42話
謎の美女はまだ目を覚ましそうにないので、二階に避難している子供達のために、飲み物とお菓子を持って行くことにする。
飲み物はピッチャーに氷と水、そしてお中元できたら嬉しい、薄め方にそれぞれの好みのあるあの乳酸菌飲料です。コップは四つ。
最近では濃いめのタイプでペットボトルジュースが販売されていて嬉しかったりします。
お菓子は元の世界から買ってきてたチョコレートでコーティングしたパイのお菓子、お菓子は冷凍庫で冷やしておいたのでチョコはパリパリだ。一人2個ずつ準備して、さて持って行きますか。
あ、イシュタル様とシャドウにはそれぞれお徳用パックの方をお渡し済みです。
元の世界のお菓子、食べたくなるので棚に何種類かお菓子を仕入れてあったりします。
練って楽しいあの知育菓子とか、今度子供達と遊ぼうと思って準備してたりもします。
二階に行き、お菓子とジュースを手渡し、乳酸菌飲料の飲み方を説明する。
エルがチョコのお菓子を手に持って首を傾げていたのに気づいて、こうやって開けるんだよと説明する。
「あまーい!」
ニコニコと笑顔でお菓子の感想をいうエルは可愛い。
一緒に暮らすようになって早1ヶ月、子供とは可愛いもので、本当になんというか可愛いもので、他人の子だろうが、可愛いもの可愛い。もちろん可愛いだけではないのは理解している。
だけど、アルはいつも一生懸命で、エルを守ろうと必死になっている姿を見て、胸が苦しくなる。
エルは夜中に起きて、泣いて眠れなくなる時があって、そういう時は二人とも自分の部屋に連れてきて一緒に抱きしめると落ちついてそのまま眠る姿を見て、切なくなる。
そんな姿を見ているうちに庇護欲というものだろうか?二人がとても可愛く思えてきたのだ、たとえ母親の一族の件が解決したとしてもここに居て欲しい。
もちろん、本人たちの気持ちを優先するので嫌だと言われたら悲しいが、諦めるしかないけれど・・・。
でも、それでも本人たちが許してくれるのならばここに居て欲しい。
もし、この街から他の街に移動することになっても一緒に来て欲しいと思ってます。
子供達にはまだ言ってないし、シャドウにもまだ言ってないけれど、とりあえず解決するまではここで保護するのでそれまでは一緒に入れるのでとりあえず難しくは考えないようにしておこうと思います。
「お部屋でいい子にしててね?シャドウとルナとメアがいれば安全だからね?」
「ミツルさんは?大丈夫?」
「自分はシャドウの側にいるから大丈夫だよ、アル、心配してくれてありがとうね」
頭を撫でると、照れたように笑むアルは可愛い。
さて、では改めて下に行きましょうか、ルナとメアに二人のことをお願いして部屋を出て一階に降りる。
「目が覚めた?」
「いや、まだだ」
「ならシャドウも飲む?」
乳酸菌飲料を飲むか聞くと、飲むとの返事なので二人分、濃いめに氷と水で割って、シャドウはカウンターの向こう側、自分はシャドウの指示によりカウンターを挟んで台所側に座って待つことにする。
うん、美味しいね。寒い時期はお湯で割ってもいいし、暑い時期は炭酸で割っても美味しい、この子供の頃からの馴染みの乳酸菌飲料。ぶどう味とかりんご味とか最近は種類が増えたからなぁ、他のも買ってきておこうかな。
そんなことを考えながらチョコパイも取り出して、一緒に食べていること数十分。
「う・・・うぅん・・・」
美女さんが身じろぎをして、目を覚ます。
「・・・なんだこれは?」
コップなどを片付けて、もしも特別製の紐が千切れて暴れ出してもいいように構える。
とはいっても、シャドウがいるから大丈夫だし、この建物自体がイシュタル様の力で守られているので何かあった時、やばいのは美女さんの方らしい。
「っ!!クソッ、・・・なんの真似だ!!?」
「それはこちらの台詞だ、なぜ、彼女に襲いかかった?」
「その女から姉の子の匂いがしたからだ!!子供をどこへやった!!」
椅子の上でガタガタと暴れながらこちらを睨んでくる美女さん。やっぱりアルとエルの関係者のようです。でもその目つき怖いですよ!
「なぜお前に答えなければいけない?そも、姉の子ということだが、お前はその子供を見つけてどうするつもりだ?」
そうそう、それが気になってたんですよ。
「そんなの決まっているだろうが!!私が守ってやらねばあいつらに殺されてしまうだろうが!!子供の居場所を知っているならさっさと言え!!」
「もし、子供の居場所を知っているとして、お前が本当に子供を害さないという保証はない、口先ではなんとも言えるだろう」
腕を組み、上から目線で話すシャドウさんは威圧感バリバリで怖いですね。
美女さんはグゥッと口ごもる。
シャドウのいうとおり、たしかに子供達に害を加えないという保証はどこにもない。
美女さんは視線を彷徨わせた後
「・・・竜人のことは詳しいか?」
「ああ」
「ならば、逆鱗を渡す」
逆鱗って、なんだっけ、触るとキレるとかそんなのじゃなかったっけ?
それを渡すってどういう事なんでしょう??
「ミツル、少し離れていろ」
「あ、うん。台所の方でいい?」
「ああ、終わったら呼ぶから待っていてくれ」
「分かった」
ついでに台所に飲んだ後のコップなんかを持っていく、うーん・・・何をするんだろうね?
コップを流しに置いて、しばらく待っているとシャドウが呼ぶのでそろっと台所から顔を出すと、紐を解かれて立っている美女さんの姿。
え?大丈夫なの?
「えっと・・・」
「ミツル、大丈夫だからこちらに」
「あ、はい」
シャドウに促されて側に行く、美女さんの身長は自分より高い。おそらく180センチはあるだろう、見下ろされてるのって、なんだか落ち着きませんね。
「竜人にとって逆鱗は奪われると命を握られるのと同等の物だ、それを差し出すということは逆らわないということだ」
「あ、そうなんだ?ということは、子供達にとっても安全ってこと・・・でいいの?」
「ああ、少し話をしようか」
そういって席に座るように美女さんに促し、シャドウも座る、自分はシャドウの横に座るように言われるので素直に座ることにする。
「・・・我の名前はインという」
「あ、はい、ミツルといいます。」
「そちらの御仁から話を簡単に聞いた、すまなかった。我の勘違いで恐ろしい思いをさせた」
ガバっと頭を下げる美女さん、もといインさん。
「あ、はい、わかりました。とりあえず頭をあげてください。
えっと、シャドウ、詳しく聞いてもいい?」
ああ、とシャドウが返事をして、説明を始めてくれた・・・。
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