火炎放射器を持って女子供を一人一人殺せと命じる大統領と成果を待つア国民。人種絶滅なんて不可能なのに。
ようやく東南アシアに戻って来た。
イントシナ半島に戻って来た。イントとシナの間だからイントシナ半島だなんてウソみたいな本当の話。ベンカル湾からアンタマン海を進む。
「なじみの国に戻って来たみたいで熱が入らないよ」
「軍事基地だけだ。しっかりやらねばならない」
「どんな順序?」
「マラッカ海峡を通って南c海に入るとそこは潜水艦の巣窟だろうから、陸と海の両面作戦だ。先ずは陸のァ国、ネイト―の基地を叩こう。アシア各国の基地は赤子をあやすようなもんだ」
「了解。300機、フル出撃する」
作戦とは未明に始まると誰が決めたか? 土木・建設工事は8時からだろうから、結構ブラックな職場だ。
「到着を待っていたみたいよ」
サーチライトが忙しく大空を探し回っていた。エリンが軽く感想した。
「地対空で砲撃するってのかあ。もう知恵が湧かないみたいだな」
ガララギが一丁前な感想を披露した。
「全機に次ぐ。東南アシアは寺院が多いから気を付けろ」
ガララギが突然一斉放送した。なに? と返すエリン。
「王朝の地だからな。華麗なる王朝の変遷史が楽しめる」
「王朝の華麗なる変遷なんて有るわけないでしょ。きっとドロドロの変遷史だよ」
「ちっちっち。全然わかってないね。ドロドロこそが華麗なのだよ」
第7王子ののくせに一丁前な話をする。
「元王子とは関係あるの」
「あるさ、王子を接待したこともあるさ。華麗なる宮廷外交だよ」
うそだ。きっと兄たちの姿を見ての作り話だ。
「日国と東南アシアは関係深いんだよ。あちこちに日国人町があった」
「へー、今もあるの」
「バカかエリンは。江戸時代の話だよ」
「鎖国時代だよ」
「じゃ鎖国前だ」
「そんな昔話よく知ってるね」
「王子の教養だよ」
あちこちで嘲笑が上がった。
「無駄口叩いていると撃墜されるぞ」
帰艦の途中、アンタマン海に島が多いことに驚かされる。松島には幾つ島があるだろうと思ったけど、絶対に敵わないに違いない。
「綺麗な島が多いね。あそこの島の浜辺はすごく綺麗」
「そうだね、新婚旅行向きだね」
ガララギの感想に咽そうになったけど、案外そんな性格かも知れない。ガララギが想像した未来のその人はエリンではないとなんとなく思う。
ガララギは若く未来を描き切れない。きっと白のロングドレスの妖精だ。ただしガララギの想像の産物だから絵を描いたら幼稚園児の描いたものと変わらず心も幼稚園児と変わらない。
翌々日。
「陸地は叩いたからマラッガ海峡から南c海に入ろうと思う。エリンはどう思う?」
兄のカガン大佐から意見を求められた。
「あそこの海は潜水艦の掃討の海だよ。それようの作戦で無いと」
「300艇のステルス潜航艇では足りないと?」
「それは十分だと思うけどみんな若いから潜水艦がうじょうじょ出てきたら怖がると思う」
「あっ、そういう問題か。確かにみな軍人では無いからな」
「観光バイトだよ、皆」
ふーむ。大佐は考え込んだ。そして常人を超えた作戦を披露した。
「戦闘機のパイロットを降ろして潜水艇のモニター監視に当たらせよう。若い人も戦闘機乗りが横に居たら心強いだろう」
「空はどうするの」
「エリンが居れば良いだろう」
無茶を言う。
「俺もいるぜ」
ガララギが口を出す。
「でもイージス艦で潜水艦を相手にするのも面白いかも知れない」
「じゃ僕もそうする」
結局、30機が残された。
あちこちの岩礁に作られたc国の基地はc国も守り切れないだろう。少しの攻撃で逃げ出すだろう。
それとも玉砕覚悟で向かってくるだろうか。まあ敵が残って居るか居ないかは関係ない。基地を破壊した後、生き残りが居るか居ないかに過ぎない。
火炎放射器を持って一人一人探すなんて阿呆は作戦として考えられない。第一従事した軍人を危険に晒すし人種の絶滅作戦は実行不可能だし、実施するのは国で戦果を求めている国民の娯楽のためだ。
30機の戦闘爆撃機は岩礁に作られた敵基地をかるーく破壊し軍艦も残らず沈没させた。残りは海に潜む敵のみ。
敵潜水艦を探知するステルス潜水艇の後ろからくっ付いていくわけには行かない。
音を出せば五月蠅いと叱られる。ニトロ換算1トンの爆弾は1トン爆雷に変えられた。対魚雷ロボット艇には125キロ爆薬を積み一撃必殺で魚雷を処理する。
各潜水艇からブイが上げられ瞬時の通信を可能にした。




