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「彼奴の事が好きなか?」
龍王がメイリンを覆い被さるように囲い込む。
正直、社交辞令だけでここまで嫉妬されるとは思っても見なかった。
思えば、龍王はメイリンが鶴を見たいと言った時からもう少し怒っていたような気がする。
「…地上には鶴の番いの話がありまして…その話の真偽を聞きたかったのです。」
「ならば、私が聞いておいたものを。」
鋭い眼がメイリンを刺すように見下ろしていた。
メイリンはサーシャから教えてもらった番いのあしらい方を頭の中で探している。
これは里帰りの時と同じようにあしらいが効かないような気がしてならないが、最近滞りがちなお仕事を円滑に進めるべくメイリンも必死だ。
でなければ、カンレイのネチネチした小言が待っている。
それに、龍王が愚鈍な王に成り下がったと言われるのもメイリンは嫌だ。
今はまだ微笑ましく見られているみたいだが、反面でそう龍王を悪く言う者もいるらしい。
「…鶴は番いが死んでもその骸が消えるまでその場を立ち去らない、私はそんな鶴の番いに憧れを抱いていました。」
メイリンの祖父が戦の為に徴兵された時に祖母に話した鶴の番いの話である。
そして、「私が帰って来なければ新たしい番いを迎えなさい」とも。
しかし祖母は祖父の言う通りにはせず、生涯帰らない祖父のことを想い続けた。
それはとても辛そうにも見えたが、メイリンは羨ましく思っていたのだ。
「メイリンは鶴の番いになりたいのか?」
怒りの次は懇願するような表情を龍王が浮かべる。
これはメイリンに対する警告なのだ。
これ以上はダメだと。
「私にはハクレン様しかおりません。」
どうして龍王はそんなに余裕がないのだろう。
龍の雄の独特の執着にメイリンは中々慣れることができない。
「私もだ。メイリンしかいない。」
こんなに言葉同士では好き合っているのに、思いは通じ合わない。
それは何故なのかメイリンは分かってる。
龍王は龍としての番いの絆が欲しくて、メイリンは龍の本能ではなくハクレンの心が欲しいのだ。
そして、龍王の気持ちには永久に応えられないし、本能抜きで自身は好かれないことをメイリンは知っている。




