第四十七話:消える痕跡
「伯父さん……これ、ヤバいんじゃ……?」
俊也が画面を覗き込みながら、不安そうに呟く。
誠司のスマホには、未だに《冥府への道は、もはや引き返せぬ》というメッセージが表示されたままだった。タップしようにも、スクロールしようにも、何の反応もない。
「ゲームの運営に問い合わせてみよう」
俊也が自分のスマホを取り出し、公式サイトへアクセスしようとする。しかし——
「……ページが開けない?」
「何?」
誠司も自分のスマホで試してみたが、まるで運営のサイト自体が消滅したかのように、何度アクセスを試みても「存在しないページ」と表示される。
「おかしいな……昨日までは普通に見れてたのに」
俊也が焦ったように画面を操作するが、どれだけ検索しても、ゲームの公式情報が一切出てこない。
「そんなバカな……Eternal Fantasia Onlineの情報が、ネット上から消えてる……?」
俊也の声が震える。
「公式サイトが閉鎖された? いや、それならニュースになっているはずだ」
誠司はSNSやゲーム関連の掲示板を検索するが、《Eternal Fantasia Online》に関する書き込みがまったく見当たらない。
昨日まで存在していたはずのゲームが、まるで最初からなかったことになっているかのように、痕跡すら消え去っていた。
「どうなってるんだ……?」
「こんなの聞いたことない……。普通、サービス終了したゲームでも、wikiとか、ユーザーのブログ記事とか、残るはずだろ?」
「ああ。どれだけマイナーなゲームでも、完全に消えるなんてことはまずない」
まるで意図的に痕跡を消されたかのように、すべての記録が消えている。
誠司は考えた。
——この異常な状況の中で、“何か手がかりが残っている場所”はないか?
彼はふと、「Wayback Machine」(インターネットの過去ログを保存しているサイト)を思い出した。
もし運営の手によって削除されたとしても、過去のデータが残っている可能性がある。
誠司は、いくつかのキーワードを組み合わせ、アーカイブされたページを探し始めた。
——そして、ひとつの古い記事がヒットした。




