信じるしかなかった。
その手紙を読んだ鷹山悠人、沙織夫妻は、息子である睦を生き返らせる為に奔走した。純粋に愛する息子を思うが故の行動であった。
サイトへとアクセスし、管理人であろう人物への接触に成功したのである。
指定された場所へ赴くと、其処には、幸薄そうな女性と思われる人物が椅子に腰を下ろし俯いていた。その人物は、鷹山夫妻に気付くとユルリと顔を上げた。色白で生気の無い瞳。半開きの唇。生きているのか死んでいるのかさえ曖昧だった。まるで生ける屍の様だ…。
容姿は…。
不気味なまでに整い過ぎている。
ソレは囁いた。
「ようこそおいでくださいました。わたくしは【四月一日二葉】と申します。わたくし自身、長い闘病生活で生死を彷徨っていた時期がありました…。そんなわたくしだからこそ、貴方達の手助けが出来ると確信しています…。」
その声に、鷹山悠人は少し違和感を覚える。目に映るモノと目に映らぬモノの差異なのであろう。その容姿と発せられた声が、如何にも一致しない。そんな気がしていた。しかもこの顔に見覚えがある様な気もする…。
その思いを打ち消すかの様に…。
鷹山沙織は慟哭した。
「息子を生き返らせてくれるのですか?お願いします。その為なら、私達はどの様な事でもします。お願いです。息子を助けて下さい…。生き返らせて下さい。」
その言葉を聞き終えると生ける屍は…。
満面の笑みを浮かべたのだった。