ボロボロの魔剣士
「これ以上、お姉様とカレン様を煩わせるわけにはいきませんわ! 皆の者、その不届き者を直ちに捕らえなさい!(普通の声量)」
フィオナ王女の凛とした号令とともに、体勢を立て直した騎士団が一斉に動き出しました。満身創痍で膝をつく魔剣士の周囲を、数十本の槍が幾重にも囲みます。
「……くっ、ここまでか……」
魔剣士は折れかけた刀を杖代わりに立ち上がろうとしましたが、カレンの一撃によるダメージは深く、指一本動かすのも精一杯の状態でした。
「神妙にしろ! 王都へ連行し、この結界への攻撃と王女殿下への不敬罪、たっぷりと取り調べさせてもらうぞ!」
騎士たちがシオンの腕を掴み、魔力を封じる特殊な手錠(魔封じの枷)をかけようとしたその時です。
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鈴の介入
「ひ、ひぎゃぁぁ! ま、待ってくださいぃぃ!!」
結界の中から、鈴が涙目で飛び出してきました。カレンも「クゥーン」と心配そうにその後を追います。
「あの、その人は……悪い人じゃないかもしれませんぅ! ほら、私の結界が気になって、一生懸命お勉強してただけみたいですし……。カレンさんがボコボコにしちゃったから、もう十分反省してると思いますぅ!!」
「お姉様!? この男は、お姉様の聖域を力でこじ開けようとした大罪人ですのよ!?」
フィオナが驚いて声を上げますが、鈴は魔剣士のボロボロになった姿を見て、居ても立ってもいられなくなったようです。
「でも、怪我をしてる人をそのまま連れて行くなんて、かわいそうですぅ……っ。……あの、騎士団の皆さん。この人は、私が……私が責任を持って、ちょっとだけお話を聞きますから。だから、乱暴にしないでくださいぃ!!(必死の懇願)」
レベル479に達した「聖女(自称・一般人)」の放つ、圧倒的な慈愛の波動。騎士たちはその光に当てられたかのように、毒気を抜かれて槍を下ろしてしまいました。
「……、鈴様がそこまで仰るのなら……」
「はっ。身柄の確保のみ行い、尋問は鈴様に一任いたします!」
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現在の状況
| 登場人物 | 状態 | 備考 |
| 魔剣士| 【拘束・沈黙】 | 鈴の慈悲に言葉を失い、呆然と彼女を見上げている。 |
| 桜井 鈴| Lv.479| 【お人好し爆発】 敵だったはずの男を心配してオロオロ。 |
| 騎士団 | 【心酔】| 鈴の優しさに触れ感動中。 |
| カレン | 【監視モード】| 鈴の隣で、魔剣士が変な動きをしないかジロリと睨んでいる。 |
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「……あ、あの。……痛いところ、ないですか? ……とりあえず、私の結界の中で……ゆっくり休んでくださいぅ……」
鈴がおそるおそる手を差し伸べると、シオンは「……貴様……正気か……?」と掠れた声で呟きました。




