第十話『翼ネコとミリアにゃんの裏切りにゃん!』のその③
第十話『翼ネコとミリアにゃんの裏切りにゃん!』のその③
敵味方入り乱れての攻防戦。同士討ちを警戒したのにゃろう。飛んでくるシュークリームの数が俄然少にゃくにゃったのにゃ。代わりに、特攻とでもいうのにゃろうか。『死にゃばもろともにゃあ!』といわんばかりに体当りをかましてきたのにゃん。
「でもまぁこれにゃら……おっ、とと」
のらりくらりと楽にかわせたのも最初のうち。体当りをする輩が増えていくにしたがい、どうにも難しくにゃってきたのにゃ。すんでのところで衝突を回避、にゃんてケースもざら。それでもにゃんとか、ひとり、またひとり、とすれ違う中、ついに恐れていた事態が。上空から飛来してきたひとりのにゃんごが、続けざまに向かってくる陸のにゃんごの合間をくぐって、ついにウチの真ん前へ。
「来るにゃあ!」
無我夢中で左右の前足をでたらめに振り回したらにゃ。『ふにゃん?』という事態が。鉤爪で引っかいたにゃけで、にゃんごの身が、ぱあぁん、と破裂。でもって、体内に詰まっていたらしい、白い液体を、ずばっ、と辺りに撒き散らして、跡形もにゃく滅びたのにゃん。
「にゃんともまぁもろい敵にゃん」
しばらく闘ってみて判ったのにゃけれども、陸であろうと空であろうと、『にゃんご』の攻撃手段はシュークリームと体当りにゃけ。鉤爪で引っかいたにゃけで滅びるのもまたおんにゃじにゃ。
「たいした敵じゃにゃい。これにゃら楽勝……ごくん」
呟いていたウチの口に飛び込んできたのは、にゃんごの名残りともいうべき白い液体。
「こ、これは……クリームジュースじゃにゃいの!」
ウチのグルメにゃ舌が即座に、『これはにゃ。シュークリームのクリームが、ぽよぽよ、とにゃる前の姿にゃ』と看破したのにゃん。
「にゃあるほろ。これを体内でクリームに造り変えているのにゃん」
にゃんともコクのある味。美味しくてたまらにゃいのにゃん。にゃもんで、にゃんごが破裂するたんびに、『目をつぶされにゅように』『身体にかからにゅように』と注意をしにゃがら、ごくん、ごくん、と喉を鳴らすありさまにゃ。
はっ!
膨らんでいくお腹がウチを我に返らせたのにゃん。
「まずいにゃん」
別に味がどうとかいう話じゃにゃい。『ミッション失敗』とにゃる事態へと再び向かおうとしているのを憂いているのにゃん。どういうことかといえばにゃ。クリームジュースにゃけでもこのままどんどん、がぶ飲みしていったら、『お腹パンパン』とにゃるのは避けられにゃい。にゃのに、『クリームジュースは良くて、にゃんでシュークリームはいけにゃいのにゃん?』との不満さえもが、既に頭をもたげていたのにゃ。
(ふぅ。自分にゃがら困ったもんにゃ)
シュークリーム対策として七転八倒の末、やっとこさ打ち立てた『自制』という名の柱もにゃ。クリームジュースとのダブル攻撃の前には風前の灯。跡形もにゃく瓦解するのは時間の問題にゃのにゃ。
「ワナにゃ。敵の恐るべきワナに引っかかりつつあるのにゃん」
ウチは悲壮にゃる決意を固めたのにゃ。
(こうにゃったら、どちらも二度と口にしにゃい)
にゃら、それを達成するには? 答えは一つにゃ。雑念を捨て、ひとつのことに集中するしかにゃい。
「戦いに全てを捧げるのにゃん!」
こうしてウチは修羅の戦士と化したのにゃ。
《ずいぶんと、妙な展開ねぇ。
そんなにも簡単に生来の食欲を捨てられるの? 戦士なんかになれるの?》
《イオラにゃん。出来る出来にゃいじゃにゃい。やれるやれにゃいでもにゃい。
やらにゃければにゃらにゃいのにゃん》
《それはそれは。勇ましいことで。
……ねぇ、ミアンちゃん。本当はどうなの? 誰にもいわないから、こそっと教えて。
どうやって二つの誘惑を断ち切ったの?》
《んもう。イオラにゃんにも困ったもんにゃあ》
《ねぇ、教えてよ。ワタシとミアンちゃんの仲じゃない。隠し事なんて水くさいわ》
《そこまでいわれるとにゃあ。しょうがにゃい。にゃら、ここにゃけの話にゃよ》
《任せて。内緒の話は得意なの》
《にゃにが『任せて』にゃのか、どう『得意』にゃのか、さっぱり、にゃのにゃけれども。
……でもまぁいいにゃん。実はにゃ。正直にゃところ、どんにゃに美味しくっても味がおんにゃじにゃもんでにゃ》
《待って。みなまでいわなくても判ったから。
早い話が、『あきた』と》
《うんにゃ》
《ふふっ。それでこそミアンちゃんよ》
ひとりひとりの戦力、という観点で比較するにゃら、食欲の誘惑さえ、『ごめんにゃさい』をすれば、ウチらミーにゃん同盟の優位が動くことはまずにゃい。それはそうにゃろう。翼ネコらに出来ることっていったら、せいぜい足止め、時間稼ぎが関の山にゃもん。まぁしょうがにゃいといえばしょうがにゃいのにゃ。攻撃手段はかぎられていて、しかも防御力は脆弱とくる。これでは相手に勝てというほうが無理というものにゃ。んにゃわけで、ミクリにゃんが望んにゃ一対一の勝負にゃら、ウチらの圧勝にゃったのに違いにゃい。
