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第八話『逃げ水に、砂嵐に、ええとぉ、石蛇にゃん!』のその⑧

 第八話『逃げ水に、砂嵐に、ええとぉ、石蛇にゃん!』のその⑧


 ミロネにゃんの考えを目の当たりにしたのにゃん。

 縦横無尽に飛び回るウチら。てんでばらばらに。仲間との間隔も思いっ切り拡げて。もちろん、ミロネにゃん以外はみんにゃ、ダミー。木の葉にゃん。でもにゃ。全てを本物と認めたのにゃろう。グリグリの六体が六体ともターゲット目指して追っ駆けているのにゃ。

「ウチらじゃにゃいのに……」

 自分の姿が自分とは関係にゃしに飛んでいる。ネコ型が空を地面のように駆け回っている。にゃんとも不思議にゃ気分にゃ。

 しばらくしてから、動きをとめたミロネにゃん。

「お遊びはここまでだ。さぁ来い!」

 声が合図とにゃった。宙に浮かぶその姿へ、一斉にウチらのダミーが飛んでいく。

「ミクリにゃん、もしや」とウチ。

「ふふっ。ボクにも判ったよ」とミクリにゃん。

「あれなら、間違いなく同時でありまぁす」とミムカにゃん。

「そういうことね」とミストにゃん。

「どういうことですか?」とミリアにゃん。

(あのにゃあ)

『ひとりを除いて』を頭につけた『みんにゃ』が次に起こる事態を悟ったのにゃん。


 どっしゃああぁぁん!


 六体のグリグリが六体とも同時衝突。相打ちの形とにゃって、それぞれが崩壊していく。

「ミロネにゃん!」「ミロネ君!」「ミロネ!」「ミロネさん!」

 ダミーと一緒に居た本物の友にゃちの名が叫ばれた。きっと、みんにゃもウチとおんにゃじにゃ。『大丈夫にゃろうか?』『ケガはしていにゃいにゃろうか?』にゃどの安否を願う気持ちが、知らず知らずのうちに、声とにゃって表われたのに違いにゃい。


 ざざざざあぁぁん!


 落ちていく大量の砂。地面を叩きつけるようにゃ勢いに砂煙も湧き上がる。でもって、上へ上へと昇っていくのにゃ。灰色の空をもっと灰色に染め上げんとばかりに。

 砂煙がもくもくと立ち込める中、幻のように浮かび上がる影一つ。

 やがて、くっきりと現われたその姿は、重ねた両手のひら……どちらもこちらに向けてにゃ……で顔を隠していたのにゃ。

「ミロネにゃん!」

 両手はゆっくりと左右に離れていく。露わとにゃった綺麗にゃ顔立ちの口から吐き出された言葉は。

「見たか。霊術『神隠し』を」


《ううん、もう。マミちゃん、格好良すぎ》

《あのにゃあ。いい加減にしにゃさい》


 ミロネにゃんは六大精霊のひとり、マザーミロネにゃんの影霊にゃ。『そんにゃお方がにゃんでウチらの仲間に?』という疑問はさておきにゃ。影霊の悲しさ、にゃのか、自分自身が放てる霊術はほとんどにゃい。辛うじてあるのが、今見せた『神隠し』。とはいってもにゃ。大精霊が使う術というにゃけあって、半端にゃもんじゃにゃい。視覚や霊覚から姿が消えるのにゃんて当たり前。ありとあらゆる物的霊的攻撃をもすり抜けてしまうのにゃもん。

 居るのにゃけれども、居にゃい。『無』にかぎりにゃく近い希薄にゃ存在とにゃれるのにゃ。でもって聴くところに依るとにゃ。神霊ガムラにゃん、守護神イオラにゃんレベルでさえも捕捉し得にゃいもんで、この名前がついたんにゃと。グリグリにゃんか手玉にとるのは造作もにゃいのにゃ。


《ふむふむ。確かに、お手玉になろうと思えば、なれるけれど……》

《にゃんか誤解していにゃい?》


「終わったな、これで第二ステージもクリアだ」

「ちょ、ちょっと待つのわん」

 あたふたとミロネにゃんの元へ飛んでくるヤカンにゃん。

「違うのか?」

「全然違うわん。元の部屋に戻ってカギを拾ったら、それでクリアなのわん」

「じゃあ、早く戻せ。勝利者に失礼だぞ。

 ……とかいう顔をみんながする前にやるべきだと思うが?

