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[18万pv突破〕異世界逆襲談 貴族パーティから追放された平民のアサシン。屈辱を与える為の成り上がり  作者: ディケー
お家取り潰し

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第77話 物産

第77話 物産


 壁門を潜った先に広がる光景は先程とは異なる。


 背の高い酒場などの建物が少なくなり、簡素な作りの二階建ての家が多くなり、国の外側に向かうにつれて更に生活レベルが見て分かるほど劣化していった。


 建物も、明らかに貴族領とは異なり簡素な者で平民と貴族の間には埋め難い深い溝がある事を再認識する。


 しかも、貴族領から離れれば離れるほど二人が走る道も悪くなり最終的にはスラムのように何も整備されていない土地になる。


 貴族領から平民が住む平民区に入ったのだから当たり前ではあるのだが、平民区で馬を乗り回す二人の姿はやけに目立つ。


「ここから道が土になるからもっとしっかり捕まって。レンガや岩で舗装されてる貴族領とは違って馬が地面に足を取られて躓く」


「はいはい」


 手慣れた手付きでキノの腰を更に締めると、ウマはどんどん加速していく。


 キノも馬を無理矢理走らせているわけではなくあくまでも馬の調子を見ながらゆっくりとなだらかに加速するので、僅かに汗を浮かべる馬も気持ちよさそうに走っていた。


 色々な意味で充実し、刺激的な1日を送ったせいか、夕暮れ時の西日が、やけに目に染みる感じがした。


 通りすがる人々が点のように後ろに消えていき一体いつまで馬で走るのか不安にはなるが、この状況を楽しんでいるのも確かであった。


「ねぇ、キノ?」


「ん?」


「私の事、正直どう思った? ワザと孤児院の場所をバラした挙句にサルバトール家の協力者として現れた身勝手なわたしを....」


 キノに何も相談する事なく、駒として扱い子供達にも危険を及ぼしたのだ。聞くまでもなく軽蔑されている事など理解しているつもりだった。


 しかし、心の何処では優しい言葉をかけて欲しいと言うのが本音だった。


「軽蔑してる」


 予想していたとは言え、思った通りの言葉が返ってきて胸がちくちくする。


「エナは私に会えない寂しさから、貴族領地のバーに忍び込んでバーで飲んでその時にサルバトール家の事業の事を知ったんでしょ?私もエナの後に店に入ったんだよ。もう少し長くいてくれれば一緒にお酒呑めたのに」


「軽蔑してるってそっち!?」


「そうだけど?その後に会えれば、私はゲルドの家が何をやってるのかを知れたしエナも一人で悩まなかったでしょ?」


 軽蔑してる理由が斜め上で驚きを隠せない。


「でも、あの日まだエナは飲めない年齢だよね?度々、貴族領に忍び込んでバーとかに行ってるのは知ってたけど、お互い飲める歳になったら一緒に飲もうって言っといて裏切ろうとしたんだ。その悪さを辞めさせとけば今回からみたいなことにならなかったかな?」


「違う!? 別に、お酒を飲みに行こうとしたんじゃなくて....」


「じゃあ、何しにいったの?」


 その日誕生日だったキノがもしかして来ていないかと淡い思いを込めてバーに行ったのだが、それだけは知られたくない。


「何しに行ってもいいでしょ!? ちょっとスリリングな夜の散歩をしたかったの!」


「なーんだ、私に会いに来てくれたのかと思って嬉しかったのに。違った」


「え?」


 手綱を握りながらもシュンとしているのが分かるほど肩を落とししょぼくれているのが分かった。


「本当にそう思ってるの?」


「勿論、あの時期は忙しくて仮宿から出られなかったから会いたかった」


 今までのように揶揄われているのではないかと慎重に探るのだが、ここまで来て揶揄われている事はないだろうとエナも本音を口走ろうとする。


「本当は...誕生日だったキノに...会えるかと思って....」


「孤児院をエナ一人に任せて大丈夫か、気が気じゃなかったの! みんながどうしてるか聴きたかった」


 エナが小声でモゴモゴと本音を言っている中で、キノが自分の本音を大きな声で叫ぶ。


「私に会いたいんじゃないの!?」


「それもあるけど、みんなも心配。エナも離れて暮らせばそう思うでしょ?」


「そりぁ、思うけど....」


 どことなく寂しい表情を浮かべ、不完全燃焼のエナが腑に落ちない顔をしていた。


「本音なんて、恥ずかしくて言える訳ない」


 顔に激しく打ちつける風に乗せ、蚊の鳴くような声でポツリと心の内を一瞬露わにする。


 どちらが言ったのか分からない一言を。


 冷たい息で肺を満たし、シャキッとした表情でいつもの調子を繕うと淡々と息を吐いた。


「それより、このガタガタはいつまで続くの?」


「もう少しで着くから、それまでの辛抱」


 てっきり孤児院に戻っているとばかり思っていたのだが、道が違う。


「もう着いた。連れてきたかったのはここ」


 馬が止まり、キノ横から顔を出すと国外の平原へと繋がる壁門。平民区の最果て、70番地だった。


 この辺りは住宅地が多いのだが、店が極端に少ない為、まだスラムの方が勝手がいいと言われる程だ。周りに家はあるものの、歳を取った人が多く住み街の活気というものは微塵もない。


 それどころか、身分維持の為の税金を払えなくなりスラムにいつ落ちてもおかしくない人たちの巣窟と揶揄する人もいる。


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