第七話『ネコーターで走るのにゃん!』のその①
第七話『ネコーターで走るのにゃん!』のその①
先ずは部屋に入らねば。ところがにゃ。
ぎぃぃっ。
ドアの正面に顔を向けて立った途端、おトイレのドアとおんにゃじことが。待ってましたとばかりに、あたかも意志あるものの如く開いてしまったのにゃん。
《自動ドアね》
《にゃにそれ?》
《でね。センサーで感知しているの》
《にゃから、にゃにそれ?》
《そうなの。そこが問題なのよ。ねぇ、ミアンちゃんはなんだと思う》
《あのにゃあ》
(さぁてと。どうしたらいいのにゃん?)
本来ここはリーダーのミーにゃんが先頭に立つところ、にゃのにゃけれども、悲しいかにゃ、今はその姿を拝むことすら叶わにゃい。いうまでもにゃく、ヤカンにゃんに身体を乗っ取られたせい。『早く返してにゃ』と文句をいいたくても、そのヤカンにゃん自身すら、どこに行ったのか皆目判らにゃいとくる。ともあれ、このまま、ぼぉ、としているわけにもいかず、ってことでにゃ。リーダー不在の現状をにゃんとか打破しようと、話し合いをおっ始めることにしたのにゃん。
《しょうがないわね。だったらワタシが》
《ミーにゃんに代わってヤカンにゃんとくっついてくれるのにゃん?》
《……んもう、意地悪》
実をいうと、『話し合い』にゃどと呼べるものではにゃかった。
というのも……。
「誰がいいと思うのにゃ?」
そう尋ねた途端、みんにゃがみんにゃ、ウチを指差したのにゃもん。
「にゃんでウチが?」
「なんで、っていわれてもねぇ」
ミクリにゃんが困り顔にゃ。
「君しかいない、っていうか、元々、君だっていうか……。
だよね? みんなぁ」
同意を求めるかのように後ろを振り返るその姿の向こうには、揃って、こくり、と頷く顔、顔、顔にゃん。
(ウチみたいにゃネコにそんにゃ責任を押しつけられても)
ひとりひとりを見回すもこれまた揃って、『自分はダメ』と首のみにゃらず、前足……翅人型は『手』にゃん……まで横に振る始末にゃ。
「ミリアにゃんがやればいいじゃにゃいの」
妄想癖に乗じて、常日頃から自分を長とする同好会をやたらと造りたがるおネコにゃ。にゃもんで、『いい機会にゃのでは?』との意味を込めて誘いの水をかけてみた……のにゃけれども。
「ダメです! こういうマジなのは」
内緒話のようにウチの耳元に口を寄せての拒否回答。
……とはいってもにゃ。みんにゃに聴こえているのは明らかにゃん。
(にゃったら、あんたの同好会はマジじゃにゃいのにゃん?)
皮肉でも一つ、とは思ったもののにゃ。『聞く耳持たず』といわんばかりに前足や首を、ぶんぶん、と前にも増して勢い良く振るさまに、もはやにゃにもいえずじまいにゃん。
(どうやら腹を括るしかにゃさそうにゃ)
「本当にウチがリーダーでいいのにゃん?」
『うん!』
一斉に肯定の返事にゃ。にゃらば、ウチが口にする言葉はこれしかにゃい。
「まぁみんにゃがそういうのにゃら」
拍子抜けするくらい、あっけにゃく決まってしまったのにゃん。
《信望が厚いのね、ミアンちゃんは》
《ウチじゃにゃくてミーにゃんにゃよ。
ミーにゃんの親友にゃもんで、みんにゃついてきてくれるのにゃ。
リーダーとして今まで自分らを引っ張ってきたミーにゃんの力量を、ウチにも期待しているってわけにゃ》
《ミーナちゃんが引っ張ってきたのかしら?
どっちかといえば、ミーナちゃんも引っ張られたひとりじゃないの?》
《それって、どういう意味にゃん?》
《ふふっ。さぁて。どういう意味かしらね》
ウチとミクリにゃんを先頭に二列縦隊。ミストにゃんとミロネにゃん、ミムカにゃんとミリアにゃんの順で、ぞろぞろ、と足を踏み入れたのにゃ。
「にゃんと」
思わず足をとめてしまう光景が目の前に。
「にゃんにもにゃい」
「うん。驚くほどね」
視界に拡がる、がらん、とした真っ赤にゃ部屋。家具にゃど一切置いてにゃいもんで、部屋の色が醸し出すケバケバしさが余計、際立つのにゃ。
いかにも居心地が悪そうにゃ、と思っていたら、突然、ぱっ、と真っ暗に。
「ミ、ミクリにゃん。ウチのせいじゃにゃいにゃよ」
念の為、と予防線を張ってみたら、ためらいもにゃく相手から、
「誰もそんなこと思っていないって」とのお声が。この返事に内心、大いに、ほっ、としたのはいうまでもにゃい。
「にゃら、どうしたのにゃろう?」
「ひょっとすると、ワナかもしれないねぇ」
「どんにゃ?」
「奇遇だね、ミアン君。実はボクもそれを知りたいんだ」
聴いたウチがアホにゃった。
《まさにお先真っ暗ね》
《シャレている場合じゃにゃいんよ》
わけも判らず、途方に暮れるウチら。でもにゃ。それも束の間。直ぐに明るさが戻ってきたのにゃん。……しかしにゃがら、
「どこにゃ? ここは一体?」
《ワタシは誰? も忘れちゃダメよ》
《記憶喪失じゃにゃいもん》
暗くにゃる前の部屋ではにゃい。いや、部屋ですらにゃいのにゃん。
ウチの視界に映るもの。それは。
《ワタシ》
《顔が、どアップにゃん!》
「これがいわゆる『大海原』というものにゃのにゃろうか」
真っ青な空。照りつける太陽(とはいっても普段見慣れている『三連』じゃにゃくて、にゃんとも珍しい一個にゃけの太陽)の下には、満々と湛えられた水の大地が視界を埋め尽くさんとばかりに、ぶわぁっ、と拡がっていたのにゃん。
「でもにゃ。ついさっきまでは、ただの真っ赤にゃ部屋にゃったのにぃ」
おまけにもっと奇妙にゃことには。
ねこんねこんねこん! ねこんねこんねこん!
