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後宮の中で黙殺していた心の内をヨクウを前にメイリンは吐露していた。
龍王と龍華国、メイリンの置かれている環境の全てを裏切る言葉、そして誰にも話すつもりがなかった気持ちを曝け出した罪悪感と清々しさがメイリンを襲う。
吐き出した言葉に抱えていた悲しみや苦しみと共に涙が滲み出てきそうになったが、こんな醜い願いを持つ自分が涙を流す権利などないと、唇を噛んで堪えた。
「貴女は自由に幸せを選べるのです。命を懸けなくても幸せになれる道を探したいとは思いませんか?」
私は…不幸なのだろうか。
番を命だと言うその方に他の幸せを勧められるくらい、不幸に見えているのだろうか。
メイリンはヨクウに言われて初めてここで自分の幸せについて考えた。
「…それでも、幸せなのです。」
メイリンの声が震える。
周りを考えれば暗く重たくなる心も、龍王の指がメイリンに触れるだけで胸に嬉しさがこみ上げた。
今この時さえ、思い出せば愛しく思う。
龍王から抱き締められると、熱と共に混ざり合ってまるで一つになったように錯覚し、そして、もう二度と離れたくないと心が叫ぶのだ。
「貴女は私たちに似ている。」
ヨクウが納得したかのように瞼を閉じる。
その言葉は番の絆を持たないメイリンにとって、認められたようで嬉しかった。
涙を我慢するために噛んでいた唇は緩み、震え、一粒の涙が地面に落ちていく。
メイリンを見つめるヨクウの顔は幼子をなだめる様に穏やかな微笑みを浮かべていた。
この人は命を懸けて番の側に居たのだ。
その最期の光景がメイリンの頭の中で浮かぶ。
ヨクウは幸せそうに微笑んだ。
「だから、帰らないといけないのです。」
メイリンは遠く龍王に想いを馳せて言った。
あるべき処へ。
もう魂の片割れの待つあの後宮の中へ。
ヨクウは憐れみの笑みを浮かべて、メイリンの頭巾をまた頭に被せた。
淡い白い光が二人を隠す。
そっとヨクウの長い首が寄り添うようにメイリンの首に触れる。
どうしてこの人は私の気持ちを誰よりも分かってくれるのだろうか。
そんな気持ちになるほど、短時間で少ない言葉でヨクウとメイリンは互いの気持ちに寄り添うことができたような気がした。
まるで長く側にいた同士の様に。




