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18話 コロシアム開幕


「………どういうことだ、シーナ?」

「どういうことでしょうか〜? 確かにここだったはずなんですが〜」


 ユウマ達は今、空き地になっている場所に立ち尽くしている。

 あれから3日かけてアルヴァノ王国に帰ってきたユウマ達は、冒険者ギルドで依頼の報告をしてから、シーナの友達の家を訪れたのだが、そこには家がなく、雑草が生い茂る空き地になっていたのだ。


「なあ、シーナ。シーナを仲間にした理由の7割は家なんだが、どうしようか?」

「ちょ、ちょっと待ってください〜。あっ、すいません、ここに家が立っていたと思うんですが、知りませんか〜?」


 シーナは近くを通りがかっていた女性を捕まえて、話を聞くと、どうやらこの家は一ヶ月前くらいに家賃が払えず、売り払ったらしい。


 それを知らなかったシーナは、ユウマ達に家があると言ってこのような展開になってしまったのだ。

 なってしまっものは仕方がないとユウマは割り切って、これからどうするかを話し合う。


「家を買う金もないし、とりあえず宿かな」

「そうなりますね」

「ちょっと、ユウマ見て!」

「どうした?」


 アインが大きい声を出してユウマを呼び、アインが指差す方を見ると、そこには一枚のポスターが貼られている。

 そのポスターには『コロシアム開催!』と大きく書かれている。


「コロシアム? 何だそれ?」

「コロシアムは半年に一回、アルヴァノ王国で行われる大会の一つじゃ。優勝した暁には金貨数百枚と、準優勝の人と一緒に半年後の三カ国合同コロシアムに出場することが出来るのじゃ」

「金貨数百枚⁉ それに三カ国合同ってどういうことだ?」

「それは───」


 ディアの話をまとめると、この世界には大きく分けて3つの王国がある。

 様々な種族が共存するアルヴァノ王国、人口の8割が亜人のアルス王国、王国内に多数の迷宮があり、迷宮都市といわれているカリド王国。


 この3つの王国が優勝賞金の金貨をそれぞれ出し合い、優勝と準優勝の2組が半年後の、三カ国合同コロシアムの出場権を得ることが出来るのだ。


「三カ国合同コロシアムには興味がないが、優勝賞金には興味があるな」

「金貨数百枚って一生遊んで暮らせるわよ」


 ユウマ達は金貨数百枚の使い方を考えて、頬が緩む。

 そして何かを決心したように、ユウマはエレナ達の方を向き、これからのことを話し始める。


「今からコロシアムに出場しようと思う。反対のものはいるか?」

「………」


 ユウマの問いかけに誰も手を上げないと、ユウマは不敵に笑う。


「よし、それじゃあコロシアムに参加して、金を巻き上げるぞ!」

『おう!』


 ユウマ達は片手を天に上げて気合いを入れ、コロシアムの会場に向かう。

 

