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葉っぱの勇者 -葉っぱ一枚で始まる愛あり、友情ありの仲間との絆が紡ぐ異世界召喚冒険譚-  作者: 地雷源のチワワ
第一章 異世界召喚

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第4話 刀の力

 大牛が入ってきた扉に小さな影。


 そこには俺より身長の高いだろう色白の男がいた。


 まるでヴァンパイアのような見た目をしている。


 黒いマントをなびかせながら黒い方側のガントレットを身に着けている。


 西洋貴族のような装いをしている男はゆっくりと歩いてきた。


 腰には直剣が1本。


 浮遊している不思議な球体が2つ。


 魔法……なのかな。


 それに拍手をしてくれたと言うことは……味方?


 助かったのか? とそんな淡い期待は次の奴の一言でかき消されてしまう。


「見事だ。いずれ四大従魔よんだいじゅうまにすら上り詰められただろうムルをこうもあっさりと倒してしまうとはね? いやはや残念でしょうがない」


 四大従魔? 


 上り詰める? 


 何を言ってるんだこいつは。


 でも、こいつが明らかに何を指して言っているのかは明らかだ。


 俺が倒した巨大な牛だ。


 きっとこいつがムルという名前で……つまり、あいつは敵だ。


「だ、誰だ?!」


 聞いたところでわかるのか?


 だが俺がそう言いだした途端にその場に止まりお辞儀をし始めるヴァンパイア。


「おっと失敬失敬。我が名は栄光あるメールヴァレイ帝国現皇帝。魔王アヴァラティエス直轄、四大従魔が一人。ド・メル・トルントールだ」


「どめるとるんとー……」


 もうだめだ。


 急に魔王アヴァラティエスだの四大従魔だの言われて訳がわからない。


 このアーグレンとかいう国を襲ってる魔王の幹部が現れたって事なのか?


「おやおや。下等な人族に我らの崇高な名前は難しい発音であったかな? しかし……ここまで生き残っているんだ。その力に敬意を表して貴様の名を聞いてやろう。申せ」


 言ったら呪われるとかないだろうか?


 わからない。


 でも……奴の真剣な眼差しは、どこか怒りに満ちているようにも感じる。


 俺はその気迫に気圧された。


「カ、カタナシ ソラだ」


「ほう……東の者か? だからそんな不思議な恰好をしているのか?」


「これは……俺も聞きたい」


「ふむ? まあいい」とトルントール?はゆっくり歩いてくるのだった。


 俺は刀を構える。


 そして奴は床を見た途端に何故か顔をしかめた。


「……ん? 貴様。もしや?! いやまて、現れてもおかしくはないか。一度魔王様に……」


「な、何を言っているんだ?」


 すると突然不敵な笑みを浮かべながら奴は言う。


「生まれたて早々で可哀そうなことをしてしまうがソラよ」


「な、なんだ?」


 瞬間、奴が左手をこちらに向けた途端、驚くことに魔法陣が浮き出てきた。


「魔法?!」


「死んでくれたまえ。レイエ・ラーヴァ!!」


 とてつもない速さで熱線が迫りくる。


 寸でのところでかわすも空気が熱を帯び体を焼いた。


「あっつい!!」


 ゲームとかだと無敵回避やらで難なく避けているかもしれない。


 けど、あんな熱のかたまりに近づけば火傷するのは当たり前だ。


 いやまて、そんなこと考えてる場合じゃない。


 くらったら死ぬぞ。


 その刹那。


 俺がその熱線に気を取られている隙に奴は間合いを詰めてきていた。


 飛び出るような勢いのある直剣が迫る。


「ほれほれ、我から目を離すとは余裕だな?!」


 目にも止まらない速さにたまらず刀で受ける。


「っく?!」


 すると唐突に男の声。


『なっちゃいねえな?』


 なっちゃいねえなって言われても。


『もっと腰を入れて!! 覚悟をもって構えるんだ!』


 そんなことを言ったって刀なんて持ったことも触ったことも振ったこともないんだからしょうがないじゃないか。


 直剣を勢いよく弾く。


 その勢いのまま流れる刀を返し回転斬り。


 しかし、かすりもせずバックステップで軽々避けられる。


「ほぉ? ムルを倒すだけあってとんでもない力を持っているな。だが、これはどうかな?!」


 くるくると直剣を遊ばせるように回転させ再び切り結ぶ。


 重い。


 甲高い金属音が心臓を震え上がらせる。


 怖い。


 まずいって死ぬってこれ。


 怖くてたまらない。


 その証拠に足が……


 いや……


 何故か竦むことはなかった。


 わからない。


 いったいどうしちゃったって言うんだ。


 刀と剣が交差する。


 寸でで避けて見切っては返す。


 例え刃が頬をかすめようと俺は前へ、前へと進んだ。


 そんな状況にもかかわらず……俺は、それ以上に不思議と何か高揚感のようなものを感じていた。


 先ほどまで震え上がっていた心臓が高鳴っている。


 怖いのに……逃げ出したいのに。


 剣線を読ませないように動く奴の剣はとても洗練されているのがわかる。


 どこからくる?


 そこからくる?


