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第2話「やめた」

こんにちは、作者の飽き性の少年です。

この物語は、前世の記憶を持つ少年ノルディアの、少し奇妙な日常と冒険を描いています。

理不尽な孫の手様の作品、無職転生に影響を受けつつ、

自分なりの物語を書いてみました。

多少妄想全開な描写がありますが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

昨日の夜見た物はやはり魔術だった。

どうやら、ここは剣と魔法の世界らしい。

オタク歴7年。

この手の世界に備えて、なろう系は一通り履修済みだ。

.....無駄な努力では無かったようだ。



「それにしても母様、僕は何時間寝ていたんですか?」


「そうね、15時間ほどかしら?」


スプーンを落としてしまった。


そんなに寝ていたのか...

いや、あれはもう睡眠というより気絶に近い。


「僕ってそんなに寝れたんですね」


「普段が寝なさすぎなのよ」



「そうですか...」


「リゾットもあるから後で食べてねノル」


「はい母様」



食器洗いを手伝っているのだが、ある考えが出た。

この世界での父親は何の仕事をしているのだろうか?



考えている時間も勿体無い。

......後をつけよう。

「母様、少し具合が悪いので部屋で休みますね」


「あら、そうなの?

リリア。ついていきなさい」


「承知いたしました奥様」


「いえ!1人で大丈夫です」


まずいな、これでは行けない。



「また猪が来たらどうするの...」


「じゃあ具合悪いわけじゃなくて少し眠たいので部屋に戻るだけです」


「あらそう?たくさん寝ていいからね」


やはりこの人は天然だ。

穏やかだが、少し過保護気質がある



「ふぅ...」

息を整えてから覚悟を決めた。


「よし!」



僕の部屋に入ってタイミングを見計ろう。




リリアさんが遠くへ行くのを待ってからだ。



...いない。

よし。


ここら辺はリリアさんがよく徘徊してるからな

ホラゲで鍛えた反射神経で...




ドアを開けた。



あとはすぐだ。



やべ転ぶ...!!


「何か風を切る音がしたような。幻聴ですかね」


危ねえ。

枕が無かったら終わっていた...


とにかく、やっと部屋に入れた


いつも散歩している時に父親の部屋の窓に梯子らしき物が掛かっていたから。

そこから行ってみようと思う。


勝手に人の部屋に入るのは少し抵抗があるが

背に魔術は代えられん。



やはり梯子がかかっている



一応部屋も拝見させて頂こう。


本がたくさんある。

集めるのが趣味なのだろうか。



床がボロいのか軋む音が聞こえる、バレてはいけないし緊張感を持った方がいいか?


部屋の隅にメモがある。


こいつのことだ。

どうせくだらない事でも書いてあるんだろう。


ついこないだ簡単な言葉は読めるようになったので丁度いい。読んでいこう


なになに?

「詠唱をすれば、基本的に誰でもできる。例外は見つかっていない。だが、魔術の規模や強弱は人による。」


真面目なことが書いてある



って、魔術は誰でも使える?

てことは...


「全く。旦那様はすぐ部屋を汚すんですから」


やべ!

すぐ梯子降りねえと


「ああ!落ちる!」


いってえ、ふざけんなよクソ梯子が...


「誰かいるのですか!!」


咄嗟に隠れた

反応速度がいいのか咄嗟に手が出てしまう



少し危険な物言いだな。

とにかく、あとは外に行くだけだ。


外にはいい思い出がない、少し怖い

リリアさんの方が怖いけど


門を潜らないといけないのか...

あまりいい思い出がないな


SNSで炎上して――


いや、今更思い出すような話ではない。




いた、あいつだ


この世界での父親

名前は、ラクロだっけな?

見つからないように忍足で行かなければな




止まった?なんだろう気付かれたか?



いやでも40メートルは離れて


「ノル、なんでついてきてるんだ」


気付かれていた。

そうか、剣と魔法の世界だもんな

気配察知くらい存在するか

「すいませんラク..父様」


「そういうことじゃなくてだな。なんでついてきてるかを聞いてるんだ」


機嫌でも悪いのか?

息子に対して八つ当たりは流石に勘弁して欲しい


「昨日の魔法を見てどんな仕事をしているのか気になって」


「おおやっぱりか!」


やっぱり?

なぜ存じられている???


「よし!ついてこい」


「ありがとうございます。父様」


「俺の仕事はすごいぜ?」


自分で言っているあたり、本気でそう思っているんだろう。

ある意味才能かもしれない。





その時。身に覚えのある音と振動が聞こえた


またあの猪か?いや、少し弱い


「ノル、俺から離れるなよ」


「...はい」


ラクロの目が変わった...

草木の揺れに全て視線を合わせてしまう


「来るぞ」


「ブヒィィ!」


「子供?なんだ楽勝じゃねえか

ここで1発カッコよく退治してやるよ」



そう言って笑った、その声色には油断が混じっていた。


なるほど。恐らく昨日の猪の子供だろう。

敵討ちでもしにきたのか?

