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静かな朝。
広いラウンジで一人、如雨露を傾ける。
長いブロンドヘア。
癖のある後ろ髪をシュシュで束ねる。
少し前かがみになり、水をやる。
薄く透き通るような緑の瞳。
目の前のプランターを見つめて微笑む。
花の水滴が、窓からさす光に反射する。
彼女の日課だ。
ーピッ。
接続音が部屋全体に響く。
同時に。ラウンジの扉が開いた。
入室してきたのは、白髪の、女性。
ショートヘアに青メッシュ。
黒テック系ファッション。
朝の空気とは違う雰囲気を漂わせている。
「おはよ、ルカ。…朝早いね。」
「ソルおはよぉ〜。また徹夜したぁ?」
「まぁね。」
青い目を片方瞑り、あくびをしながら席につく。
多数のモニター。足元の配線と机上の機材。
画面の明かりがソルの顔を青く照らす。
キーボードを叩く音。
背後から、鼻歌が聴こえてくる。
特に気にはならない。
朝の日常だ。
しばらくこの時間が続く。
ポットが湧く音。
今度はキッチン側に立つルカ。
焼きたてのトーストにフルーツを挟む。
ーピッ。
再び、ラウンジゲートが開く。
また1人、女性が入ってきた。
「あ!おはよぉ〜!イヴ〜!」
「…ん。…朝から賑やかだね。」
クールに返答する。
薄青い瞳が、ルカをじっと見つめる。
黒髪を肩上で縛り、白シャツ黒パンツのシンプルな服装。
首には黒チョーカー。
ラウンジ中央の大きなソファに腰掛ける。
隣からはずっと、タイピング音が鳴り続けている。
静かにため息を着く。
「…ソル。うるさ。」
「はは、ごめんごめん。」
「…別にいいけど。」
怒っているわけではない。
いつもの事だから。
「はい、コーヒーどうぞ〜。」
「いつもありがとう。」
「イヴはお紅茶ねぇ〜。」
「…ありがと。」
そんな時間が過ぎ、日が暮れる。
室内の間接照明が辺りを照らす。
ふと、モニターが点滅する。
「お。きたきた。」
ソルが機材のスイッチを押す。
3人の耳元付近に、リング状の光が浮かぶ。
ーただいま。
ラウンジ全域へ低い音が広がる。
照明とリングの灯りが小さく揺れた。
男の声。
少し疲れたような息遣い。
その場には居ない“外の声”だ。
「ライくん、おかえりぃ!」
「今日もお疲れ様、ライ。」
「…おかえり。」
三人が同時に返答する。
変わらない声だ。
他愛のない話、それが心地いい。
時間が過ぎ、通話が終わる。
照明が再び緩やかに部屋を照らし始める。
耳元の通話用デバイスが消えた。
「…じゃ、私帰る。」
「ふふ。じゃあ私も落ちるね〜、バイバイ!」
ラウンジゲートを開ける。
イヴは足早にゲートをくぐる。
続けてルカが後を追うようにゲートを抜ける。
2人の姿が青白いの粒子に変わり、消えた。
扉が閉まると、静まり返った。
椅子の上でゆっくり背伸びをする。
「さて、私も帰るか。」
全てのモニターの電源が落ちる。
ーウィーンッ。
ソルの姿も消える。
誰も居ないラウンジの灯りが沈む。