にゃにやら耳障りにゃ、うるさい音が、足元でがにゃり立てているのにゃん。
「ふにゃ? これは……」
気がつけば、『大型の白いネコ』と呼ぶにぴったりにゃ代物の背中にまたがっていたのにゃ。白ネコの首には赤い色の首輪がはめられていて、その首輪には、これまた赤い色の手綱が取りつけられている。ネコ人型モードで背筋をおっ立てたウチが手にしているのも、まさにこの手綱にゃん。
「おおっ。みんにゃもにゃ」
首を右に回せば、ウチらひとりにつき一体、計六体のネコ型物体が、海面を真っ直ぐに貫く道路上に立っていたのにゃん。
『石造りじゃにゃいの?』と思われるこの道路。幾つもの白っぽい石板を、敷き詰めて、繋ぎ合わせて、といった風に造られている。にゃもんで、石板と石板の繋ぎ目に当たる黒い溝筋にゃんて、さにゃがら模様を描いているようにも覗けるのにゃん。
《幾何学的な美しさかしら?》
《にゃにそれ?》
《知らないわ。一度いってみたかっただけ》
ねこんねこんねこん! ねこんねこんねこん!
うるさい音はどうやら、身体に伝わってくる『震え』がもたらしているみたいにゃ。
(貧乏ゆすりにゃ。このネコ型物体が貧乏ゆすりをする際の音にゃん)
とここまでは看破したものの、あとはにゃあ。全然にゃのにゃん。
「でもにゃんでウチはこんにゃものに?」
他のみんにゃにしても、どうしてかは判らにゃいとみえる。揃って首をすくめ、両手を『へ』の字にするありさまにゃのにゃ。
「ごっほん。それはね。『ネコーター』っていうの。白毛に覆われていて、一見、大型ナマネコにも見えるけど、実は機械仕掛けのネコ。このゲームを走破するのに利用するマシンなのわん」
ウチらの視線の先に突如、声とともにひとりの妖精が現われたのにゃ。
《ワタシの名はイオラ》
《あんたいつから妖精ににゃったのにゃん?》
《妖しげな精霊。略して妖精》
《にゃら、妖しげじゃにゃい精霊は?》
《ふぅぅむ。それも妖精かしら。となると、妖精も精霊も同じ……。
うわっ! これって一大発見じゃないかしら。すっごいわ、ミアンちゃん》
《にゃあ。ヒマにゃの?》
「ミーにゃん!」
「じゃないって何度いわせるわん。アタシはヤカンなのわん」
とはいうもののにゃ。身体の色をを除けば、まさしく姿も声もウチの親友そのまま。
(にゃのに、にゃんでミーにゃんじゃにゃいのにゃあ!)
理不尽この上にゃい。そんにゃウチの不満をよそに、ヤカンにゃんはやや自慢げともとれる態度で、
「えっへん! これ、アタシ、やったことがあるから知っているのわん。
だから、こそっと教えてあげちゃうのわん」と意気盛んに、『ネコーターの動かし方』をレクチャーし始めたのにゃん。
「首の部分に四つ、緑色のボタンがついているでしょ?
書かれてある通り、左から順に、『歩く』『駆ける』『ジャンプ』『とまる』となっているのわん。とまぁここまでいえば判るでしょ? どれかを、ぷちっ、と押せば、そのボタンが点灯。選んだ動作をしてくれるってわけ。難しそうな方向転換だって手綱を引くだけでいいわん。
どう? すっごく簡単でしょ? 以上で説明終わりぃっ! なのわん」
……レクチャー自体は簡単にゃった。にゃって見たまんまにゃもん。
《ついでに自分の操縦法も教えてあげればいいのにぃ。ねっ、ミアンちゃん》
《ミーにゃんを操縦? ごめんこうむるのにゃ。難しそうにゃもん》




