第九話『ワタガ神、降臨にゃん!』のその①
第九話『ワタガ神、降臨にゃん!』のその①
「にゃんにゃ」
「またかぁ」
二度あることは三度ある、にゃあんて誰がいったのかは知らにゃいのにゃけれども……、今の状況にぴったしにゃ。再び部屋の外にある通路へと戻って、がっかりしてしまうウチらにゃん。
《次回に続く、ってとこかしら?》
《あのにゃあ。始まったばかりにゃんよ》
いつまでもめげてはいられにゃい。気分を直して、くるり、と半回転。そこにはもちろん、今出てきたばっかりのドア。といっても、こちら側は白く彩られたまんまにゃ。
「また、お邪魔しますのにゃん」
例に依って例の如しにゃ。にゃあんにもしにゃいのに、『さぁどうぞ』とでもいうかの如く、ぎぃぃっ、と勝手に入口が開いたのにゃん。『ちょうつがいでもさびているんじゃにゃいの?』にゃあんて心配が頭をよぎったのはともかくとして、部屋に入るのもこれで三回目にゃ。にゃんとにゃあくマンネリズムにゃ雰囲気が立ち込める中、ウチらはまたしても、ぞろぞろと足を踏み入れたのにゃん。
「今度は真っ青にゃん」
「ええっ!」
悲鳴にも似た声。思わず後ろを振り返るとにゃ。今の今まで、『まだやるんですかぁ? もううんざりですよぉ』にゃあんて表情を浮かべていた友にゃちのひとりが、待ってましたとばかり(にゃわけにゃいのにゃろうけれども)、素っ頓狂にゃ声を上げてウチの言葉に食いついてきたのにゃん。
「ミアンさん。ひょっとしてネコの死体でも?」
(あ、あんたにゃあ)
背筋が、ぞくっ、とする発言にゃ。
「ミリアにゃん。突然口を出してきたと思ったら、いうにことかいてにゃんてことをいうのにゃん。あんたにゃってネコ型にゃろ?」
「だって、お顔が真っ青なんですよね?」
「お部屋がにゃ」
「ほっ。それを聴いて安心しました。
イヤですよ、ミアンさん。ネコをおどかしちゃあ」
「おどかしたのはあんたにゃ」
(全くぅっ。困ったもんにゃ)
《おどかすねぇ。ちょっとやってみようかしら。
ミアンちゃん。命が欲しくば、ええと……ええと……お願い。笑って許して》
《イオラにゃん……。あんた、今度は一体にゃにをやらかしたのにゃん?》
「ああでも、やっぱ部屋は、がらん、としているのにゃん」
ウチの言葉にミクリにゃんも頷いて、
「うん。驚くほど芸がないね」と同意すると、ご丁寧にも、ふぅ、とため息までもらしたのにゃん。
「とにゃるとお次は」
「あれしかないんじゃない?」
予想通りというかにゃんというかぁ、底抜けに残念にゃ芸のにゃいシチュエーション。部屋の灯りが全部消えて真っ暗にゃん。
でもにゃ。にゃんとにゃく、『わくわく』はしてきたのにゃん。
「さぁいよいよミッションの始まりにゃ。一体にゃにが待っているのにゃん?」
「悔しいけど、ここだけは、ちょっと、どきどき、するね」
ミクリにゃんの言葉が終わるのとほぼ同時に、いつも通りの展開が。
ぱっ、と視界が開けたのにゃん。
《これってアレに似ていないかしら。
いないいないばあぁっ! いないいないばあぁっ! いないいないばあぁっ!
……ふぅ。疲れたわ。やぁめたぁっと》
《両手を放すたんびに顔を変えるからにゃん》
にゃあんか明るさがイマイチ、と思ったらにゃ。どんより、と曇ったお空にゃ。
「憂鬱にゃん」
「気がめいりそうになるね」
「にゃあんかワナがあるのかもしれにゃい。みんにゃ、ご用心にゃ」
『うん』『そうね』『だな』『しまぁす』の短い返事が次々と湧き起こる中、ミリアにゃんから空気の読めにゃい言葉が。
「用心って、なにをどうすればいいのです?」
もちろん、ウチの返事も短くにゃ。
「適当に考えてにゃ」
《ええとぉ、水でしょ? あと食糧とぉ、でもって……そうそう簡易トイレもよね》
《予想外のツッコミにゃん。まさか防災グッズでくるとはにゃ》
ともあれ、ゆぅっくり、と進むことにしたのにゃ。
重ぉい足取りで一歩、また一歩……。
(はて?)
