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14話

お店で出す定食の試作もしながら自室を整え終える。だいぶ準備も整ってきたのだがふと、外に出てないなと思い至る。ノートとレシピ本を閉じて考える。


日々、お店にこもり作業をしていたのだが、せっかくの異世界なのだ。外に出て街を歩いたりしてみたい。気分転換も兼ねて外に出てみたい。が、ここは異世界。どんな危険があるかわからない。というのも一人で出歩かないようにとイシュタル様とシャドウに言われているのだ。

どこかに出かけるのであれば、シャドウとともに出歩くようにと。


シャドウは店舗の方で椅子に座り本を読んでいる。

その横にはココアとチョコレート。甘い物と甘い物の組み合わせだ。

ちなみにイシュタル様にもお土産としてチョコレートを各種お渡ししてある。


「シャドウ、忙しいですか?」


声をかければ、読んでいた本から顔をあげて、いいえ、大丈夫ですよと返事をしてくれる。


「どうかしたのですか?」


「えっと、外に行ってみたいな〜と思っているんですが、ダメですか?」


「ダメではないですよ。どこか行ってみたいところがありますか?」


「そうですね。このお店のある通りの隣にお店がある通りがあるって言ってたのでその通りに行ってみたいのですが」


「わかりました。では、少し待ってくださいね」


「あ、ココアとかゆっくり飲んでください。急いでいるわけではないので」


シャドウにそう伝えると、ではお言葉に甘えてとココアとチョコレートを味わって食べる。

イシュタル様とシャドウは本当に美味しそうに食べるので見ていて気持ちがいい。

自分も自分用に入れていたコーヒーを飲みきり、ノートやレシピ本を片付ける。


お互いに準備が出来てからお店の外に出る。

鍵は今は鎖に繋げてペンダントのように首に下げている。イシュタル様が重たくないようにと使わないときは小さくなる仕様にしてくれて、さらにこの鍵はお店の扉の鍵にもなっている。

なので鍵をかけたあと、服の下へしまい出かける準備は万端だ。


「さて、ではいきましょうか」


「はい、よろしくお願いします。」


シャドウがこちらですよと案内をしてくれて、自分はその後ろを歩く、と、シャドウが立ち止まる。

どうかしたのかな?と思ったら振り向いて、目の前に歩いて止まる。

自分より身長が高いシャドウに見下ろされるのだが、美人に見下ろされると緊張しますな。


「ミツル、手を」


「手ですか?」


シャドウが両手を差し出してくるので同じように手を差し出す。

すると両手で両手を握られる。ん?なんだ?なんだ?


「・・・いえ、こうではないですね」


そういって片手は離される、がもう片手はシャドウに握られたままだ。で、いきましょうと言って歩き出す。


「あの、シャドウ?なんで手を?」


手を繋いだまま、今はシャドウの横を歩いている状態だ。とは言っても歩きやすいので歩幅を合わせてくれているっぽい。


「はぐれないように、ですよ」


そう言って微笑むシャドウに、なんだか照れてしまう。

40歳の自分を照れさせるとはやりおる。

いままで、恋人という恋人はいなかったので、マジで照れる。

そりゃ、10代の頃はそれなりに好きな人とかいたし、仲の良い男友達もいた。

が、やはり歳を重ねていくと、疎遠になり、身近な異性は同僚ぐらいで、それも恋愛対象になったりすることもなかっただけに、やばい美人に手を引かれるこの状況は年甲斐もなく恥ずかしくなってくる。


この行為にそういう意図はない、ただ、はぐれないようにというシャドウの心遣いだから恥ずかしくないと自分に言い聞かせ、むしろこんな美人に手を引いてもらえるなんてラッキーじゃないかと開き直ることにする。


というか、手、汗かいてる。絶対に緊張で手汗かいてる。申し訳ない!!申し訳なさすぎる!!そう悶々悩んでいるうちに


「ミツル、ここが商店の通りですよ」


どうやら到着したようです。が、手を離してくれる気配がありません。よし、本気で開き直ろう、大丈夫、手をつなぐなんてどうってことないさ!!


「ど、どんな店があるんだろうねっ」


「食材を扱う店が多いですよ。雑貨なども取り扱っている店もありますので行きましょう」


そういって、シャドウに手を引かれて商店通りの散策を始めたのだが、シャドウが美人なので、視線が痛いでーす!!

ちなみに今の自分の服装はこの世界に合わせて着替えているので違和感はないと思う。

いやむしろ、美人に手を引かれる凡人のせいで違和感があるのだろう。

なので、特に女性から視線が、視線ガァ!!


「食事はミツルが作ってくれる方が美味しいですから戻って何か作ってくれると嬉しいのですが」


「あ、はい、それは作ります。」


シャドウは本当にご飯を美味しそうに食べてくれるので、食べたいと言われたら喜んで作りますとも。むしろ、案内して護衛までしてくれるのだ、ご飯を作って欲しいというのなら作るのは当然だ。

ということで、商店の店先を何が売っているんだろうと思いながら歩く。

魚から肉、野菜など様々でむしろみたことのない魚や野菜の姿になんだかウキウキしてくる。肉は何の肉かわからないので、シャドウに質問すれば、あれはワイバーンの肉ですね、とか、コカトリスの卵ですよとか教えてくれる。


ワイバーン、食べれるんだ。今度、気が向いたら買って食べてみよう。

ええ、まだ食べる勇気はない。

ふと、街の人たちに目が向いて、疑問に思い、シャドウに尋ねる。


「獣人、えっと、猫や犬などの獣人とか、種族によって食べれないもの、食べてはいけないものってあるんです?」


ほら、犬と猫って玉ねぎとか、チョコレートとか毒になる食べ物あるでしょ?

カレーなんて玉ねぎ入ってるから食べて中毒起こしたら大変だし。


「ああ、ミツルの世界では獣人はいないのでしたね。大丈夫ですよ。人族も亜人族も獣人族も食べれるものは同じです。もちろん毒物もこの世界にありますが、食材としては出回りません。故意に食事に混ぜて・・・ということはあるようですが」


「ああ、毒殺とかそういう目的のためとかですね」


「そうです。」


とはいっても私にはなんともないですけどねとシャドウがいう。

あれか、聖霊だからなんだろうね。まぁ、神様の子供のさらに子供だもんね。そういうものなんだろう。


そんな話をしながら、街をゆっくり散策して、その日は戻ってオムライスを作り、イシュタル様も一緒に食事をして、元の世界に戻って1日を過ごし終えた。








読んでいただきありがとうございます。(*^^*)

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