 ✼


「参加者の名前をこの紙に書いてください」

「わかりました」


 コロシアムに着いたユウマ達は、受付の人に声をかけると沢山の名前が書かれた紙が渡され、そこに名前を書き込む。

 ちなみにシーナは出場せず、観戦に徹するようだ。


「それでは奥に進んでください。名前を呼ばれたら会場に出て戦いを始めてください」

「わかりました。それじゃあ行ってくるよ、シーナ」


 受付の人から軽い説明を受けた後、ユウマ達はシーナにお別れを言うと、シーナはユウマの元に行き、軽く頬にキスをする。


「頑張ってくださいね、ユウマさん〜」

「な、何してるんですか⁉」

「ちょ、抜け駆け禁止!」

「なかなか積極的なのじゃ」


 シーナの行動にエレナとアインは批判を述べ、ディアは関心してニヤニヤしている。

 対してキスされたユウマは、突然のことに放心状態になっている。


「あの〜、入口でいちゃつかないでくれますか?」

「す、すみません。ほら、早く行くぞ」

「ちょっと待ってくださいよ、ご主人様〜」

「置いてかないでよ」

「待つのじゃ〜」


 ユウマは早足で入口に入り、後を追うようにエレナ達も入っていく。

 皆を見送ったシーナは、観客席用の入口に入り席を探し始める。


 ✼


『さあ〜、今年も始まりました〜、三カ国合同コロシアムをかけた戦いが今、幕を上げようとしています!!!』

『うぉぉぉ!!!』


 割れんばかりの声援がコロシアムに響き渡る。

 観客席は満員で、立ち見をしている者がいる程の人気ぶりだ。


 その声援を、ユウマ達は観客席の下の参加者席で聞いていた。

 1階が参加者席で、2階が観客席になっていて、王国で2番目に大きい場所だ。


「凄い人だな」

「そうですね」


 ユウマは観客席にいる人達を見て、感嘆を上げる。

 エレナも人の数を見て、目を丸くさせている。


『それでは優勝賞金の発表に参りましょう! 優勝賞金は───金貨300枚です!!!』

『うぉぉぉ!!!』


 優勝賞金の発表で、またも会場が一気に盛り上がる。

 その数にユウマも驚きを隠せないでいる。


『それでは早速参りましょう! 1回戦はカリア対ゼストだ!!!』


 司会者に名前を呼ばれた2人は、参加者席から腰を上げ、目前の場所に行く。

 バトルフィールドなどは特になく、円状の地面で戦うようだ。


『なお、この場所では死ぬことがなく、致死量のダメージが入ると、強制的に医療室へ転送されるようになっておりますので、安心して戦いください。それでは、バトルスタート!』


 司会者の試合開始の合図と共に、剣を持ったカリアが槍を持つゼストに肉迫する。

 カリアの上段からの一閃をゼストは槍で捌き、カリアの腹部を突くが、カリアは体を右に反らして回避する。


 回避した勢いのまま、カリアは袈裟切りで斬りかかるが、ゼストは槍で何とか防ぐ。

 そのまま両者は拮抗状態が続く。


 先に動いたのはゼストだった。

 剣を弾き、カリアの腹部を突こうとするが、それをわかっていたようにカリアは槍の突きを躱してゼストに接近し、ゼストの腹部を刺し貫く。


「………がはっ!」


 致死量のダメージを受けたゼストは、その場から消えて医務室に転送される。


『試合終了!!! 勝者はカリアだ!!!』

『うぉぉぉ!!!』


 コロシアムに割れんばかりの歓声が響き渡る。

 カリアは観客席に軽く手を振り、自分の席に帰っていく。

 

「それなりの実力はあるようだな」

「そうですね。簡単に優勝することは難しそうです」

「たとえどんな相手でも勝つのは私達よ」

「うむ。そのとおりじゃ」


 ユウマ達が優勝を決心した後、司会者から次の選手が発表される。


『続いては2回戦! セレア対アックスの勝負です! 両者前へ』


 名前を呼ばれた2人は席を立ち、互いに向かい合う。

 セレアと呼ばれた女は上半身に白いビキニを着て、下半身はジーパンのようなものを履いている。


 そして上半身の白いビキニは、豊満な胸を隠そうとしているが、かなりパンパンで、余計にエロさが増している。

 髪は金髪で、腰には二丁の銃(・)をぶら下げている。


「あのセレアとかいう女、腰に銃下げてるぞ」

「確かこの世界にはないはずの武器なんですよね?」

「ああ、そうだ。そのはずなんだが、なんであの女が持ってるんだ?」


 この世界に存在しないはずの銃にユウマは困惑し、その理由を考え始める。

 だが、ユウマが考えようとした瞬間、セレアがアックスに銃を向けてその引き金を引く。


 ドパンッ!


 発泡音と共に、銃の弾が全身黒ずくめの外套を被ったアックスの頭に被弾して、アックスは地面に倒れ、医務室に転送される。


『何ということだ!!! 見たこともない武器でアックスを一撃で倒しました!!! 彼女は一体何者だ⁉』


 司会者はあまりの衝撃に驚きを隠せないでいる。

 エレナ達はいつもユウマのショットガンを見ているので、あまり驚いていないようだ。


 ユウマはセレアを凝視していると、セレアもユウマを見つめ始める。

 ユウマの視線に気づいて見つめている感じではなく、何か面白いものを見るような目でユウマを見つめ、薄っすらと微笑む。


「一体何者なんだ、あのセレアとかいう女は」


 ユウマは誰にも聞こえない程の小さな声で呟き、セレアの後ろ姿を見つめるのだった。


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