「なら弱めに...」


「なんて言った?ノル」


こんなチャンス滅多にない。

メモが目に入ったのもこの時のためだろう

やってみるか



「紅き炎と風の精霊よ――

今汝の求める所に大いなる加護あらん

ファイヤーシルフ!!」


全身に力が漲り、指先から熱が溢れ出す感覚――


「いけ!」


手から放たれた炎は

猪の子に向かって飛んだ。


大きさはなかった。

けれど

煌めきは...



それは今まで見てきた絶景や美少女よりも



――美しかった――


「ブヒ!ブヒィ!」


足先だけが焼けた。よし、弱めにもう1発。

「紅き風の精..」


「もういい、大丈夫だ」


「ああ、はい」


なんだろう、怒ったか?

いやそもそも一歳で魔術を使えるのがおかしいのか?


僕が一歳の頃なんか覚えてないし

4歳くらいの頃もブーブーとか言ってたし


「ノル...」


「は...はい」


「すごいじゃないか!1人で魔獣を倒せるなんて!すごいぞ!」


「あ、ありがとうございます」


「一歳で魔術を扱える人間は世界で数えても片手で数えれるくらいだぞ」



世界でもトップクラスにすごい...

なろうでよく聞く響きだ。感動する。


だが魔術を打てたぞ

すごい感覚だった、もう一度だけ打ちたい...


「いつの間にかこんなに育って、父さん感激だ」


「ありがとうございます?」


「そんな謙虚にしてないで、もっと誇ってもいいんだぞ?」


「ならそうしますね。俺すごいえらいつよーい」


ラクロはもう少し謙虚にした方がいい気もするけどな



――




ようやくついた、50分くらい歩いたぞ


ここがラクロの仕事場か


道場...なのか?

ここで魔術でも教えているのかな


「よーしみんな今日は挨拶なしでいい。紹介する人がいるぞ。俺の息子、ノルディア・ノーリスだ」


「よろ..お願い...ます」


「はぁ...」


視線を合わせた瞬間、わずかに眉が動いた。

人を見るとき、僕はいくつかの基準を持っている。

表情。声の高さ。距離感。


……そして、今の女はその全部に嫌悪感なるものが混じっていた。



「それじゃあ2人1ペアでやれ」


「「押忍」」


「それじゃあノル、お前は俺とだ」


「はい!」

魔法の稽古で押忍はイメージが少し違うな

まあいい楽しいからな


「この剣で稽古する」


剣かよ...

魔術を使えると期待していたのだが。


「はい...」


「どうした元気ないな」


「いえ、やりましょう」

勝手に期待した僕が悪いのかもしれないが

割と腹が立った。


「そう言えばノルには一度も剣術を教えたことがなかったな」


「はい、そうですね」


「それならば、一度俺の一番弟子に手取り足取り教えてもらえ」


ならペアを組んだ意味はなんだったんだ?



こいつ、後回し癖があるな

「はい」


「フィリア、ノルに基礎を教えてやれ」



「はーい♡」


この女はため息の...

もしかしてラクロに惚れてんのか?


おいおいやめてくれよ。

色仕掛けか?

家庭崩壊の危機だ、即刻に止めないと。

「よろ..く.....ます」


「よろしく♡」


「父様!ここは僕に任せて別のことを!」


「そうか?それじゃあ

俺はロイスとやってくるからあとは頼んだぞ」


「はーい♡」


ここはあまり刺激しないようにしよう。

「あ、あの僕何をすれば」


「...」


無視か。


「あの、基礎を教えてください...」


「はぁ、何?」


口は笑っているけれど、睨まれている。

こんな感じの目を昔見た気がする。



「ノル、ちゃんと教えてもらってるか?」


ラクロが来てくれた、いいタイミング

初めて感謝をした。


心の中で


「大丈夫ですよ♡

しっかり教えてますから♡」


こいつ虚言癖だろう。


そういえば修学旅行のグループ組む時のやつと似ているな...

嫌悪感はここからだろうか



「まず構えが大事なんだ。足は肩幅、利き手の反対側の足を...見せた方が早いね。

一気に踏み込んで、こう!」


畳が凹んだ...!?

でも肝心の薪は切れてないが...


その瞬間

壁の向こう側からネズミのような生き物の鳴き声がした


「なるほど、ちょっとトイレに行ってきますね」


「はーい♡」


恐る恐るドアを開けた。

そこには体の先から端まで線が入っており

血が流れ出ている鼠がいた。


「まさか壁ごと...?

いや、壁を無視して切った

という事だろうか」


剣術はこれほどまで

常軌を逸している技術なのか...


