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[18万pv突破〕異世界逆襲談 貴族パーティから追放された平民のアサシン。屈辱を与える為の成り上がり  作者: ディケー
お家取り潰し

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第37話 暴露と夕闇

第37話 暴露本と夕闇


「さてと、どっから出よう?」


 キョロキョロと通路を見回しどこがいいか場所を探す。


「何してるんですか?ダンジョンの外に出るんですよね?来た道を戻れば良いんじゃ?」


「そんな簡単にはいかない。ダンジョンは中身を出さないように外部から干渉して外からしか力が入れない道を作って切開みたいに入るから入り口って概念が存在しない。来た道を戻っても入り口には戻れない。ダンジョンの中から出るにはクリアするか高価なアイテムをつかうか....」


「なるほど。じゃあ、どうやって帰るんですか? プルエアさんが持っていたのは高価なアイテムなんですね」


「無属性魔力を使って、出口を作る。壁に道を作る命令分を直接コードとして書き込むの。体内魔力を属性魔力に変換できない私でもできるから難しくないよ? プルエアが持ってたやつは回帰の書って言って魔力が安定してる場所ならどこからでも脱出できる。そのワンランク下が死に戻りのアイテム」


「ヘェ~、プルエアさんが持っていた回帰の書みたいに一瞬で帰れるわけじゃ無いんですね?」


「あれには無属性とは別の魔力が込められているからある程度魔力濃度が安定しているところなら外に出られる。だけど、無属性魔力は奇跡とされる魔法の源は安定しないからできないけどね。境界面を探さないと」


「境界面?」


「外と内側を分けてる膜みたいなやつ。ダンジョンの中は魔力で押し広げられて膨張されてるから見た目以上に広い空間ができてる」


「もしも、ですけど無理矢理外に出ようとして中のものが外に出たらどうなるんですか?」


 興味が湧いたのか、純粋な疑問を解消すべく問いかける。


「大したことは起こらないよ?目に見えるような変化が急に起こったりはしない」


「なら、安心ですね」


「ただ、ダンジョンで培われた濃い濃度の魔力が外に流失していくから何も知らないで入った人が高濃度の魔力依存症で倒れたり、草木が枯れたりする。最悪の場合は魔物が栄養を求めて何も知らない人をダンジョンの中にひきずり込んだりする....」


「滅茶苦茶大事件じゃ無いですか!?」


「え?そう?この辺りじゃ魔物が彷徨いていたりしてもそんなに珍しくないし、感覚が麻痺してるのかな?」


 貴族領地以上では、街のそこかしこに衛兵が配置され、魔物の出現はおろか、人間同士の争いが迅速に制圧される。平民区域でも、衛生的なダンジョン運営が心掛けられ、稀にダンジョンの外に魔物が出現する可能性があると24時間体制で冒険者ギルドが監視を行い、異常が有れば制圧のための冒険者が派遣される。


 よって、人々が生活している区域に魔物が彷徨うなどと言うことがあれば担当していたギルドの不手際として最悪解体があり得るレベルなのに、下民区では平然とそれが行われているのだ。


「逆に丸腰で会った時どうするんですか?一方的にやられますよ!?


 この国では中心が王族が住む特別領地、その外が爵位持ちの貴族が住む貴族領地、更にその外が爵位を持たない平民が住む平民地区、平民区域の最果てが戸籍のない人々や訳ありの下民が住む下民街区の4つに分別される。各領地には立派な外壁で隔てられているのだが、下民街だけはスラムのようになっており、誰も寄りつこうとしない。


「だから基本的に弱い人は死ぬ。今スラムで生きてる人は地面に座っていても生気がない様に見えるけど案外強いよ」


「だったら!! 最上位の爵位まで上り詰めて私が下民区に冒険者ギルドを作ります!! 冒険者として大公の地位に上り詰めれば、できる範囲で好きな政策を施行する事ができるんですよ!」


 スラム街の人に少しでもまともな生活をさせたい。純粋にそう思って捻り出した一言だった。


「助けても見返りがこない。だから冒険者ギルドも関与しないのにどうするつもり?」


「それなら、慈善心のある冒険者に声を掛けて魔物を一掃します!! それなら見返りは入りませんし、私が育った修道院の強い人に声を掛ければすぐに....!」


「余計なことしないで」


「え?」


 期待していた温かなお礼とは対照的な程無機質な返答が返ってくる。


「スラムで生きてる人ってが着ているボロ雑巾みたいな服、自分でも何を食べているのか分からないほどグチャグチャになったご飯、病気の時に噛む気休め程度にしかならない噛む薬草....そういうものってどこから調達するか分かる?」


「それは....」


 自分や普通の人であったら労働をして賃金を獲得し、欲しいものや必要なものを購入する。しかし、戸籍や身元証明が無いのなら働く事すらできない。キノのように貴族と直接雇用契約を交わしていればある程度はそれだけで身元証明とされる。


