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メイリンは後宮にいた。
後宮に入るとすぐに鍵が締められるが、ここにいる龍たちは自らこの檻の中にいると言う。
冷たい廊下は誰もいないというのに、視線で溢れている。
サーシャの言葉を聞いてその視線の意図するところが少しずつわかって来た。
私を品定めして、以下に利用するか、そして肉食動物がオモチャを見る目だ。
皆、すぐに壊れるオモチャでどう弄ぶか算段している。
憎しみではない余裕のあるような感覚は容姿や龍としての優越感だけではなく、捕食者としての目だ。
お茶会のお誘いは多々あるが、龍王が特別に付けてくれた侍女たちがメイリンに話を持ってくる前に断ってくれる。
しかし、2回目の後宮となった今回、荒々しく出でくる者もいるらしく、時々扉が騒がしい時もあった。
「メイリン、大丈夫か?」
ドアが開いて龍王が顔を出す。
それが何よりもメイリンの安心させた。
「ハクレン様。」
駆け寄ろうとするメイリンに、龍王が待ったをかける。
「これ以上は…私はメイリンの顔を見たかっただけ…」
その言葉を聞いて、メイリンは少し残念な気持ちになってしまった。
メイリンは自分から触れたいと思うくらいに龍王を好きになっていたのだ。
「…素直なメイリンというのも凶悪さが増すな。」
龍王は困った顔をすると手のひらから一輪の花をドアの前に置いた。
「メイリン、会えてよかった。また明日も来よう。」
そう言うと龍王はすぐさま居なくなってしまった。
龍の咆哮が聞こえる。
龍王様は精一杯我慢して来てくださっているのだと、自分に思い込ませると、名残惜しく置かれた花を取りにドアのところまでメイリンは足を運ぶ。
メイリンが花に手をかけた瞬間、その手の上から誰かの足が乗せられた。
その足はその大きさに見合わぬような凄まじい力でメイリンの手を花ごと踏みにじった。
メイリンは言葉にならない声で絶叫する。
そして、脇腹に衝撃を感じてメイリンは意識を失った。




