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第102話 触れ合う指先の絆

 日がまだ顔を出した頃にそれは行われた。


 豪華絢爛な城の大ホール。


 奥には玉座、そこへと延びる赤い絨毯。


 ホール全体を不備なく照らすきらびやかなシャンデリア。


 俺達が女王様のところへと謁見したところもすごかったがここはより大きい。


 立食形式らしくいくつも並べられた丸テーブルの上には飲み物や美味しそうな食事が並べられている。


 中央は大きくテーブルが避けられサイドには演奏が行われるだろう道具の数々が置かれていた。


 晩餐会はシーナ女王陛下の挨拶が始まる。


「皆の者。復旧、復興の忙しい中来てくれたこと感謝する。此度の宴は勇者一行の活躍を讃えるべく開かれたものであると同時に今日まで戦い続けてくれた我が忠実なる臣下達にも向けられたものでもあることを心にとめてほしい」


 勇者一行の俺達は玉座の階段がある脇に特別に設けられたテーブルで立食をすることとなった。


「まずは勇者様一行の紹介から行わせてもらおう。こちら隣のテーブルにて控えておられるのが本日の主役であるカタナシ ソラ様だ」


 シーンとする中でリィナが俺に合図をくれた。


 え? これ何かしゃべるの?!


 どうしたものかと考えていると小声でリィナ。


「一歩前へ出てお辞儀するだけで大丈夫ですよ」


 それからその通りに前へ出てお辞儀をした。


 すると女王は続ける。


「奇抜で勇敢な出で立ちでアメリア領を反乱の魔の手から救い。ソネイラルの野望を討った者だ。皆その英雄譚を聞きたいものと思うが無礼講とはいえ失礼のないよう努めよ」


 奇抜で勇敢な出で立ちってものは言いようだな。


 しかし、どういうわけかレジナードさんも葉っぱ一枚で奮戦したことについてなんか喜んでいたような覚えがあるけど偉い人って皆その気があるのだろうか。


「隣は皆知っての通りリィナ・ルナレ・アメリア。今日までソラ様を支え尽くしている。此度の戦いでも勇者殿に貢献し勇者一行の者としてその場にいることを皆忘れないように」


 紹介といってもリィナは貴族の間じゃまあ知らない人はいないのだろう。


 アメリア領を治める貴族のアメリア家、長女。


 肩書を今一度意識するとほんといいところのお嬢さんって感じがするな。


「それからその隣にいる獣人ビースティア、一部、あまりよく思わない者もいるだろう」


 ニャーの紹介だ。


 意識の改革が始まったとはいえそうだよな。


 元の世界でも白人、黄色人種、黒人と種族どころか同じ種でも差別意識が絶えなかった。


 それが全く違う種族となるとその意識がどのようにひどくなるものなのか想像ができない。


「しかし、今やレラデランの英雄と呼ばれ大多数の国民を救い天使を退けた功績がある」


 へ?


 まさかレラデランに残っていたニャーがそんなことをしていたとは……


 ニャーを見るとニャーは小さい胸を張って「フン!」っと誇らしげにしている。


「皆も知る家の出かはわからないがロイ・アスラ・ニャステンブルクと言う。この者に狼藉ろうぜきをしたものは如何なる場合にも法の元平等に処されることを心せよ」


「最後にケンジョウ ザンカ。耳の早い者は注目せざる負えないだろう。かのメールヴァレイ帝国、魔王アヴァラティエスを討伐したケンジョウ センジュの息子だ」


 皆が一気にザンカへと視線を送る。


 俺は少し嫌な予感がしてザンカの方を見ると口をもぐもぐとさせていた。


 こいつ、つまみ食いしていやがった。


 ニャーの冷ややかな目、リィナは片手で頭を抱える。


「黒とソネイラルの陰謀を瓦解させ単騎で黒の大半を落とし大多数の天使を倒した功績のある者だ」


 こうしてみると皆、すごい活躍していたんだな。


 正直俺は、俺の事でいっぱいいっぱいだったな。


 意図せずして俺達って結構、曲者が集まってるのだろうか。


「以上が勇者一行の紹介だ。今宵は無礼講、皆が心行くまで戦いの休息となる場であること。光となった魂が静かに眠れることをここに祈る」


 するとシーナ女王はグラスを掲げた。


「乾杯」


 すると全員で「乾杯」と一斉にグラスを掲げた。


 そこから晩餐会は始まった。


 楽団の演奏が始まる。


 見たことの無い楽器があるがとても綺麗な音色を奏でていてすごい気になる。


 それから俺達は次々と来てくれた貴族と挨拶した。


 その時、聞き覚えのある声がした。


「リィナ……その髪はどうしたんだ?」


「キャロル!」

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