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[18万pv突破〕異世界逆襲談 貴族パーティから追放された平民のアサシン。屈辱を与える為の成り上がり  作者: ディケー
お家取り潰し

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第65話 紹介

第65話 紹介


『ねぇ?貴族領の外から連れてきたい人がいるから許可証が必要なんでしょ?なのに、なんでラウンジ?』


『中で待たせてる』


 手を前に出し、ユエルがゆっくりと馬車から降りて、扉を閉めると馬車が走り出す。


『中で待たせてる?ってどういう事!?その子も下民でしょ!?下民区から貴族領に来るための許可証はどうしたの!?』


 エルタネ公国では労働意欲を上げるために、一定の社会的地位によって住む場所が制限されている。下民区から貴族が住んでいる領地に行くには冒険者や商人、教会に仕えている者であれば基本的には往来ができる。


 それらの職に就いていない者は基本的に貴族領に住む者の許可が必要になるのだ。もし、許可もなく侵入したことが露見すればタダでは済まない。


『偽装した。入る分には入れたけど、帰りの分まで詐称書類を作るお金がなかったから....』


『呆れた....。それで私を呼んだ訳?もし私の身体が治ってなかったらどうするつもり?』


『屋敷に火でも放って、金品を盗んでお金にしようかと思ってた』


『今までで一番、身体が治って良かったって強く思ったわ』


 そんな軽口を叩きながら、ラウンジへと入り階段を上がる。


 2階にも席があるのだが、一つの大部屋になっており密談で好んで使おうとする者は少ない。


『ほら、待たせてるのはあの子』


 キノが指さした先にいるのは、シンプルな服にシルクのようにきめ細やかな長い銀髪を纏め、右の肩に乗せる女性。メガネを掛けて日光に照らされているせいかより知的に見え、筒のようなグラスに入ったアイスコーヒーに口を付けていた。


 服装は白いワンピースなのだが、どことなくこちらの世界にはない異世界らしさを感じる。


 エナもキノ達に気が付いたようで、軽く会釈をする。


『お待たせ』


『全然待ってないよ? えっと、そちらの方がキノの元パーティメンバーの....』


『初めまして。プルエアです。この場に相応しくない格好でごめんね....』


『いえ! とんでもないです! 聞いていたよりも綺麗な方で驚いてます』


 よっぽどエナのことを第一印象で気に入ったのか、妹らしさが溢れるエナの前に座り、プルエアの横にはキノが座る。そして、エナの横にはユエルが座った。


『早速で悪いけど、この許可証にサインお願い』


『ちょっとキノ....。いきなりは....』


『いいのよ? 気にしないで?』


 渡された書類に渡された羽ペンで名前を目にも止まらぬ早技で書くと、その上から手を翳し魔力を放出すると、水分でインクが滲まないように加工を施す。


『じゃあ、怪しまれないようにエナはプルエアのお付きの人って設定で』


『はいはい~。分かったわー!こんなに可愛らしい子だなんて聞いてなかったからもう、許可証なんて何枚でも書いちゃう!!』


 身長や胸はエナの方が豊かなのだが、小動物のようにキョロキョロと辺りを見回す姿が愛くるしく、そこをプルエアが気に入ったのであろう。


 心ここに在らずという感じで、中途半端に開かれた口から魂が抜け落ち、プルエアはエナばかりを見つめる。


『キノさん、惚けてるプルエアさんは放っておいて作戦会議しちゃいましょうよ』


『そうね。そうしましょう』


 落ち着いた雰囲気で、ユエルが言い放ち、向かい合い窓から外を見る。


『え? これから何をするつもりなの?』


 少し強めに声に力を入れる。 


 自分だけがこれから何が起こるのか分かっていない疎外感よりも三人は姉妹のように綺麗な格好をしているのに自分だけはこんな格好である苛立ちが心をささくれさせていた。


『大したことはしないよ? 斜向かいに防具屋が見えるのが分かる?』


 身を乗り出して、キノとユエルが見ている窓を覗き込む。確かに斜向かいにそれらしき建物がある。店構えは質素なのだが、看板はギラッギラの気合の入った物になっている。


『なんだか、地味な防具屋ね。あんな店よく見つけられたわね』


 貴族からしてみたらあの程度だと地味ということになるのかと感心しつつ、話を進める。


『私もそう思う。あんな地味でお客さんの少ないお店のマスターがいなくなっても誰も気づかないよね?』


『そりゃあ、お客さんが少ないほど通報は遅れると思うけど、何考えてるの?』


『マスターを店の外に連れ出して、拉致する』


『は?』


 キノがなんとなく発した言葉に意外さを隠せない。これまで歌舞伎者と言うくらいおかしな言動をすることはあった。


 しかし、それはあくまで不思議ちゃんの範囲での話であって犯罪に手を染めるような事ではない。


『理由を聞かせてください』


 放心状態のプルエアに対し、ユエルが冷静に質問する。


『私が羽織っていた外套は、マジックバックを作った人と同じ可能性がある。匿名での技術寄付が数年前にこの国にされて、国はその人を探し出そうとしている。もしそれを私たちが見つけたら、国からは莫大な謝礼が来るし、大公に上り詰める功績にもなる』


『だけど、それは冒険者としてのメリットでしょ? 冒険者から足を洗うつもりの私にとっては....』


『正式にプルエアを雇って、報酬を出す。ワインの生産設備を新しくしたり好きなことに使える』


 甘美のようなその言葉に、プルエアの口から思い切り唾が飲み込まれ、頭の中が物欲で支配される。

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