「にゃあんか歩きにくいのにゃけれども」
踏み締めるたんびに、ずずずっ、と足がもぐっていくようにゃ。顔を下に向けてみたらにゃんと。透明にゃ粒粒(というにしては若干、大っき目にゃもん)が大地に隙間にゃく拡がっていたのにゃん。
《ひょっとして、ダイヤモンドがざっくざく?》
《にゃとしてもにゃ。ネコに小判にゃん》
「とりあえず匂いでも嗅いでみるのにゃん」と鼻を近づけたその時にゃ。
ざざざざざあぁぁっ! ざざざざざあぁぁっ!
「ふにゃっ。ヒョウが降ってきたのにゃん!」
「しかも土砂降り……って、あれっ? 変だなぁ。ちっとも冷たくないや。
身体に引っついても、ほら、全然溶けないし」
気がつけば、硬めの粒粒が全身至るところに散りばめられていたのにゃん。ミクリにゃんにゃけじゃにゃい。ウチも含めてみんにゃにゃ。触れてみれば、どこもかしくも、足元とおんにゃじ『ざらざら感』が伝わってくるのにゃ。
『お空から降ってきたもんが、地面に積もったのにゃ』とは判っても、『にゃら一体にゃんにゃの?』への答えは思い浮かびそうににゃい。足で触れて判らにゃいとにゃれば、残るは鼻と舌のみ。でもにゃ。匂いのほうはどうにも良く判らにゃい。にゃもんで、
「どぉれ。ここは一つお毒見にゃん」
正体を探ろうと、こわごわ、なめてみたのにゃ。
ぺろり。
「にゃ、にゃんと!」
突然の感動にゃ。
「あ、甘いのにゃん!」
驚くのはまにゃ早い。舌の上に拡がった粒粒はにゃ。なめていくうちにどんどん溶けていくのにゃ。それにつれて、気に入らにゃかったあのざらざら感も薄れていく。それぞれが主張していた『これって、ウチの甘さにゃんよ』も一つにまとまっていくのにゃ。それはあたかも、ばらばらに楽器を使って演奏していたのが、オーケストラを組んで交響曲を奏でるまでにもにゃった、といってもいいくらいの劇的にゃ変化にゃん。
《粒々がオーケストラを?》
《言葉を『はしょる』のはやめてにゃん》
「た、大変なのわん!」
突然、ヤカンにゃんが姿……外見はミーにゃんにゃのににゃあ……を現わしたのにゃん。
「どういうわけか、お菓子なゾーンへと突入してしまったのわん!」
「おかしいのはあんたにゃ」
(一つの身体を二つの心で使うにゃんて。その身体はミーにゃんのモノにゃんよ。早く出ていってもらいたいものにゃん)
不満をぶちまけようとするも、両手のひらをこちらへ向けて盛んに振るヤカンにゃんの『ミーにゃん姿』が、まぁにゃんともいえず、可愛いくてたまらにゃい。にゃもんで、にゃあんにもいえにゃくにゃってしまったのにゃん。
(たとえ外見にゃけでも、ウチはミーにゃんに弱いのにゃん。泣きどころにゃのにゃん)
「違う違う。『お菓子』の『お菓子な』なのわん。
今までのゲームミッションはいわば、トレーニングゾーン。訓練とか練習にすぎなかったの。本来であれば、というか、過去のゲーム記録からすればもう少し続くはずなのに、なんと、原因不明の飛び級現象が発生しちゃってね。いきなり、本命中の本命、奥の部屋へと通じる可能性が50パーセントもアップした、『お菓子なゾーン』にまで『ワープ』してしまったのわん」
「ワープってにゃに?」
そう聴いてすぐ、頭に一つの光景が浮かび上がったのにゃん。
(そうにゃん!)
