サウナの危機ですのよ
お疲れ様会が賑やかに楽しくお開きとなり、フィオナ王女はさっそく「我が家」の外へと踏み出しました。
「ふふふ……お姉様の平和を守るため、我が王宮の精鋭を動かしますわよ!」
王女は懐から通信用の魔道具を取り出すと王都セントシャイアの王宮直属調査機関へと緊急アクセス。
つながるや否や、真剣そのものの表情で叫びました。
「大至急、アステリアへ調査員を派遣しなさい! 一刻を争う『サウナの危機』ですのよ!!」
『……は? さ、サウナ……の危機、でございますか……殿下……??』
通信の向こうで王宮の調査隊長が盛大に困惑し、絶句する気配が伝わってきます。
しかし、相手は王女であるフィオナ。
国家の一大危機かのような真迫の口調に押され、断ることなどできるはずもなく――。
『は、ははっ! 殿下のご命とあらば、直ちに腕利きの調査員をアステリアへ手配いたします……!
到着は早くて2日後になるかと』
頭を抱えながらも、調査隊はすぐさまアステリアへの現地派遣を決定するのでした。
一方その頃:我が家(隠しダンジョン)
フィオナ王女が外で大騒ぎしている頃、鈴はトコトコと廊下を歩き、我が家の中にあるふうの部屋の扉をコンコンと叩きました。
「ふうちゃん、入ってもいい……?」
「鈴! どうぞどうぞ、入って〜!」
部屋に入った鈴は、ベッドの端っこにちょこんと腰を下ろすと
少し思い詰めたような表情で膝の上の拳をギュッと握りしめました。
「あのね、ふうちゃん……さっきのお疲れ様会では言えなかったんだけど……」
「ん? どうしたの?」
ふうが優しく顔を覗き込むと、鈴はぽつりぽつりと胸の内を打ち明け始めました。
「ヒルダさんは『狙いはサウナかも』って言ってたけど……
私、敵の本当の狙いはサウナじゃなくて……もしかしたらカレンさんや、私自身なんじゃないかって……そんな気がして」
「えっ……!? 鈴やカレンちゃんが狙い……!?」
ふうが目を見開いて驚くと、鈴は自信なさそうに申し訳なさそうに眉を下げます。
「うぅ……でも、何の証拠もないから、言ったらみんなを余計に心配させちゃうかもと思って……みんなの前では言えなかったの……」
ふうは一瞬息を飲みましたが、すぐに柔らかく微笑むと、鈴の小さなお手を優しく包み込むように握りしめました。
「ううん、話してくれてありがとう、鈴!
証拠なんてなくても、鈴の勘なら絶対警戒しておいた方がいいよ! 私もその可能性があるって頭に入れて、しっかり警戒しておくね!」
大親友の温かい言葉に、鈴の表情がふわっと明るくなります。
「ふうちゃん……ありがとう……!」
するとふうは顎に手を当て、さっきの事件を別の角度から考え始めました。
「……そっか。もし本当に鈴やカレンちゃんが狙いだったんだとしたら……
あのサウナ前での魔物の大大混雑って……もしかして鈴たちを現場に呼び寄せるための 罠だったのかな……?」
ふうの鋭い推測に、鈴も「あっ……!」と息を飲み、二人は顔を見合わせるのでした。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| フィオナ王女| 【調査依頼完了】 | 通信魔道具で王都へ連絡。「サウナの危機」と言って調査隊を困惑させつつ派遣させる。 |
| 桜井 鈴| 【ふうへ相談】 | 「カレンや自分が狙いかも」という胸の予感をふうにだけ打ち明け、気持ちが少し楽になる。 |
御坂 風 | 【真相へ接近】 | 鈴の懸念を受け止めつつ、「あの魔物の襲撃は二人を誘い出す罠だったのでは」と推測。 |
| 王宮調査隊 | 【出動準備】 | 王女からの「サウナの危機」という謎の緊急命令を受け、困惑しながらアステリアへ急行中。 |




