私願っただけなんですが…
「わぁ……っ! すごいです、カレンさん! 見てください、ここ……!」
リボン・ゴブリンたちの騒ぎを抜けた先、鈴たちの目の前には息を呑むような絶景が広がっていました。そこは巨大な空洞になっており、天井から垂れ下がる無数の鍾乳石が、鈴のパステルカラーの魔力を反射して、まるで巨大な水晶のシャンデリアのように七色に輝いていたのです。
「ふにゃぁ……。ヒトミノジの海岸の洞窟に、こんなに綺麗な場所があったなんて……。……ここ、とっても落ち着きますぅ。……別荘から、いつでもお散歩に来られたらいいのになぁ……」
鈴がうっとりと目を細め、心からそう願った瞬間でした。
空間創造魔法:再発動
ドゴォォォォォォン……ッ!!!
「ヒ、ヒギャァァァ!? ま、また地震ですかぁぁ!?」
「鈴、しっかり捕まるニャ! 地面が……地面が動いてるニャ!!」
レベル479の「わがまま(純粋な願い)」は、再び世界の理を書き換え始めました。鈴が通ってきたリボン迷宮とは全く別の方向に、岩盤が凄まじい音を立てて割れ、削れ、そして美しく整えられていきます。
まるで生き物のように動く壁と床。それは洞窟の最深部から、地上にある鈴の別荘の地下室へと直通する「最短ルート」を、物理的に無理やり作り上げている音でした。
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数分後:静寂のあと
「……ふぇぇ。……揺れ、収まりましたか……?」
鈴がカレンの毛並みから恐る恐る顔を出すと、そこには先ほどまでなかったはずの、緩やかな上り坂の通路が出来上がっていました。しかも、その壁面は先ほどと同じく、パステルピンクの可愛い装飾が施されています。
「……信じられません。……道なき場所に、新たな『回廊』が誕生しています」
「ニャー……。鈴の『あったらいいな』は、もはや創造主の領域だニャ。……とりあえず、行ってみるしかないニャ?」
鈴一行は、キツネにつままれたような気分で、新しくできたばかりのピカピカの通路を進んでいきました。
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驚愕の到着:別荘の地下室
階段を上りきり、重厚な扉(これも鈴の好みでリボン付き)を開けると……。
「……えっ? ここ……見覚えがありますぅ」
「……鈴殿、ここはお借りしている別荘の、食糧貯蔵庫の隣ですね」
なんと、扉の先は別荘の地下室に繋がっていたのです! ほんの数分前まで海岸の洞窟の奥深くにいたはずなのに、歩いて数分で我が家に戻ってきてしまった事実に、一行は開いた口が塞がりません。
「ク、クゥ……(便利だけど、びっくりだね)」
「ふえぇぇぇ! ほ、本当に道ができちゃいましたぁぁ!! これじゃ、お散歩というか……ただの自分専用の地下通路ですぅ!!」
現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 備考 |
| 桜井 鈴| Lv.479| 【大混乱】便利すぎて逆に怖い。管理責任に怯え始める。 |
| カレン | 【感心】| 移動が楽になって、少し嬉しそう。 |
| ヒルダ&ミィア | 【思考停止】| 「不動産価値が爆上がりだニャ……」 |
| 親衛隊(王女&シオン)| 【迷子&聖地巡礼継続中】| 旧ルートの鍾乳洞で「お姉様の残り香!」と壁を削っている。 |
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「……あ、あの……。とりあえず、帰ってこれたので……お茶にしましょうか……?」
鈴が震える手でお茶を淹れようとすると、地下から「お姉様ーーー!? どこにいらしたのですかぁぁ!!」という、執念深い親衛隊の叫び声が響いてきました。




