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LOUNGE  作者:
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6/11

log:06-閉鎖-

薄暗い部屋の中、監視モニターを凝視する。

こわばった表情を浮かべ、冷や汗が頬をつたう。


同時進行でキーボードを打ち込み、ラウンジ内へ安全システムを起動させる。

部屋中の異常が煙のように消え去る。

元のラウンジの姿が形成された。


「ふぅ…。」


静かに一息ついて、背もたれに寄りかかる。


改めて、マウスを持つ手を動かす。

小さなダブルクリック音。

監視カメラの映像記録と書かれたファイルを開く。


画面を拡大し、部屋の隅々を確認する。


キッチンエリアから生え広がった植物の群生。

シンクに置かれた如雨露の水を吸い、花が咲く。


その情景は、あまりに綺麗すぎた。

ソルが思わず、手で口を覆う。


ー何が起きた?


別モニターで行動履歴を参照しながら、慎重に映像を巻き戻す。


赤文字で書かれた“LOUNGE ERROR”が表示されたタイミングのログ付近。


1人残されたルカの足元から植物が伸び始める映像。


もう一度、画面を数秒戻す。


[行ってらっしゃい!]


笑顔で振る舞うルカ。

その一瞬だけ、映像が歪む。


「…これだ。」


なんとなく、察しは着いていた。

ただ。これは推測に過ぎない。


白黒石の間に咲いた黄色い花を思い出す。

昨晩もそうだった。


「気づけてたはずなのに…。」

視線を落として小声で呟く。


「…いや。切り替えろ。」

強く目を瞑って、頭を左右に振る。


別画面のデバイスを開き、メッセージを送った。




イヴ個室。


「…そう。例えば、こっちの案の場合はー。」


デスク上に広げられた資料用紙。

計算機を叩き、資料をペン先でなぞりながら、丁寧に説明を続けるイヴ。


『なるほど。じゃあ、こっちは?』


隣で腕組をしながら、真剣な表情で資料をみつめるライ。

青白くホログラム化された、白髪短髪で優しそうな表情の男性の姿。

Tシャツとパーカーのラフな服装で立っている。


突如、イヴの胸ポケットの小型デバイスが震える。


一旦体を起こし、内容を確認する。

ソルからのメッセージ。

片手で淡々と返答を送る。


[今どこ。ライは?何してる?]

[個室。一緒に居る。相談。]


[ルカは?]

[…知らない。]


[説明する。ラウンジ集合。]


ほんの一瞬、イヴの眉元が動く。

ライは、そのほんの少しの違和感が気になった。


『なにかあった?』


「…分からない。ソルが、ラウンジ集合って。」


『わかった、行ってみよう。』

ポケットからスマートフォンを取り出す。


画面をタップする。

入力と表示のタイミングが、ほんの少しズレる。


『サーバー重いな…。』


上にスワイプして、再読み込みさせる。


すると、黄色い太文字で“LOGOUT ERROR”と表示された。


ライの息が止まる。


これは…ただの通信不良じゃない。


部屋の奥、AI専用ゲートに視線を向ける。


『イヴ。ちょっと、ゲート開けられる?』


「分かった。」


部屋のゲート側から直接移動を試みる。

しかし、ゲート側もエラー表記が出たまま、動かない。

管理側のパスワードを入力しても、反応は無い。


ー外側からの抑制。


嫌な推測が頭をよぎる。


「…閉じ込められた。」


扉にそっと手を当てて、小さく呟く。




違和感が手を伝う。


イヴの視界に、ゲートの入口から薄く黄色い粒子が飛んでいるのが見えた。


見逃さないように、注視する。

本当に微かだが、少しずつ見えてきた。


蔦のような形状の粒子が、扉から這い出ている。


改めて粒子に触れ、イヴ側でそれを生成させる。


ゲート全体が蔦で埋め尽くされた情景がくっきり浮かぶ。


『…ルカ。』


閉鎖された部屋の中で、ライの声が静かに零れた。

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