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エピソード28 = 安全な場所

「ダメだ………これじゃ近寄れない…。」

 案の定セルの壁付近は遺神体で溢れ返っていた。

 溢れ返ってとは言ったものの、その動きは統率がとれており無駄がない。

 オレは気付かれないように少し離れた場合をそそくさと移動する。

 遺神体を3機を撃破したとはいえ、あれはほぼ偶然の産物だ。

 数えきれない程蠢くその光景に自分が混ざるなどは考えたくはなかった。


 幸いにもあまり索敵を考慮していないのか、オレから見ても死角がたくさんあり、なんとか壁に沿って移動できる。


「どこか遺神体のいないハイヴを探さないと…。」

 なるべくハイヴの入り口に近づけて、遺神体が近くにいない場所を。

 ハイヴに向かって大声で叫ぶという不確実極まりない策とも呼べない策に賭ける以上、少しでも確立は上げておきたかった。



 数分ほど走ると果たしてそれはあった。

 遺神体が出てきた形跡か鉄格子は切断されて破られているが、近くにその気配はなくハイヴの中もしんと静まり返っている。

 オレは恐る恐るそこを覗き込む。


 ____________________怖い。


 何が潜んでいるか分からない未知へのの恐怖。

 この間ここに入るまでは、あんなに恋い焦がれていた非現実……それが、今はとても恐ろしい。

 閉鎖されたこの世界(セル)で誰もがきっと欲していたであろう刺激は、一度命を前にしたら無残にも価値をなくす。


 段差を乗り越えて、5メートル程の所まで入り込み立ち止まる。

 緊張から息が乱れていることに気付き、深呼吸をした。


 ……チャンスは一度きり、結果リンが気付こうが気付くまいが、先に来るのは遺神体だろう。


 _______大きく息を吸った。



「リーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!」


 オレの声は狭いハイヴ内に響きわたる。

 叫びながら、とても間抜けな事をしているな、と自分を笑う。


 ……さて、そろそろ潮時だ。

 ハイヴの奥からも歓迎の金属音が響いてくる。

 引き際は早いに越した事はなかった。


 …願わくば、リンが気付いて駆けつけてくれますように。

 ハイヴを出て、街に向けて走り出す。

 オレも早く安全な場所に___________?



「…安全な場所ってどこだ?」

 __________そんなもの…………ある訳がない。


 セルの全方位から沸くように遺神体が出てきていて、一箇所では大ムカデがその巨体で建物を蹂躙している。

 既に3分の1の土地は破壊され、遺神体に襲われた犠牲者は数えきれない事だろう。

 逃げ道など何処にもない。


 この世の終わりの様な光景…………ではない。



 ________________()()()()()()()()()()()



 今更になって理解した。



 _________________オレ達の世界は、今日………終わるんだ。



「アルカとソラ…父さん、母さん………みんな…無事でいてくれ…!」

 泣きそうになりながら走る。

 不安は狭窄感を生み、そして足取りを狂わせる。


「あっ……!」


 瓦礫でつまづいて転んでしまった。

 掌と膝を擦りむきながら倒れる。


 _______まずい…!

 すぐそばには遺神体の一団がおり、転んだときの音に気付いてか音の主を探し始めた。

 起き上がろうにも足をひねったせいで、うまく姿勢を立て直せない。


 ……どうすればいい…!逃げ場もない!動けない!


 ………今度こそ本当に終わるのか……?

 ____そのときだった。



「シッ!静かに。」

 声のする方に目を向けるとそこには…………よくオレ達を叱ってくれるあのノーズさんがいた。


「…大丈夫か?………捻挫してるくせえな。ホラっ、掴まれ。」

 ノーズさんはオレに背中を向けて、オレはその背に掴まった。

 オレがしっかりと掴まった事を確認すると、ノーズさんは音も立てずに走り出す。


「ったく!今までどこほっつき歩いてたんだ?!お前だけいないもんでみんな心配してたんだぜ!!」

 ……ああ。役に立たなきゃ、とそればかりに執着していたが、役に立つどころかこんなにも迷惑をかけていたんだ………。

 遺神体を倒した事で天狗になっていた心が鎮火した。


「お前が最後だ。みんな待ってる。」

「みんなは何処にいるんですか?」

 こんな状況だ、安全な場所なんてもう…。


「シェルターにいる。俺も初めて知ったんだが、バルトさん……ソラの親父さんが皆を扇動して避難させたんだ。お前だけ避難前に飛び出したって聞いて目ん玉飛び出るくらい驚いたぜ。」

 ………良かった…みんなが無事で。


「あのぶっ倒れてたにいちゃんもとりあえず解放されてシェルターにいるぜ。________っと、着いたな。」

 ライズさんが何もせずにシェルターに避難……あまり考えていなかった状況だがひとまず無事で良かった。


 地面にある金属製の蓋をノーズさんがコンコンと一定のリズムで叩く。

 それが合言葉代わりになっていたのか、内側から鍵が開けられた。


「おいランド!!心配させやがって!早く入れよ!」

 見張りをしているであろう見覚えのあるお兄さんに怒鳴られる。


「おかえり。」

「………!___________ただいま!」

最初に比べて文章力が増した代償に話の進みが遅くなっている。

おおまかすぎてほぼノープランなプロットにも原因はあるが。


脳内には積みプラの如く書ききれない別作品のプロットがどんどん浮かんでくる始末。

二十代三十代になったらだんだんと浮かんでこなくなるのだろうか…?

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