「ひょっとして、ずずずっ、とすすって食べる奴にゃん?」
「それって『スープ』じゃないか?」
ミロネにゃんのいきにゃりのツッコミ。でもにゃ。尋ねている身に、『じゃないか?』と尋ねられても、返す言葉にゃんてにゃいのが道理にゃ。にゃらば、ヤカンにゃんは、といえば、こっちもこっちでまた、いい加減にゃ返事にゃん。
「知らないわん。とりあえず、『飛び越えた』くらいに思っていれば、間違いないんじゃなぁい?」
「あのにゃあ」
「まっ。この際うるさいことはいいっこなし、ってことで。
理由は判らなくても、来ちゃったのは事実なのわん。だったら『やっちゃえ』って、有無をいわさず決断したからそのつもりで。ってことで、みんな気を引き締めてゲームにトライして欲しいのわん」
「にゃにもかもムチャクチャにゃん」
ウチが正直にゃ感想を述べるも、
「そこがアタシらしさ、って認めて欲しいわん」
『ムチャクチャ』に拍車がかけられた感じにゃん。にゃもんで、
「にゃにいってんのにゃん」とあきれ文句を放ったところが、
「とまぁ了解を得たところで」
にゃあんて急いで次の話に移ろうとしているもんにゃから、
「いつ了解を得たのにゃん?」とムダと知りつつも、抵抗したところがにゃ。
「細かいことをいつまでも気にしていては、未来は開かれないわん。
未来が開かれなければ、ミーナは戻ってこないわん。それでもいいわん?」
決定打にゃん。
「んぐっ…………しょうがにゃい」
ミーにゃんを盾に取られたら、引き下がるしかにゃいのにゃん。
「うん。いい子なのわん。……ってことで、とりあえず、この粒々の説明をするとね。これって、『ハイパーザラメ』……うぅぅん、なぁんか長いから、『ハイザラ』……って、これは誤解を招きそうだから潔くやめにして……ううんとぉ……しょうがない。『ザラメ』で妥協してあげるわん。要するに、とぉっても甘い粒々なのわん」
ネーミング一つにしても苦労が偲ばれるのにゃん。まっそれはそれとしてにゃ。
「食べてもいいのにゃん?」
「構わないけど、甘すぎるから直ぐに飽きるわん」
ヤカンにゃんのいう通りにゃった。
大地に積もったのを食べても、空から降り注いでいるのを直接食べても、どちらも味は変わらじ。甘すぎる以外の何物でもにゃい。にゃもんで数回、口に運んにゃにゃけで、あとはもう見るのもイヤに。
「にゃあ、ミクリにゃん。
もちっと、むしゃむしゃ、もぐもぐ、みたいにゃもんが欲しいとは思わにゃい?」
「所詮は粒粒だからね。『食べたなぁ』って満足感を求めるのには無理がある代物だよ。だから、ちょっこっとなめては楽しむ。ぐらいにしておいたら?
ほら、他のみんなみたいに」
「他のみんにゃ、って、アレのことをいっているのにゃん?」
ウチは薄焼きせんべいよりも薄い目で眺めたのにゃ。
先ずはふらふらと飛んでいるミロネにゃん。開いた右手にある程度、ザラメが積もるとにゃ。それをお口に、ぱっぱっ、と放り込んでいるのにゃ。まっ、これに関しては、どうのこうのというつもりはにゃい。問題はミロネにゃんが迷惑そうにゃ顔で、ちらっちらっ、と振り返る直ぐ後ろにゃ。柄にもにゃく照れ顔のミストにゃんが拳にザラメを忍ばせて、『ほら、あぁんして』と追い駆けているのにゃん。
(たちのよくにゃいストーカーにゃん)
一方、お空の下では……。
「にゃ、にゃんと!」
「あ、あり得ないよぉ!」
にゃんとも不思議にゃ光景にウチもミクリにゃんもびっくりにゃん。ネコ型姿のミムカにゃんがミリアにゃんと一緒にネコ差し指にザラメをくっつけては、なめなめ……まではいいとしてにゃ。にゃんと、にこっ、と微笑み合ってまでいるのにゃもん。
(今の今まで、ずぅぅぅ、と、ミリアにゃんから遠ざかっていたのに……。
いつから、仲良くにゃったのにゃん?)
おかしいのはミリアにゃんもおんにゃじ。普通のお方のように見えるのにゃ。ともすれば妄想狂と化して、ミーにゃん同盟のみにゃらず、あらゆる妖体に迷惑をかけるトラブルメーカーの面影がどっこにも見当たらにゃい。
(ここがお菓子にゃゾーンにゃから? ううん。違うにゃ。きっと、にゃにかあったのにゃん)
でもまぁ詮索するほどのことでもにゃいもんで、ここは、『見て見ぬフリ』で済ましたのにゃん。
《ねぇ、ミアンちゃん。どうして『見て見ぬフリ』なんて出来るようになったの?》
《ぐすん。知らにゃい間に、あんたらに教育されてしまっていたのにゃん。ぐすん》
ミクリにゃんが口にした『他のみんな』を、ざっと見渡したあとにゃ。
「でもにゃ」
ウチは苦言を呈したのにゃ。
「これを『ちょこっとなめ』してもにゃ。ちぃともにゃくにゃらにゃいのにゃん」
「君、ひょっとして全部食べる気でいたのかい?」
ザラメの雨が終わったあとには、真っ青な空。照りつける太陽の下には、きらきらと煌めく粒々の砂漠が拡がっていたのにゃ。
「平和にゃにゃあ」
呑気にゃことをいっている状況じゃにゃいことは百も承知。『場違いにゃセリフにゃ』と自分でも判っていにゃがら、つい口にしてしまいたくにゃる光景にゃん。
「にゃあんにも起こりそうもにゃいのけれども」
ところがにゃ。
どどどどどぉっ!