 なぁミアン殿」

「えっ。

 ……そ、そうにゃとも。うんにゃ。確かにそうかも、じゃにゃくて、そうにゃん」

 ミロネにゃんが、ちぃとばかし、怒りを含んにゃようにゃ表情をしているのにゃ。ちぃとばかし、とはいってもにゃ。元々が綺麗にゃ顔立ちにゃけに殊更際立つ。一言でいうにゃら、おっかにゃいのにゃ。加えて突然、話を振られたもんで、しどろもどろっぽい返事をするのが、そりゃあもう精一杯。

 でもにゃ。ここで毅然とした態度をとらねば、ヤカンにゃんにつけ込まれ、またまたどんにゃルールを追加されにゃいともかぎらにゃい。にゃもんで、『手遅れかも』と思いにゃがらも、にゃんとか平静を装って重々しく、こくり、と頷いたらにゃ。

「ま、まぁそれもそうかも、ううん、そ、そうなのわん」

 ウチのがうつったのか、ヤカンにゃんも、しどろもどろにゃ。

「な、な、なぁら、ここも、お、お開き(=ミッションクリア)なのわん!」


《そ、そ、そ、そうなの?》

《にゃんであんたがしどろもどろににゃるのにゃん?》

《老いては子にしたがえ……はっ!

 ワタシとしたことが、なんて不覚な!

 ミ、ミアンちゃん。い、い、今の発言は、な、なかったってことで》

《にゃから、にゃんで、しどろもどろにゃのにゃん?》


「ふにゃん!」

 いきにゃり真っ暗。でもにゃ。直ぐに明るくにゃったのにゃ。周りを見れば、あの懐かしい……ってほど、昔でもにゃいにゃ……黄色一色にゃ部屋。

「戻ってきたにゃあ」

『ほっ』としたウチにつられて、みたいに、ミクリにゃんも、『ほっ』

「やっとね。ここもミッションクリアかぁ。

 ああでも……、肝心要のカギはどこだい?」

「そうにゃ。カギがにゃいと」

 ウチらは、きょろきょろ、と床を見回す。でもにゃ。どこにも落ちていにゃい。

「にゃい。どこにも」とウチ。

「ミッションをクリアしていない、ってことはないよねぇ?」とミクリにゃん。

「でも、ないわ。どうしてかしら?」とミストにゃん。

「ミステリアスな世界ですね」とミリアにゃん。

「本当にないなら、約束違反でありまぁす」とミムカにゃん。

 誰しもが、戸惑ったようにゃ顔……ウチの肩に乗っているひとりを除いてはにゃ。

「あるさ」

 ミロネにゃんはこともにゃげにいう。

「どこ? どこにゃん?」

「君の手元だ」

「ウチの……ふにゃ」

 ネコ人型モードで立っているウチが右手にしっかりとカギをつかんでいたのにゃ。

「ミロネにゃん。一体どういうことにゃん?」

「自分で今いったじゃないか。

 戻ったのさ。君がここでカギを拾った、あの瞬間に」


《本当に、一体どういうことなの?》

《質問はミロネにゃんに》


「にゃら、やるにゃよぉ」

 がちゃ。

 心ときめくカギ開けの瞬間にゃ。カギを回す手にも妙に力が入るというもの。

(ハズレにゃろうか? ううん、大当たりに決まっているのにゃ。

 ミーにゃん、直ぐ行くからにゃあ)

 開いたドアから拡がった世界は。


《はぁい! オールミッション・コンプリート!

 おめでとう、ミアンちゃあん!》

《紛らわしいところで口を出すにゃあ!》


「第八話がやっと終わったにゃよぉ!」

「もしもし、ミアン。

 前回喋ったことと、まるで違うのわん」

「というと?」

「一つ一つのお話が短くなるっていったのわん」

「面目にゃい。短いのはウチの足にゃった」

「あのね。

 ネコの足は短いほうがいいわん。

 胴長短足のほうが可愛いわん」

「というわけでにゃ。次回からはいよいよ、第八話にゃんよ」

「ちょっと待つのわん。

 ネコの足論議はどうなったのわん?

 じゃなかった。

 話を短くする、っていった責任はどうとるつもりなのわん?」

「もちろん、真摯に受けとめてにゃ」

「ふむふむ」

「ミーにゃんに任せるのにゃん。にゃら」


 のっしのっし。のっしのっし。


「ア、アタシ? そんなぁ。

 困ったわん。困ったわん。困ったわんったら、困ったわん。

 ……っていうか、なにひとりとんずらこいているのわぁん。

 行くなら、アタシも一緒に行くのわぁん」


 ぱたぱたぱた。


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