第468話 監視事項
第468話 監視事項
「私は魔力が豊富に宿った商人さん達が扱うお肉の方が好きだけどなーぁ」
「確かに魔力を沢山帯びている食材の方が冒険者の方々や運動量が多い方々には好まれますね。ただ、柔らかいお肉であったり、病気の弱った体に入れるのであればみなさんの魔力に侵されてないお肉の方が数倍身体に沁みます」
そんなことを言っているうちにシグが返ってきた。手には纏められたソーセージの縄が幾つも纏められ、地面と擦らないように持ってくるのだが、一本一本のソーセージがこれまた大ぶりなのだ。
「馬車の荷台の空きスペースに吊るしておけばいいのか?」
「あ、はい!それでお願いします!」
「了解した」
荷台に戻り、荷物を吊るす柱の出っ張りにソーセージを素早く引っ掛け、いくつものソーセージを積み込んだ。
「私も手伝いましょうかー?」
「それには及ばない。もう終わった」
「ありがとうございます!」
「それとこれは味見用だ」
シグが商人に成人女性の腕ぐらいの太さがありそうなソーセージを1本手渡す。
「いいんですか!大事な商品でしょうに....」
「商品の味を知っていた方が我々の商品も沢山売れる」
「そうですか!では遠慮なく!」
葉巻のように口にソーセージを咥えると、火の魔石で全体を炙り、熱々ソーセージに齧り付くとハフハフと湯気を口から吐きだす。
しかし、その見た目は葉巻を吸う悪徳商人にしか見えないのだが、全員が言葉を飲む。
「ではみなさん、また来週の朝迎えに来ますねぇー。キノさんたちにも会うことがあったらよろしくとお伝えください」
シグが馬車から飛び降り、腕が限界に達していたシャルの木箱をようやく受け取り、全員が馬車を見送る。
ヴィルが馬車が見えなくなると自分たちがきた方向を何かを待ち遠しく羨望するかの眼差しで見ていた。
「どうかしたの?ヴィルちゃん?」
「いや、他にも馬車来るのかなって?ちょっと気になっちゃってさ」
「確かに、あの馬車に紛れて刺客がこの森に紛れ込んでる可能性はあるもんね。でも....私もう腕が限界かも!!」
「だらしないな。銃ばかり撃っていると腕の筋肉も落ちるのか?」
「私!銃背負ってるんだからね!!結構重いんだよ!!」
「それ言うなら、私とシグなんてそれより重い剣に外套の裏側には色々と近接戦闘の武具だって仕込んでるんだからな!」
「まぁまぁ、みんな。音は聞こえないし馬車は早々来ないんじゃないかな?それに私は家の中のことも家の外と同じぐらい気になっちゃってるから、今日は中がどうなってるのか早めに知りたいかも.....」
拠点の玄関を開けて、中の匂いを嗅ぐ。先週のようにあからさまな異臭はしないのだが、誰かいることは明白であった。
「お帰り。思ったより早かった」
「あ、お帰りなさい!!少し遅めのお昼ご飯もう出来てますよ?」
悩みの種はこの二人の冒険者、キノとエナなのだ。
「で、今日はお二人は何してるんですか?とんでもなくいい香りが充満してるんですけど!!!」
「まるで毎日着てるような言い方。今日はチーズフォンデュ。酪農とは縁のない生活してる4人に文化の味を楽しませに来た」
「毎週来てるじゃないですか!?」
「私達ちゃんとみなさんがお仕事できてるのかが心配なんですよ?」
「そんなに子供じゃないから心配しなくても大丈夫だよ?因みに今鍋の中で煮てるこれはこのまま食べるの?」
「ちょっと!!!」
ヴィルが丁寧に答えるも、ハヤテ以外の3人は外套を素早く掛け、キノが調理を行う台所に向かい、キノが火を使い上から吊るされた鍋で加熱している物の中を覗き込む。
大きな餌付けされた子供3人と言う言葉が似合う。エナもテキパキと木製食器をテーブルに並べ、ハヤテだけが微妙に浮いていた。
観念したのか、ハヤテも外套を脱ぎエナの準備を手伝い始める。




