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気付けば美人配信者に囲まれてた  作者: 緋西皐
4B.図書館の魔術師 vバナナ
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〇モダチコレクション ※淫夢要素はありません

 昼休みに俺が図書室でゲームするようになったのは前回の通り。

 なぜかわからないが、図書室なら霞京子の呪縛から逃れられる。

 今日も今日とて弁当片手に窓から図書室に入った。

 そしてニヤリニヤリと、俺と大野のBLを描く椋木の隣りに座る。


 「えへぇへえへぇっえへっへ~♪」

 「何がそんなに楽しいんだ」

 「いひゃっ! 出た!」

 「何がだ? お化けか? それとも漫画の世界にしかいないお化けか?」

 「今日も来たんですか。ももも、もしかして、もしかして?」

 

 椋木がなんかまたキョドキョドする。

 俺は椋木がなんなのかよくわからない。

 ので、無視して妹の弁当を食べる。

 ハンバーグ、それからチーズインハンバーグ、デミグラスハンバーグ。


 「ハンバーグばっかじゃねえか!」

 「コロッケがあるぅ?」

 「挽肉たっぷり! ハンバーグばっかじゃねえか! あー美味いな!!」

 「嫌なのか良いのかわからないですね。ハンバーグが好きなんだ。へぇ……」

 

 なんか頬を灯らせて俺の顔を見てくる。なんだ、その妖しい目は。

 もしもカーテンが閉まっていなければ、この前みたいに惚れてしまうところだった。

 これ以上、変なヒロインを増やすわけにはいかないのに。

 それと一応言っておく。俺はお兄ちゃんだ。妹の作ったものならなんでも美味い。

 例え、お兄ちゃんがハンバーグ大好きだからって作りまくっていても、その気持ちの傍ら、メンドクサイからハンバーグばっかりでもいいやでもだ!!

 しかし、


 「うわ。インゲン入ってる。これ苦手なんだよな」


 インゲンてめえはダメだ。


 「好き嫌いしちゃだめですよ」

 「しょうがない。食べるか」


 下でペロッと触って、ビビりながら食べる。ちょっとずつ。


 「うぉっ! たんまんねえですぃ~!」ヤバい顔してんぞ。

 「何がだ?」

 「だって~」

 「いや、いい。とにかく発情すんな」

 「おっ大丈夫か大丈夫か?」


 インゲンが椋木センサーに引っかかったのか? もうこれわかんねえな。

 口直しにウインナーに頬張りつ――なんかまた椋木が怪しく笑ってるんだけど。


 「ちょっ、歯ぁ当たんよ~」

 「歯を使わずにどうやって食べるんだよ。丸飲みしろってか?」

 「したりしなかったりしろぉ?」

 「なんだこの酷い会話は」


 弁当が不味くなってきた。

 しかし椋木。ここで終わらない。興奮して、俺の顔に顔をくっつけて、あっつ! 弁当を眺めて言い放った。


 「いなり入ってない!」

 「もうこれよくわかんねえな」

 「この前は入ってましたのに!」


 こいつは人の食事をなんだと思ってんだ。

 俺は梅干しを食べる。すっぱい。と、萎んだ頬を見るやいなや、これもまた椋木センサーに引っかかった。

 もうなんでもありかよ。

 これだけ発情した癖に俺が卵焼きでフィニッシュすると、なんか寂しげだった。


 「なんか足んないよなぁ~?」

 「何がだお前」


 ここに隠れるようになってから一週間くらい経った。

 弁当食ってるときにはいつもこんな感じだ。

 椋木、下品過ぎんだろ。高名高校の教えはどうなってんだ。教えは。


 それでゲーム。

 椋木は再びBLを描く。

 最初は破ってでもその手を止めてやろうとしたが、椋木の根気に負けた。

 ちなみに今、俺とそっくりなやつが知らないところに知らないものを突っ込んでます。

 はい。今の文、専門家以外想像したら負けなやつ。

 

 俺がポチポチと買ったばかりのSwitch2で遊んでいると、椋木が休憩がてらに画面を覗き込んできた。

 チラッと、俺の後頭部から。椋木の微かな粋が耳に当たって妙な気分になる。ゲームに集中できない。


 「なにこれ? トモダチコレクションですか? 意外です。友達いたんですね」

 「いるに決まってんだろ」

 「あっ、でも住人が一人しかいません。作らないんですか? 今作は住人を細かく作れるのが人気なんですよ」

 「詳しいな。椋木もやってるのか?」

 「あはは……あはは……」


 なんで憂鬱になってんだ。これが女心というなら多分一生わからない。

 