にゃんの前触れもにゃく突如、地鳴りにゃ。でもって前方で湧き起こった、もくもくと白っぽい噴煙がこちらへと勢い良く迫ってきたのにゃん。
「にゃんで噴煙が……って、にゃんにゃのぉ! あれはぁっ!」
見ればザラメ砂漠の地面からお空に向かって、異様にゃ姿をした謎の物体が突き出てきたのにゃん。
《あら? ワタシ、こんなところに出てきた覚えはないのだけれど?》
《ウチも、あんたにゃっていった覚えはにゃいのにゃけれども》
「今は良く判らないな。もう少し待ってみよう」
ミロネにゃんの言葉に、じっと、成り行きを見守るウチら。少し経って地鳴りと噴煙が収まったあと、目の前に現われたその姿は。
「グロくてブキミね。出来ればこっちに来て欲しくないわ」
元来、怖がりのミストちゃんは、ちぃとばかし腰が引けた感じにゃん。
「それは大丈夫じゃないかなぁ。あのでっかい図体に足がついているなんて、とても思えないしね」
「ミムカもミクリの意見に賛成でありまぁす」
「なら、私もミムカさんの意見に賛成です」
(……ということはにゃ。ミリアにゃんもミクリにゃんの意見に賛成ってことにゃ)
ふと考え込んでしまったウチにゃん。
《ミアンちゃん、ワタシ、ワタシ。ワタシも賛成よ!》
《にゃあんに?》
《…………さぁ?》
「ふにゃ、上昇がとまったのにゃん」
砂上に、あたかも塔の如くそびえ立つ円柱っぽい形のそれはにゃ。表面がまるで生き物の皮膚のよう。柔らかみがあって、でもって、黄色と緑色のまだら模様に塗りたくられていてにゃ。おまけに『ぶつぶつ』までもが全体に拡がっているのにゃん。ここまでにゃって十分気持ち悪いのに、まにゃその先が。ぶつぶつの先っぽは、穴が空いているように窪んでいてにゃ。その周りにはヨダレのようにゃベタベタにゃモノが、たらぁり、とくっついているのにゃ。これはもう、どこをどう見ても『グロい』がぴったりの容姿にゃん。
(人間の患者にゃら、『早く病院に行きにゃさい』っていわれるのにゃろうにゃあ)
『ノスタルジーに浸っている』との表現が相応しいかどうかは別としてにゃ。生前、人の家族と暮らしていた頃のことを、にゃんとにゃく想い返してしまったのにゃん。
《ねぇ。ミアンちゃんも病院に入ったことがあるの?》
《にゃんでそんにゃことを聴くのにゃん?》
《ネコネコ病院って、どんなところかと思って》
《にゃら、ごめんにゃ。ウチ、健康優良児にゃったもんで》
『ふっふっふっふっ。はっはっはっはっ。あぁっはっはっはっ!』
「にゃ、にゃんと!」
おっそろしく気の強い女の子、のようにゃ声色。かつて耳にしたことがある笑い声が、グロいもんから聞こえてきたのにゃ。
あらためて眺め直したまだら模様の中。ウチは目にしてしまったのにゃん。とげとげのある黒い翼の模様が浮かび上がってくるのを。その真ん中には……、ウチの記憶にも残っている、『黄色地に赤の真ん丸』という不気味にゃ彩られ方をした横長の楕円形が描かれていたのにゃ。
「やっぱ生きていたのにゃん……」
ウチの予想通り、といわんばかりに、楕円形、ううん、一つ目は、こちらを、ぎろり、と睨みつけたのにゃん。
《ねぇ、ミアンちゃん。どおぉお? 久し振りに見つめられて興奮した?》
《にゃあ、イオラにゃん。あんた、にゃあんか途方もにゃい勘違いをしているようにゃ気がするのにゃけれども?》




