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信じぬ者は掬われる。
暫くしての事。
栗原夫妻は、嫌がらせ、身に覚えの無い誹謗中傷を受ける事になる。
【人でなし】【鬼畜】【人非人】そう云った言葉を、外壁や車に落書きされた。玄関には張り紙を貼られ、無言電話、いたずら電話が終日鳴り止まず…。意図的に悪い噂を流された。
栗原夫妻は…。
日に日に窶れていく事となる。
栗原夫妻の悪い噂は瞬く間に広まった。病原菌が感染していく様に…。細菌汚染が拡散していく様に…。其れは人々の心に侵蝕していった。
【娘は虐待されていた。】
【だから娘は精神を病んだ。】
【そして樹海で自殺をした。】
その言葉は…。
栗原夫妻を巣食った。
身に覚えの無い言葉…。
でも…。
幾度も眼にする度に…。
幾度も耳にする度に…。
娘を虐待し…。
死に追いやったのは…。
自分達なのではないのか…。
そう思い込む様になり…。
やがて…。精神が壊れたのである。
そんな栗原夫妻は…。
救いを求め…。
とある新興宗教へと入信した。
と、風の噂で聞いた。