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第1話「廻天 壱番」

こんにちは、作者の飽き性の少年です。

この物語は、前世の記憶を持つ少年ノルディアの、少し奇妙な日常と冒険を描いています。

理不尽な孫の手様の作品、無職転生に影響を受けつつ、

自分なりの物語を書いてみました。

多少妄想全開な描写がありますが、楽しんで読んでいただけると嬉しいです。

「もう、人生やだ…」


 これから僕の最悪な今世をお見せしよう。


「鬼ごっこしようぜ!」

「おっけー!」


「僕も入れて!!」


 これが僕だ。


「えーちょっと無理」


 僕はその言葉に固まった。

 先程まで笑顔だった二人が、不気味な笑みで囲い込むように近づいてくる。


「え…?」


 心の中でも何度困惑したか覚えていない。


「あんま仲良くないし」

「それな!友達じゃないから無理!」


 苦手意識はこの時からだろうか。

 これで僕の人格形成は終わった。

 終了という意味ではない。

 ……いや終了という意味でもあるか。



 まあいい。

 こんなにも早く人生ステージクリア扱いされるとは、前世の僕も笑うしかなかっただろう。

 ……当然のように泣いた。そりゃ泣く。


――


 数年後


 僕は修学旅行という忌々しい祭典の為にグループを作らないといけなかった。

 あまり人と話すのは慣れていないのだが…


 自分から話しかけないとどうにもならないのだ


「あ、あの、グループ入れてもらえませんか?」


 毎度声が裏返りながら話してしまう自分が憎い、せめてコミュ力だけでもくれて良いじゃないか。

 僕に与えられたのは脂肪と孤独だけか……


「えっと、誰だっけ」

「たしか、れ…レンだっけ?」

「そうだ!レンだ!どしたんレン」


 机に座る女達に嫌悪感を覚える、まともなのは男の方か。

 いや、ただ椅子に座ってるだけで確証付けていいのだろうか?


 「修……旅行…グループ入れ…欲しくて……」


 もちろん僕の名前はレンではない。

 何がもちろんなのかって?


 名前を覚えられてない事だよ。


 「ごめん、実はもう決まっててさ、仲良い人同士で組みたいんだ……」


 出たでた、こういうやつ


 「あ、その、すみません…!」


 これは僕の持論だが……1番性格が悪いのは優しいフリをして「仲間じゃない」と線を引くやつのことだと思う。


 こういうやつに限って顔が整ってたりするんだよな、神は恩寵を与える相手を間違えている。

 僕でもないが。


 僕はご飯を食べる為にトイレに向かった。

 ……涙を流す為でもある。


――

 個室に入り、ちゃんと鍵を閉めて泣こうとした時、隣から音が聞こえた。

 汚い壁に耳を当てた瞬間、微かな息漏れが僕の耳に入った。


 わざわざ休み時間にトイレに来るのは僕と同類の者ばかり。

 話しかけようとも思った。

 けど、そんな勇気があるなら隠キャやってない。


 アンモニアの臭いにえずきながら、母親の特性タコウインナーを一口ずつ胃袋に放り込んだ。


 僕の将来どうなるんだろうな。

 そんなことを考えていたらいつの間にか予鈴が鳴り出した。


 重い体を無理やり立たせて、隣の個室を少し叩いて教室に戻ろうとした。



 鼻の中に残っていたアンモニア臭を取り出そうと鼻をかんだ時。


 「あいつマジイラつくよなw」

 「それなw今度はマジで殺そうかn…」


 ティッシュがズレて目の前に飛んでいった。


 一瞬の静寂の中で必死に考えて、ようやく気がついた。

 クラスのヤンキーの肩に僕の鼻水が付いている。


「あ?」


 弁解する暇もなく……


 ッ……

 「テェェェェッッ!!!」


 教室の外にいた僕を、内側から蹴り飛ばして僕を机に吹き飛ばした。

 化け物かよ。


 「チッ…」


 さっき断ってきたやつだ。

 僕の持論はほとんど当たる、外れた事は多分ない。


 早く逃げないと、そう思っても体が言うことを聞かなかった。


 「あーあ、俺しーらね。」

 「……テメェ!!何しやがんだ!」


 感情がぐちゃぐちゃになった。



 「ぷ……はっはっはw」

 僕は何を思ったのか笑ってしまった、鼻水がこびりついていたからだろうか。



 この時の自分を何度恨んだことか……


 「おっけ殺す」


 「あ…あの、違」


 近付いてきたヤンキーに怯えて、目を瞑った。


 「人のこと笑っといてタダで済むと思ってんじゃねえぞ」


 その瞬間、腹に強い衝撃が走った。

 何をされたか理解する暇もなく襟元を掴まれどこかへ連れて行かれていく。


 「早くしろよ。腹減ってる」


 こっちは痛みで悶絶してるのに呑気に昼メシの話をしていた。

 僕はキレ症だったのでこいつにも蹴りを入れてやろうと思った。



 え?したのかって?…もちろん。



 「ゆ…ゆるじ…で、ぐだ……ざい」

 命乞いだ




 「この後また歩くのかよ。めんど」

 「こいつに昼メシ持って来させればいいだろ」



 こんなやりとりがずっと続いていつのまにか外に出てた。

 昼メシの話ばかりして飽きないんだろうか。


 「おい、俺の持ってこい」

 「ほいほい、分かったよ」


 突然一人のヤンキーが体育館倉庫に歩いて行った。

 何かを持ってくるらしい。


 (おそらく木刀系のあれだろうか、アザくらいなら我慢できるが)


 その時、ガラガラという何か地面を傷つける音がした。

 (は!?こいつら頭おかしすぎだろ!!)


