拒まれる親衛隊
「……ハァ、ハァ……。シオン、ようやく見つけましたわ! お姉様が新たに創造された、あのパステルピンクの『聖なる回廊』を!!」
リヴァイアサンの恐怖から逃れ、洞窟の奥でようやく鈴が作り出した直通通路を見つけた二人。フィオナは狂喜乱舞し、シオンもその未知の術式に目を輝かせながら通路を駆け上がりました。
「この先に、鈴殿のプライベート空間……別荘の地下があるはずだ。分析によれば、あと数十メートルで――」
しかし、二人が期待に胸を膨らませて突き当たりの扉に手をかけようとした、その時です。
――ビキィィィィンッ!!!
「「ひぎゃぁぁぁっ!?」」
二人の指先が扉に触れる直前、目に見えない強烈な反発力が発生しました。パチパチとリボン型の火花が散り、フィオナとシオンは無様に後ろへ吹き飛ばされ、尻餅をつきます。
シオンは扉の表面を流れる、レベル479の圧倒的な魔導波形を見て絶望しました。それは、どれほど高度な解析をしても、主である鈴の「許可」がない限り、物理的にも魔術的にも突破不可能な「心の壁」そのものだったのです。
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通路の行き止まり:絶望の二人
「そんな……っ! お姉様のすぐそばまで来ているのに、中に入れないなんて……! 開けてくださいまし! お姉様ーーー!!」
「無駄だ、王女。……今の彼女は、心から安らぎを求めている。……我々のような『騒がしい外部の者』は、今の彼女の結界定義では『ノイズ』として処理されているのだ……」
シオンは冷徹な分析結果を告げ、力なく項垂れました。
「……引き返すしか、ないな。……元来た道を」
「……嫌ですわ……! またあの、リヴァイアサンが寝ている暗い波打ち際を通るなんて……! 死ぬほど怖かったですのよ!?」
「……だが、ここにいても餓死するだけだ。……行くぞ、王女。……これも、お姉様の平穏を守るための……試練だ」
二人はボロボロになりながら、せっかく見つけた「天国への階段」をトボトボと降り、再び魔物と湿気が渦巻く暗い旧ルートへと引き返していきました。
一方その頃:別荘の居間
「ふにゃぁ……。なんだか、地下の方から『開けてくださいぃ~』っていう幻聴が聞こえたような気がしますぅ。……風の音、ですねぇ」
鈴はカレンのモフモフを枕にしながら、ぬくぬくとお昼寝の準備をしていました。
「クゥ~ン(ぐっすり寝ようね)」
「ニャー……。なんだか、外の結界がさっき一瞬、パチッて鳴った気がするニャ。……まあ、鈴が平和ならいいニャ」
ヒルダもお茶を飲み干し、平和な午後のひとときを満喫しています。
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 備考 |
| 桜井 鈴 | Lv.479 | 【完全安眠】 自覚なき最強の結界で、親衛隊をシャットアウト。 |
| 親衛隊(王女&シオン)| 【強制Uターン】 | 泣きながら暗い洞窟を逆走中。リヴァイアサンの寝息に怯える。 |
| カレン | 【添い寝モード】| 鈴の安眠を守るため、自分も丸くなって寝る準備。 |
| ヒルダ&ミィア | 【休息中】| 「今日はもう、誰も来ないだろうニャ」とリラックス。 |
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「……ふぇぇ……。おやすみなさいですぅ……」
鈴が深い眠りに落ちると同時に、別荘の結界はさらにその強度を増し、物理的な存在感を消して風景に溶け込んでいきました。




