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メイリンは後宮に花や木を植える。

広い敷地を考えると、点々と生える植物は見すぼらしくも見えるが、時間をかけて花々に囲まれた庭園へと変わるだろう。

先程から花しょうぶを植えているメイリンの手は土にまみれており、薬を塗り込んで綺麗にしていた手も以前の荒れていた手までとはいかないが、仕事をこなしているようなしっかりとした手になっていた。

その手を見るとメイリンはしっくりとすると同時に、なんだか家族を思い出して安心する。

土に感触も匂いも心地よい。

花しょうぶはこの後宮で唯一残った池の傍らに植えられる。

その池の中には小さな魚たちがいて、あの惨状の中から生き残ってくれて同じく後宮に住んでくれる存在に、メイリンも少なからず癒されていた。

木陰を作ってあげたいな。

小魚たちもまた平穏で暮らせるように。

庭園は以前のような上品で優雅なものではなく、果実や平民が好むような身近な花などもメイリンは植えていた。


「前と違っていても気に入ってくれるかしら。」


メイリンが一人呟く。

龍王とサーシャ以外はほとんど話さなくなったメイリンは後宮に住まう仲間たちに声をかけた。


「メイリン?」


思ったよりも早くに後宮に帰ってきた龍王にメイリンは驚き、魚に喋りかけていたことを恥ずかしく思い、頰を染めた。


「ただいま、メイリン。」

「おかえりなさい。」


土で汚れてしまった衣服などを全く気にするでもなく龍王は感情のままメイリンを抱きしめ、メイリンはそれを受け入れる。

このまま平和に暮らして夫婦になっても今のように幸せに暮らして…そして、いつか植えたばかりの木々に実が実る頃にはメイリンの我慢も、龍王の憂いも報われたなら…

悲しいものを押し込めるためだけだった後宮も、少しずつ宝物で溢れますように。

龍王の腕の中でメイリンはそう願った。

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