 なんと言うことでしょう。

 この時僕が目にしたのは銀色の長い棒です。

 そう、金属バット!

 この人達は誰を殺そうとしているのだろうか。

 物騒だなぁ




 ……僕だッ!!

 「あの、やめ!やめましょう!ほんとに!」



 近づいてきたその時。

 僕は咄嗟に手に持っていた砂を投げつけた。

 今までの痛みなど忘れて無我夢中で走った。



 咄嗟の判断とか人間ができるわけないって思ってたけど、案外出来るらしい。


 「ついさっきまで怒号が聞こえてたけど、もう大丈夫かなぁ…」



 階段まで逃げ込んできた僕は手すりを掴もうとした。


 背中を何かが触れた。

 短い間だったが空中に浮かんでいたのと、地面が目の前にあったのを覚えている。


 日差しが暖かいな。

 それが最後に思った事だった。




 鈍い音がした。意識はもう、ない。



 (うるさいなぁ)


 「…!…い!……おい!」

 (教師のくせに起こしてくんなよ)


 サイレン

 (あぁ、なんだ)


 「これから手術を始める」

 (手術…?)



――


 「ーー・ー・・!」


 はぁ?何言ってんだこいつら。


 「ーーー・・ー」


 うお!美女だ!初めて見た……


 外国人か?医者……ではないよな、


 「ーー・ー」


 こいつら人の目の前でイチャつきやがって...特に男の方!怪我人の前で、ぶん殴ってやる!!


 風を切る音すらなかった、そこには。

 小さなグーがあった


 それは赤ん坊の手だった。

 小さく、確かに生きている手


 「あうぁ、ああ」


――


 1ヶ月の月日が流れた。

 どうやら僕の名前はノルディア・ノーリスというらしい。

 言葉は分からないが、名前は嫌でも分かった


 ぶっちゃけるとまだ名前しか理解できていないし、日本語も喋れない、なぜだろう。

 僕は頭が良い方ではなかったので知らなかったが、赤ん坊は歯が生えていないらしい。

 歯がないと喋れないのだろうか?


 いや、祖父は歯がなくても喋れていたよな……

 まあいいとにかく問題は一つだけだ。


 肉が食いたい!


「に……く」


 人知れず赤ん坊が初めて言葉を話した瞬間であった。


――

 おそらくもう一年ほど経った。

 ようやく肉を食べれるようになったのだが、牛肉でも豚肉でもない感じだ。


 昔食べた鹿肉に似ているだろうか、不味くはない、だが、特段上手いという訳でもない。


 最近は歩くこともできてきたので、今日みたいにバレないよう夜散歩に出かけることがある。

 家の敷地からは出ないようにしているが……

 一つ気になることがある。ここは裕福な家なのだろうか?

 自分の目線ではかなり広く見える。

 小さいからかわからないのだが、決して貧乏ではないだろう。


 言葉も割と

 「使えるようになってきたな、前世の記憶もあるからだろうか?」


 どうやらこの体は物覚えが良いみたいだ。

 初めて日本語以外の言葉をまともに扱えるようになった。母さんたちに教えたいな…


 「それにしても、家族はどこにいっ」


 振動を感じる。

 なんだろう、熊か?

 凄い足音だな。

 まあいい、この家にはフェンスがあるし、見つかるはずもないだろう。


 フェンスがミシミシ言っている。

 この先の展開はもう分かった。


 「嘘だろ?」

 フェンスがお空に飛んでった。


 ブヒイィィィ!!


 なんだあれ、猪みたいだが像並のデカさ!

 ヤバい、逃げなきゃ!逃げ、


 「足が、」


 もう終わった。


 「紅き風の精霊よ――

今汝の求める所に大いなる加護あらん

ファイヤーシルフ!!」


 振り返ることはできなかった。

 おそらく僕の父の声だ。

 その瞬間、横から赤い何かが飛び出した。


 猪を見ると、なぜか燃えていた。

 恐怖など全てなくなっていた。


 あれはきっと……!!


――


 気を失っていた、ここはベッド?

 なんだ夢か、期待させるなよ……

 階段を降りる。


 いつも通り挨拶をした時だった。


 「おはようございます」

 

 みんなが何かを焼いているのが見える。

 それは、昨日の猪と全く同じ姿をした……


 「おはようノル」


 まさか、ここは……!!

初めての作品ですが、楽しんで読んでいただけたらとても嬉しいです。読んでくれてありがとうございました!

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