久しぶりの再開
「ふ、ふうちゃん……っ」
人混みの後ろから、鈴が消え入りそうな声で、けれど必死にその名前を呼びました。
完璧なコミュ力でドワーフたちをあしらっていたふうの耳に、その懐かしい声がしっかりと届きます。
ふうがピクッと緑のシュシュを揺らして振り返ると、そこにはレンガ壁の影に隠れるようにオドオドと震えている、美少女の姿がありました。
「……え? 嘘、鈴!? 鈴なの!?」
ふうは一瞬で目を見開きましたが、すぐさま鈴が周囲のドワーフたちの熱気に圧倒されて顔を真っ青にしていることに気づきました。
前の世界でも、鈴が大勢の人がいる場所や、知らない人に囲まれるのが大の苦手だったことを、親友であるふうは誰よりもよく知っています。
「あ、ごめんみんな! ちょっと急用ができちゃったから、今日のお店はここまで! また明日ね!」
ふうは驚異的な手際で商品をマジックバッグへ仕舞い込むと、ドワーフたちが「ええっ、もう終わりかよ!?」とブーイングを上げるのも気にせず、鈴の手を引いて商人ギルドの裏手にある、静かで人がほとんどいない路地裏へと一気に移動しました。
カサートの静かな路地裏
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だね! ……それにしても、本当に鈴なんだよね!?」
ふうは鈴の両手を握りしめ、まじまじとその顔を見つめました。
「うん……っ、ふうちゃん、久しぶりですぅ……! 会いたかった、ですぅ……っ」
涙を浮かべる鈴に、ふうはいつものハツラツとした笑顔を咲かせました。
「久しぶり、鈴! 元気そうで本当によかった! 私さ、あの女神様に『あなたの親友の鈴ちゃんも、この世界に転生させておいたわよ』ってさらっと聞かされた時は、もう腰が抜けるほどびっくりしたんだから!」
ふうが楽しそうに笑うと、鈴もようやく緊張が解けて安心した笑顔を見せました。と、そこでふうの視線が、鈴のすぐ後ろでドスンとお座りしている、真っ赤なリボンをつけたモフモフの巨体へと向かいました。
「……ところで鈴、さっきから気になってたんだけど、その隣にいる超おっきくて可愛いクマさんは……一体どなた?」
「あ、この子はカレンさんですぅ。リボンベアっていう魔物さんなんですけど、とっても優しくて可愛くて、お外ではいつも守ってくれる、頼もしいボディガードなんですぅ!」
「ガルゥ(よろしくね!)」
カレンが自慢の赤いリボンを揺らしながら器用に右手を上げて挨拶すると、ふうは「わあ、賢い! しかもめちゃくちゃ強いオーラが出てる!」と目を輝かせました。
「それからね、こっちがいつもおうち(ダンジョン)で一緒に過ごしてくれている、ミィアちゃんとヒルダさん。そして、このぬいぐるみの中に憑依して飛べるようになった、天使(小)のセイナさんですぅ!」
「初めまして、ふう殿」「よろしくニャ、ふう!」「ふう様、お会いできて光栄ですぅ!」
それぞれが挨拶を交わすと、ふうは「みんな鈴の大事な仲間なんだね! よろしく!」と持ち前のハイテンションで一瞬にして打ち解けてしまいました。
ひと通り紹介が終わったところで、鈴は商人ギルドでドワーフたちが大騒ぎしていた、一番気になっていたことを尋ねてみることにしました。
「あのね、ふうちゃん。さっきドワーフの人たちが言っていたんだけど……ふうちゃんの作るアクセサリーや小物って、可愛いだけじゃなくて『とんでもない効果』がついているって本当ですかぁ?」
鈴が不思議そうに首をかしげると、ふうはニヤリと悪戯っぽく笑って、マジックバッグから一つの可愛らしい手作りのヘアピンを取り出してみせるのでした。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 現在の様子 |
| 桜井 鈴 | 【安心・疑問】| 路地裏。親友との再会を果たし、ふうの技術の秘密に興味津々。 |
御坂 風| 【再会・ドヤ顔】| 鈴の仲間たちとも即座に良好なコミュニケーションを築き、自慢の品を披露。 |
| カレン&セイナ | 【興味津々】 | カレンはふうに懐き、セイナはふうの頭の緑のシュシュをパタパタと観察。 |
| ミィア&ヒルダ| 【見守り】 | 鈴がリラックスして親友と話せているのを見て、ほっと一安心。 |
無事に大親友・ふうと感動(?)の再会を果たした鈴!