でもにゃ。現実って、こちらの思い通りにはいかにゃいのにゃん。にゃかにゃか以って厳しいのにゃん。というのも……、敵は圧倒的多数。ヤカンにゃんが物知り顔で語った、『数にモノをいわせての物量作戦』を展開しているのにゃ。簡単にいえば、倒しても倒しても次々と現われるのにゃん。
「キリがにゃい」
ここへ来るまでに入った部屋の数だけ、ウチらの霊力は少にゃくにゃっている。一つのミッションを成功するごとに、ご褒美として与えてくれるのは『九割』の回復まで。にゃもんで、減り続けていることに変わりはにゃいのにゃ。
にゃんごらとの戦いにゃって、霊力は失われていくのにゃ。疲労もたまっていくのにゃ。今後のことを考えれば、どちらも最小限に留めたい。留めたいのにゃけれども、悲しいかにゃ、どうネコ頭をひねくり回しても、これといった妙案は出そうににゃい。
とまぁそんにゃお家の事情もあってにゃ。こちらの闘う手段も派手にゃ技にゃんぞは控えて、出来るにゃけ霊力を必要としにゃいもんへと変えざるを得にゃいのが実情にゃのにゃん。
《つまり、質素に、ということかしら。だったら……。
しゃああぁぁっ!》
《にゃからって、大霊蛇ににゃらにゃくっても》
《ぱくっ!》
《ウチを食わにゃくっても》
具体的に実例を挙げてみようにゃん。
ウチとミクリにゃんは鉤爪に霊力をたぎらせて『霊刃』としたのにゃ。最初はたくさん飛ばして、襲ってくる相手を『痛快』と思えるぐらい、ずばっ、ずばっ、とジュース化していったのにゃけれども、こんにゃやり方がいつまでも続くはずもにゃし。霊力不足気味とにゃってきたもんでにゃ。『鉤爪で引っかく』『牙で咬みつく』にゃど、ナマネコ(=実体を持つ普通のネコ)さにゃがらの直接攻撃へと切り替えたのにゃん。
《一度、楽を覚えちゃうと、なかなか元には戻れない、とかいうけどぉ》
《血が騒ぐとでもいうかにゃ。ネコは大丈夫にゃん》
《ふふっ。ミアンちゃんは、でしょ?》
でもって他の仲間はといえば……みんにゃがみんにゃ、似たようにゃものらしい。
中でもミムカにゃんの闘い方はにゃかにゃか面白いのにゃん。
「もぐらたたきでありまぁす!」
両手を『ハンマー』にゃるモノに改造してにゃ。近づいてくる敵を、ごつん、ごつん、とぶっ叩くのにゃ。
現在、天空の村に住む人間のほとんどがにゃ。実は、はるか昔、外宇宙から天空の村へと引っ越してきた移民の子孫にゃんにゃと。『もぐらたたき』もまた、『あっち向いて、ほい』とおんにゃじに、これらの移民が記録として残した『レトロな遊び』の一つとかいう話にゃん。
「にゃあるほどにゃあ」
叩いているミムカにゃんも、にゃのにゃろうけれども、見ているほうにゃって、『遊び心』をくすぐられる。にゃんとにゃく楽しくにゃってしまうのにゃ。気がついたら、『うぉっ、当たったのにゃん』『惜しいにゃあ。外れたのにゃん』と一打ごとに一喜一憂。でもって、『次はどうにゃる』と目が離せにゃいのにゃん。
……ごっほん。まっ。それはともかくとしてにゃ。
叩いては破裂、破裂しては叩いて、を繰り返したもんでにゃ。敵はどんどん消えていくのにゃん。
『力不足で「流与」が使えなくなったのでありまぁす』とミムカにゃんから告白された時には、内心、冷や汗ものにゃったのにゃけれども、これにゃらば安心。ウチらにとっては頼もしい戦力であることに変わりにゃい。
《楽しそうね。ワタシもなにか、ぶっ叩けないかしら?》
《自分はどうにゃん?》
《まぁミアンちゃんを? いいの? 本当に》
《あのにゃあ。イオラにゃん自身をにゃ》
《ワタシを? イヤ。いろんな意味で》
《ウチもにゃ。痛いもん。意見が合って良かったにゃあ》
《痛くなくても、『ねぇ、知っている? あそこの精霊さん。またおかしなことをおっ始めたわよ』なんて噂されるから絶対にイヤ》
《イオラにゃん。くれぐれも、『またおかしな』をするのは、やめてにゃ》
ミストにゃんは、と視線を移せば、これがまぁにゃんとも勇ましい闘いを繰り広げているのにゃ。両手に携えているのは、『霊氷剣』と呼ばれるもんでにゃ。霊力でもって凍らせた霊水を、これまた霊力でもって剣の姿に整形したのにゃん。もやもやあ、っとした白くて淡い光を纏っているとこにゃんぞ、にゃんとも冷たそうにゃ。
近づいてくる敵は、ばったばった、と斬り捨ててにゃ。でもって遠くの敵には剣を振るって、『霊波』にゃらにゅ『霊刃』を放つ。まるで人間が読む昔話に出てくる……ええとぉ、『武士』にゃったっけ? 『剣士』にゃったっけ? まぁどっちでもいいにゃん、ってことで、とりあえずは……『剣士』のようにゃ。
相手をひとり倒すごとに、にやり、と微笑む口元がにゃんともブキミ。にゃもんで『それにゃけはやめてにゃ』と心の底から切に願う次第にゃん。
《にやり》
《にゃ、にゃにをまた企んでいるのにゃん?》