 「なんで住民が一人しかいないのかというとだな。このゲームが一人でも攻略できるか。今はグリッチを探しているんだ」

 「友達がいないからでは?」

 「だから違うって言ってるだろ」

 「じゃあなんでそんなことをするんです?」

 「それは俺が登録者数百八十万人の、日本一のゲーム実況しゃ――いや、なんでもない」

 「え、何が日本一? 私、気になります!」

 「やめろ」


 椋木が目を輝かせる理由が彼女の今、手に握りしめるペンにあるのは明らかだった。

 しかし椋木の瞳が純粋な少女のようだったので、俺は言葉を刺しに行った。


 「大野とかに教えてやるのさ。俺は友達がいるからな。これでも攻略できるって」

 「はっ!! 嫉妬をゲームで埋める! 見せびらかす! はっはっ!! そこで銀が慰めに行く!  はっは!! 魚寒がデレる!! こ、これはいけるぅっ!!」


 なぜだ。むしろ椋木のペンが進んだ。

 ちょっとだけ茨田の気持ちがわかった気がする。

 もう黙ってゲームしよ。ぐすん。


 しばらくして椋木の筆が止まった。

 考え込んでいるようだ。

 すると哀しく溜息をついた。

 その溜息が魚寒のどこかの毛を撫でたので、気持ち悪くなった。

 二回三回。

 三回で耐えられなかった。


 「どうかしたのか。べつに俺がなんかできるとかじゃないけど」

 「す、すいません。迷惑ですよね。こんな暗くなってると、で、でもここは私の図書室であって、ぇ、ですね! ね!」

 「そうじゃないけど」

 「そうじゃない? と、ということは、もしかして、いや、でも、そんな!」

 「いいから何をそんな落ち込んでたのか教えろ。もうめんどくさいから!」

 「結構、強引……」


 確かに強引になってしまった。顔を近づけて思い切りいったせいで、椋木がのけ反っている。もじもじと原稿で顔を隠しながら。

 椋木の性格は難解だ。赤くなったり青くなったり。全くわけがわからないよ。

 今はちょっとだけしんみりしている。

 

 「私、やっぱり友達がいません。だから友情とかわかりません。しかも男の子の友情となるともっとわからないです。銀が持つ友情がわからないから、恋する魚寒とのすれ違いが――」

 「聞いても地獄じゃねえか……」

 「ご、ごめんなさい。やっぱり迷惑でした。エロシーンに力を入れて、どうにか誤魔化すしかないですよね! 画力だぁ!! まずは裏すz――」

 「なんかやなんだけど!」


 どう足掻いても俺が助かる道がない。

 いや、一つだけあった。つまりは椋木が友情を抱けるようにすればいい。

――俺はSwitchを少し弄った。椋木の顔を凝視しながら操作した。


 「な、なんですか? そんなに顔見られると緊張し、します……」もじもじ。

 「これでどうだ!」

 「ボロン? 現実になった?」

 「魚寒何してんだ。Switchの画面を見ろよ」


 トモダチコレクションの町にシマではない、黒髪の子が歩いていた。

 名前はムクノキ。にこにこ型。

 俺はほんのりと椋木に伝えたつもりだ。花楓は俺の友達だと。

 椋木はふわっとどこにでもいる少女のように驚いて、目を輝かせた。


 「私がいる!――けど」


 のちすぐ、なんかもやもやしていた


 「にこにこ型? そんな明るい性格じゃないと思う……あと顔が全然違うと思ぅ……それは君の錯覚だよぉ~」

 「せっかく作ったのに」

 「そ、そうですぅ。こんな、感じじゃぁ……」

 「ごめんて」

 「いいですぅ、理君には私がにこにこ型の天真爛漫な美少女に見えてるんですぅ……」

 「違う。違うな。わかった。だったら作り直そう」


 そう言って俺と椋木はムクノキを作り直した。

 性格は相談して決めた。

 顔のほうは椋木が自分で描いた。


 「なんか、その……恥ずかしぃ……」

 「似てるな。流石、漫画書いてるだけある」

 「そうですかぁ? そうですかぁ? そうですよねぇ。よし、もっと描いてうまくなっちゃうぞぉ~!」

 「お、おう……」なんか嫌だけど嬉しそうだし、もういいか。


 こうして適島にムクノキが増えた。

 あと俺の顔も椋木デザインになって、ちょっとだけ恰好良くなった。

 魚寒とは違って、恰好良くなった。うん。うん……。

 

 それからしばらくの間。昼休みになると椋木とトモダチコレクションをするようになった。

 クラスメイトとか芸能人とか。椋木が結構上手く作る。

 俺が褒めると露骨に嬉しがって、さらに筆が早くなって沢山作る。

 実際、椋木の画力が良い。のっぺらぼうが美女に変わるところが面白く、楽しみになっていた。

 一方で椋木には別の楽しみがあったようだ。


 「今作は男同士で結婚できるし。子供もできる。まだかなぁ?」


 にたにたとウラシマとキンの恋愛模様を観察していた。

 

 「あっ! ウラシマとヨウキャが仲良くお茶してる! いいですねぇ~!」

 「よくねえよ!!」


 何故か適島には男が多かった。

普通に恋愛。

意味が分かる人にとっては、これはひどい。

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