とりあえず戻ろう。

待たせてしまっては申し訳ない



「ノル。戻ってきたか、他の基礎も教えてもらえ」


「はい!」


「ここでは返事は押忍だ。分かったか?」


「はい!」


「どうしてそうなるんだ...」


つい癖で言ってしまった。




「次の基礎を教えるね」


「押忍!」


「距離感が大事よ。これは魔術でも肝心な技術」


それは興味深い。

あまり剣術には興味がないが。

これは面白そうだ


「距離を誤れば敵に隙を突かれたり。

攻撃が届かなかったりする。

距離感が戦闘において1番大事な事なの」


なるほど。

ゲームで例えるならば、技だけを入力していたら勝てない。

判定が噛み合った瞬間に技を入力するのが大事

.....ということだな。



「逆に距離感を完璧に合わせ、

剣先だけを対象に合わせれば。壁をすり抜けて攻撃することもできる」


「ということは、今この瞬間もどこからか斬りつけられる可能性も――」


いや、これ以上考えるのはよそう。

それにしても、剣術がここまで厄介だとは...

現実的に考えればそんなことはできないが。

魔力が関係しているとすれば出来るのだろうか


「ノル。ちょっといいか」


「はい、父様」


何か話があるらしい。

恐らくフィリアのことだろうか。


「彼女のことは侮らない方がいい」


「それはなぜです?」


「あんなふざけた格好と喋り方をしているが、実力は本物だ」


そんなことは言われなくても分かるぞ。

生まれたての子鹿でもな


「彼女を怒らさない方がいい」


「....それはなぜ?」




「彼女、フィリアはな。俺と――剣以外には、一切興味を示さない」


.......なるほど。

だから僕に対してあんな態度だったのか。

そもそも僕は視界にすら入れていなかったか。


「というか、自分以外に興味ないこと言います?

自慢ですか?」


「ああそうだ」


この男、妻がいるのにこんなことで自慢か...

少々過大評価していた。


「つまり、何が言いたいかというと。

俺はフィリアを誇りに思っているんだ」


「分かりました。無礼な態度はしないようにしますね」


ただの自慢では無かったようだ。




「それじゃあフィリアさん。次の基礎を教えてください!!」


「うん。いいよ」


自分に興味がないのは仕方ないが。

睨むような目はやめて欲しい。


「最後の基礎は。剣の振り方」




「振る前にまず姿勢。軸を崩さないことが重要だよ」


フィリアは一瞬にして背筋を真っ直ぐにした。


「頭からつま先まで全てが一本の棒だと思って。この「軸」が崩れるとどれだけ速く振っても剣はブレる」


速いだけの剣はただ空を切るだけ。

というわけか...


「次に重心移動。腕ではなく、腰と足で振る。

踏み込みと同時に腰を回し

その流れに剣を“乗せる"。

一気に踏み込むというのは。力を込めるのではなく。重心を前に送るという意味」


少し話が難しくなってきたが。

理解はできる、簡単に言ったら力任せに斬るなということだろう。


「最後に、剣の軌道は、必ず真っ直ぐ。少しでもズレると引っ掛かりがある。」


「つまり、軸と体重移動が大事ということですね。」


「そうよ。それじゃあ一度立ち合いしよう。

もしも私に勝てたらさっき睨んだこと謝るわ」


睨んでいた事は自覚あったんですね....

気づいてたなら直して欲しいぜ全く


「押忍」


「おいお前ら集まれ!うちの息子とフィリアの

立ち会いだぞ!」


わざわざ人を集めないで欲しい。

緊張して本気が出せなくなるだろう。


「それじゃあ

――初め!」


その瞬間木剣が目の前に振り下ろされた。



負けた、そう思った瞬間。

足先に風が走り、視界がズレた。



フィリアの目はいつもの睨みがなく。

焦っているように見えた。



「あれを避けた...?いや、ノル自身も困惑している。」


「まだ!」


剣が横から振られる。

またもや謎の風が吹き。

避けた


フィリアの体勢が崩れた――


「今!」


踏み込み。剣を振った


「そこまで!」


勝った.....のか?


やった、やったぞ。

「やったー!」


横からブツブツと声が聞こえる。

そこに視線を向けた。



ラクロの言葉が頭に流れ込んだ。

怒らせるようなことはしない方がいい、と

だがもう遅い。





泣いていた。フィリアは泣いていた。

目は悲しみではなく憎悪であった。


そして、絞り出すように言った。


「死ね」


その言葉は今までのどんな暴力よりも痛かった


「チッ」


「ちょっと待て!フィリア!」


走り去っていった。

泣かせてしまったという罪悪感。

そして何よりもあの言葉。


僕は吐き出してしまった。


「はぁ...はぁ...はぁ」


過呼吸だ、呼吸を整えろ。

.....できない


「おいノル!何で泣かせたんだ!」







.........は?


僕は逃げ出した。

何も考えられなかった。

楽しんで読めて頂けましたでしょうか!

全てを諦めたノルディア...

彼の運命はどうなってしまうのでしょう。

次回お楽しみに!

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