 だが、そんな人キノ以外に聞いた事がない。つまり、ユエルはスラム街の事を何も知らないのに、さっきの事を口走ったのだ。


「分かりません....」


『ボロ雑巾みたいな服は魔物の皮を剥いて、グチャグチャになったご飯は皮を剥いだ魔物の臓物のシチュー、病気の時に噛む気休め程度にしか効かない薬草も魔物の体液で育ててる。スラム街にダンジョンからの魔物が迷い込んだお溢れで殆どが生計を立ててる。それでも必要な物は豆粒にも満たない魔石を通りすがりの冒険者に売る。時には蹴られ、殴られる。そんな環境で生活してる人からこれ以上何かを奪う気?』


「すみません、そんなことになっているとは知らなくて」


「中途半端な優しさ自分が良かれと思った慈悲が必ずしも人を救うとは限らない。覚えといて」


「はい...すみませんでした....」


 先程までの力無く、涙で潤んだ瞳で脱力感に打ちひしがれる。


 ユエルのパーティがダンジョンに入ってきた辺りまで戻ってきた。入ってきた時はすぐ背後が壁で前に進むしかなかった。しかし、今その背後の壁はなくなり先が見えないほどの暗闇に染まっている。


「入ってきた場所のはずなのに....」


「ダンジョンは絶えずに広がったり、道が組み変わる。最深部である程度は弄れるけど、完全には制御できない」


「そうなんですね。知らない事が沢山あります」


 「机の上で学べることよりも、実践で培われる力もあるからね。境界面を探しましょうか?』


 辺りをキョロキョロとキノが忙しなく辺りの壁に手を触れる。


「具体的にどうやって探すんですか?見てるだけで分かる物なんですかね?」


「慣れれば感触で大体わかる。慣れてないだろうし、『強視』で探した方が分かりやすい」


「やってみます!!『強視』」


 瞼の裏に魔力を集中させ目をゆっくりと閉じる。再び開けると魔力の膜が張られ、先程よりも視界が開けている。


 だが、それだけ。キノの言う境界面と言われるような物は見つからない。


「え?本当にある?これ?」


 キョロキョロと辺りを見回して見るのだが、見れば見るほど分からなくなってくる。


 不意にキノを視界に収める。一定の強さを持つ冒険者は無意識のうちに日常生活を送っているときでさえ、薄い膜で覆っている事が多い。しかし、キノの体からは魔力の流れが異様な程感じられない。まるで無機質のように冷たいのだ。


 しかし、締まりのある体に程よくついた身体には憧れを抱く。いつか自分もあんな体型を手に入れたいと邪な思いが頭の中を駆け巡る。


「さっきの言葉覚えてる?」


「え!?あ...ああ!私が爵位の1番上に上り詰めて下民区のスラムをどうにかするって言っちゃったあれですよね?何も考えないで言っちゃってすみません」


「でも、正直嬉しかった」


「え!?」


「私が冒険者を目指したきっかけは下民区をもっと住み良い場所にしたいから。そのためには政策を施行する権力を持つ大公になるしかない。大公になって施工できる政策は一つだけ。殆どは自分に有利な物を施行して、富を肥やす冒険者が多いのに、真っ直ぐな目で下民区を良くしてくれようとしたのは嬉しい」


「キノさん....」


 頭ごなしに否定されたのでは無く、自分の思いを汲み取ってくれた事が分かり、心の中では安堵感が生まれる。


「でも、大公になるにはかなり勉強が必要みたいだけどね」


「ちゃんと勉強しますよ!?これからです!?」


「フフフ。じゃあ、期待しないでおく」


「少しはしといて下さいよ!!」


 にっこりと浮かべたキノの笑いが印象的にユエルの目に焼きついた。


「でも、怖い」


「何でですか?」


「大公に上り詰めた後って知ってる?」


「え?えっと、そういえば、あんまりみませんよね?」


「あんまりどころか、冒険者からの成り上がりでなった後は全くみたこない。消されるが決まりだったり」


「こわい想像やめてくださいよ!!」


「ごめんね。金を払えばどんな仕事の人でも大公になれるけど、収入的になれるのは冒険者ぐらい。だけど、そのあとは綺麗に消される」


「一体何のために....ですか?」


 恐る恐るユエルがキノに聞き返す。したくない想像だが、一体どうなってしまうのか?気休めでもその答えが欲しい。


「大公は一人で戦争中の戦況を左右するほどの力がないと就けないって言われてる。大公になった人同士が国家転覆を図ったら実際に転覆できちゃうから誰かに消されているんじゃないかな?例えば、王族とか....」


「怖すぎる!?国を守る為の王族がそんな事してたら終わりですよ!!?」


「でも、王族ならやりかねない。富国強兵を謳ってるけど国の危険分子を摘み取る為の爵位制度だったりして....」


「それこそ、憶測ですよ!!」


「知ってる。だから、上り詰めてどうなるのか確かめて見る。もし、私に何かあったら助けてくれる?」


「勿論です!」


 再び屈託のない笑顔でユエルが勢いよく返事を返す。


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