雇うことにした。名前はリリア、なかなかスタイルが良いのでいい契約をしたと思っている。
ロラディアのことなどすっかり忘れていた。
そんなある日
後ろから気配を感じた。
魔術かと思ったが、体がフラフラしているのですぐ赤ん坊だと分かった。ノルディアだ
「ノル、なんでついてきてるんだ」
息子がついに剣術に興味を持ったのだと思い。
期待の目を向けた。
「昨日の魔法を見てどんな仕事をしているのか気になって」
興味を持ったのは魔術だったが、剣術にも興味を持つかもしれないと思い連れて行くことにした。
道中にて、ノルが昨晩俺が使った魔術を放って、イノシシの子供を倒した。
きっと剣術も上手くできるだろう。
なんやかんやあってフィリアとノルが決闘をすることになった。
しかも結果は意外にノルの勝利。
魔術を使っているのを見たので、ルール違反でフィリアの勝ちなのだが。
フィリアが怒っている、口を開こうにもどうにもならないと思ったので息子に託すことにした。
「死ね」
はぁ、もうダメだな。
元はと言えばノルが勝ったのがいけない、ここは叱らないとな。
「おいノル!何で泣かせたんだ!」
ノルも飛び出して行った。
そこで自分がやった過ちに後悔した。
放心状態になっていたところを生徒に正気に戻してもらい。
気配のする森へ向かった。
俺は立ち止まった。
信じられないものを見た。
数年前、崩壊したあの村で殺したはずの。
魔人がフィリアの腕を握り潰していた。
「ロラディア....」
「アツイ。マダヨワイ」
俺は"魔人"ではなく"ロラディア"と口走っていた。
この時、あの日の出来事を全て思い出した。
魔人はロラディアの人体改造が失敗したことによりできた突然変異だということ。
もしも....
「おい」
あの時完全に殺し切っていたら、ちゃんと追跡していれば....
ロラディアは、
「何やってるんだ。」
ロラディアの馬鹿野郎ッ!!
「マズイ、オマエはソウテイガイだ」
俺は今までに込めたことのない力で魔人目掛けて剣を放った。
瞬きの間に剣を削除し新しい剣を創造した。
左肩側に回り込みまたもや剣を放った。
全て命中、あとは首を切ったら2人とも助かる。
半径2メートル地点で、俺は動けなくなった。
俺のせいで魔人になったのに、ここで終わらせてもいいのか?
考える時間などあるはずもなく、時間は過ぎ去り。
ノルディアが魔人にナイフを突き刺した後ロラディアが飛び去るのを確認した。
俺はまた人のせいにしようとした。
「何やってんだノル。お前のせいでフィリアは」
フィリアがこちらを睨んでいるのに気づいて、とにかく何かしなきゃと思い、何も考えずに感謝をした。
何の想いもこもっていない感謝を。
そして1週間が過ぎた後も忘れられず。
仕事もせず家で座っていた
誰かが来た気もするが、何も覚えていない。
ただ自分の劣等感を強めることだけをしていた。
もう何日経ったかも忘れた。
裏庭で街を眺めていた、自分が何をしたのかも忘れていた。
思い出したくなかった
そんな時、息子が来た。
客人がいるので風呂に入れだと、まだ息子に怒りがあったが、怒る気力もない。
ただ息子の言うことに従った
風呂から上がる途中、久しぶりにリリアとクロアの顔を見た。
2人とも笑顔でこちらを見てくれた。
なんて言えばいいのかも忘れて何も言わずに裏庭に出る。
息子が連れてきたのはフィリアだった。
「ひ、久しぶりです師匠」
俺は顔ではなく腕を見ていた。
あの日俺の息子のせいで、俺のせいで無くなった腕を。
「フィリア...?フィリアなのか?」
ただただ絶望していた、俺に罵詈雑言を浴びせに来たんだろうと思った。
自分に怒ってきた父親を恨んで協力してるのかと思った。
フィリアは困惑した表情だったが、すぐ笑顔を戻った。
「今日は嬉しいご報告ですよ?」
俺はその言葉を聞いて口が緩み、いつも通り冗談を言った。
「2人揃って結婚のご挨拶でもしに来たのか?」
2人は笑ってくれた。フィリアは顔を赤らめて、ただの女の子だったことを思い出す。
魔王の血統に期待し過ぎていた。
女の子に。
「この世界には、剣術だけじゃない。いろんな戦闘技術がある。お前は新しい道へ進めたんだな」