 予想に予想を重ねる。


 受けてはいなして避けては斬り合う。


 ギリギリの攻防。


 こんな命がけの戦いをしているというのに。


 ひどく怖いはずなのに。


 心が躍ってしまっている自分がいる。


 刀から熱い何かがこぼれ出るような感覚を感じる。

 

 瞬間、『良い。良い感覚だ!!』どこからともなく声が聞こえる。


 何が良い感覚なんだよ。


 俺は、この声の主がようやく何なのかがわかった気がした。


 思えば……この刀を抜いてからおかしくなったようにも思う。


 普通は動けないはずの体が思うように動けてしまう。


 そして思うように力を出せるから戦えてしまう。


 握ったことのない刀であるのにも関わらず何故か幾千幾万、幾億と共に過ごしてきたかのような一体感を感じる。


 気が付けば余裕とでも言わんばかりだった奴の顔が曇っていた。


「ええい!! イグニスフィア!!」


 とうとう至近距離で魔法を撃ちだした。


 左手より小さい魔法陣が即座に展開された後、炎の球が飛び出す。


 当たれば痛いだろうし火傷とかひどそうだ。


 そんな想像をしてもなお、俺の心は至って冷静だった。


 体が迫りくる危機を即座に、自然に対処する。


 剣を交えてから後方へと飛んだ。


 奴も距離をとる事が狙いだったらしく大きな魔法陣が地面に浮かび上がると何かを唱えていた。


「フラマ・グラディウス!!」


 瞬間、剣に炎をまとわせた。


 それになんの意味があるのかわからない。


 炎をまとうって……斬ったら斬った個所を焼いて傷口をふさいでしまうから殺傷能力が低くなるんじゃないか?


 それより俺は、なんでこんな考察を……


 しかし、その予想を覆すような結果を見せつけられる。


 それは威力だった。


 相変わらずのとんでもない速度で迫りくる奴の剣。


 大きく振り上げられ振り下ろされた剣は、その実の固さをはるかに凌駕するだろう地面を大きく割ったのだ。


 あれが当たったら命はなかっただろう。


 あの炎を纏う魔法は何かしらの推進力を生んでいる可能性があることがわかった。


 それからは威力の乗った剣を見ていなしたり避けたりした。


 ましてや受ける行為は自殺にも等しいだろう。


 振り出される炎の一閃。


 けれど、そんな強化をされたところで俺に届くことはなかった。


 切っ先や技の最中は恐ろしく速い。


 でも、それを操る奴の初動が技の全てを物語っている。


 どんな強敵でも攻撃の初動は何をするかを素直に写しだしてしまっている。


 それはゲームでも、この世界の戦闘でも同じであることを今、身をもって確信した。


 とても綺麗な炎の軌跡。


 刀を強く握る。


 俺の斬り上げを寸でのところでかわされるも奴の頬をかすめることに成功した。


「な?!」


 おしい。


 やつは驚いているようだった。


 俺も徐々にスピードを上げていく。


 嘘みたいに上がっていく。


 エンジンがかかり、どんどん加速していくように刀も速くなっていく。


 そして謎の声がこう告げる。


『新たなる主よ。いにしえより研鑽され積み重ねられし力を振るう覚悟はあるか?』


 そんなことを言われたって覚悟なんてあるはずがない。


 けど……今はやらなきゃならない。


 このどうしよもない現実に立ち向かえるのなら。


「俺は……《《喜んで》》刀を振るうよ」


 自然と声に出ていた。


 瞬間、飛び上がった奴は剣を構えると見えない何かを勢いよく蹴り俺の目前へと迫ってきた。


 横一文字。


 こう判断した理由は俺もわからない。


 でも、なぜか。


 これは受けても防げると思った。


「んな、バカな?!」


 刀の峰で受けて炎をまとう直剣をはじき返す。


 俺はゆっくりと刀をしまった。


 その姿を見て奴は好機と見たのか体勢を立て直し再び振りかぶる。


 姿勢を低くし鞘を浮かせ柄を軽く触る。


『これが君の……最初の一振りとなろう』


 不思議と頭の中に入ってきた言葉。


 聞き覚えなどない技の名前が頭の中に湧き出てくる。


 なのに体が昔からなじみがあると言っているような得体のしれない感覚に襲われる。


 いつだって、どんな時も……この技は俺を救ってきたかのような安心感がある。


 そして時は来た。


「な?!」


天雷一閃てんらいいっせん!!」


 刀が鞘から走り出す究極の一閃。


 雷鳴を轟かせる抜刀は光の速さを超えるかのような一撃で確実に奴を捉えた。


 しかし、手ごたえはいまいちだった。


 間一髪で避けた奴は片腕を抑えてる。


 その後、何かが落ちる音がした。


「っく!! まさかこれ程とは……甘く見ていた」


 奴は直剣を鞘へと戻し滴る血を懸命に抑えた後に上へと炎の玉を打ち爆発させる。


 それから残った右手を俺の方へ向け「次に会ったら覚えていることだな!!」と捨て台詞。


「逃がすわけ────」


「エクスプロシーヴァ!!!」


 俺が踏み込もうとした途端にとてつもない衝撃の爆発が起きた。


 立ち昇る土煙で周りが見えない。


「どこだ?!」


 俺の言葉が静かに響くだけで周囲を警戒しているも何もなく不気味な静けさだけが残るのだった。

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