俺は思わず感極まってしまい。
俯いて泣いた。
「何2人とも泣いてるの?しかも私は剣術の道を進みますよ」
ノルも泣いているのか、と思い顔を見たら
ノルと顔が合ってしまい、ぐちゃぐちゃの顔同士で苦笑いした。
彼女はすごい魔術を見せてくれた。
ギシュというらしい。
また剣士の道を進めると、彼女はそう伝えて泣き出した。
多分フィリアだけではこんなことはできない。
きっとノルとフィリア2人で頑張ったんだ
「そうか、良かったなぁ、2人とも」
俺は全てを過去の事と清算し、本当の想いを込めて感謝を伝えた。
「ありがとう」
――
「ていう感じだったんだよ」
「へぇー、そうなんですね。そんな辛い過去があったとは」
最近は父様と仲直りしてから毎日話をしている。
これがあるべき親子関係なのだ。
たまに街に出かけたり、散歩もするようになった。
人間関係で悩んでいた自分がここまで仲良くなれるとは前世の僕も想像すらしなかっただろう。
――二年後
「あぁもう!この前まで後一歩だったのに、全部ボロ負けじゃない!!」
フィリアは義手にも慣れてきて、ラクロと剣戯をしているのだが。
一つ問題が起きた
「なんで後もう少しってところで壊れちゃうのよ!」
そう、強度問題だ。
これに関してはどうにもできない、今この街で一番硬い物質で作ってもダメなら諦めるしか...
「よし、分かった。ノルは俺がいなくてもフィリアを守れるか?」
「あぁ、はい。何を急に?」
「俺が世界一硬い物質を取ってきてやる」
....ダメだ。
ラクロがいない間母様が独り。
俺は女の子1人守るので精一杯だろう、母様まで気にかけることはできない
「本当に!?」
フィリア....
「はぁ、もう守るしかないんですね」
「当たり前だ!お前がみんなを守るんだぞ」
「えぇ、分かりました」
「クロアには内緒にしとけ、いくら女の子のためだとは言え、俺が居なくなるのは嫌というに決まってるからな」
「出発する日まで内緒にしときますね。」
「あぁ、そうしてくれ」
――旅立ちの日
ついにこの日が来てしまった。
あまりいい表情で見送ることはできないかもしれない。
「それじゃあ、行ってくる」
「はい....」
この人とは色んなことがあった。
喧嘩して、憎んで、仲直りして、遊んで。
全部掛け替えのない思い出時間だった。
「気をつけていってらっしゃい」
「フィリアも気をつけてな」
俺はしっかりと密告しといた。
「あなた!」
「クロア?リリア?なんでここに」
「全部ノルに聞いたわ、女の子のために頑張るのに私が止めるわけないじゃない」
ちゃんと旅立ちの日まで言うの我慢してたんだから感謝して欲しい。
「そうか、そうだよな。クロア、リリア。
お前達にお願いがある」
父様が睨んできてるようにも感じるが無視しよう。
「なにかしら?」
「俺が帰ってくるまで、絶対に死んじゃダメだ。分かったか?」
当たり前だ、僕が誰1人傷つけない。
「ノル、お前に全てを任せる。けれどお前が居なくなっちゃダメだ。できる限りでいいから守れ」
そう言って父様は抱きしめてきた。
すごく安心する。
暖かい
「それじゃあ行ってくる」
すぐに父様は立ち上がった。
少し寂しい、涙を堪えて頑張って見送ろう。
「安心しろ、また逢える」
その言葉で僕は理性を失った。
「いやだ、行かないで。父様」
「....じゃあな」
なんで、行かないで。
なんで歩いて行くの、父様。
気がついた。
背後から泣き声がする、けれどみんな止めはしない。
僕も少し大人にならないとか...
ならば、僕も
「父様!絶対に帰ってきて!また逢おう!!」
言葉はもう、これ以上いらない。
約束だけを残して。
深く息を吸って、日常へと戻った。
「母様、今日はフィリアも一緒にご飯食べよう」
「えぇ、そうね」
「今晩は猪のスープと丸焼きにしましょう」
「私それ大好き!」
また逢おう。どこかで――
皆様、ご精読いただき、誠にありがとうございます!!
これにて今世の廻天。第一章 幼年期編、は一度終了となります。
日にちは空かずに第二章スタートとなるので。
僕のモチベ向上のためにブクマと感想よろしくお願いします!!




