第六話『パンドラの箱をめざすのにゃん!』のその②
第六話『パンドラの箱をめざすのにゃん!』のその②
おトイレ談義は続くのにゃ。
「ナマネコはともかくにゃ。ウチ以外は生まれにゃがらの妖体にゃろう?
おトイレの習慣にゃんてにゃいんじゃにゃいの?」
仲間のみんにゃが一様に、こくり、と頷く。
「にゃら、『ヤカンにゃんもおんにゃじにゃのでは?』と考えるのにゃって、ごく自然のことと思うのにゃけれども」
ウチのいい分に対して、ミクリにゃんは『それはどうかなぁ?』と疑問を呈したのにゃ。「ヤカン君自身の生い立ちが判らないからなんともいえないんじゃないの?
自分とくっついちゃったミーナ君のほうだったらそうなんだろうけどね。
……ってなわけでさ。『百聞は一見にしかず』とか。じゃあ、行ってくるよぉ」
「どこににゃん?」
「だから、おトイレ」
「にゃから,どこにあるのにゃん」
「そこに」
「そこに、って……にゃ、にゃんと!」
今の今まで一つしかにゃかったドアが二つに。予告もにゃく向こう側に現われた茶色いドアにはにゃんと、ネコでも判るように、との配慮か、『おトイレ』と大っきく書かれてあるのにゃん。
《ミーナちゃんはワタシの造り子。
でもね。妖体だからといって、おトイレには行かないとはかぎらないわ》
《にゃんで?》
《うぅぅん。特にこれって理由はないのだけれど……、
とにかくおトイレがあるなら、行こうとはすると思うの》
《そこに山があるから、みたいにゃもん?》
たったったったったっ! たったったったったっ!
ミクリにゃんは急ぎ足でおトイレのほうへと突進。でもってドアの前に着くや否や、
ききぃっ!
急ブレーキにゃん。
「これは……ふむふむふむ」
ミクリにゃんってイマイチ行動が読みにくいのにゃん。『にゃにをそんにゃに急いで』と思っていたら、今度は、ドアの前で首を傾げ始めたのにゃもん。
(本物のアホって、みんにゃ、ああにゃのにゃろうか?)
アホについての研究にいそしむ中、当のネコが不意に、こちらを振り向いたのにゃ。
「ねぇ、ミアン君。
『おトイレ』の文字の下にさ。小さな字で奇妙なことが書かれてあるよ」
(奇妙って、あんたが一番奇妙にゃ)
おトイレが今回の事件を解決する手がかりににゃるとはとても思えにゃい。でもにゃ。友にゃちに声をかけられて無視するわけにもいかず、かといって、『どれにゃん』とそばに行くのも面倒。にゃもんで、その場で尋ねてみることに。
「にゃんて?」
「それがさぁ。『ここはおトイレであってそれ以上でもそれ以下でもない』だってさ。
ここって本当におトイレだと思う?」
「あのにゃあ」
ウチは考えるまでもにゃい、喋るまでもにゃい言葉を口にしたのにゃ。
「四の五のいわず、入ってみたらどうにゃん?」
「あっ、それもそうだね。じゃあ、早速って……」
ぎぃぃっ。
にゃんと、ドアノブを回すことにゃく、ひとりでに開いてしまったのにゃん。
「ねぇ。これって『入れ』って意味かなぁ?」
(と聴かれてもにゃあ)
ウチに判るはずもにゃし。大体おトイレの前に居る男子といつまでも話し込む趣味にゃんてウチにはにゃいのにゃ。にゃもんで、
「にゃろう」と適当に返事。でもにゃ。一応、重々しく頷いてはみたのにゃん。
「よぉしっ!」
びゅうぅぅん!
かき消されたかのように、ミクリにゃんの姿は見えにゃくにゃる。
ふと頭に疑問が。ウチは友にゃちのひとりに近づいて声をかけたのにゃ。
「にゃあ、ミロネにゃん。用足しをしたいわけでもにゃかろうに、にゃんであんにゃにミクリにゃんは急いでいるのにゃん?」
「どうしてオレに聴く?」
「ここに居る面子で男子系といったら、ミクリにゃんとミロネにゃんしかいにゃいもん。聴くのは当たり前にゃろう?」
「といわれても、ミクリ殿の心理までは。まぁ強いていうなら、好奇心か。
『見たい』『興味がある』といったところじゃないか?」
「にゃあるほど。かもしれにゃいのにゃあ。にゃんせ、ミクリにゃんにゃもん」
(どうせ、直ぐに戻ってくるのにゃろう)
そう思ってお喋りをしつつ待ってはみたものの、出てくる気配が一向ににゃい。
(にゃにかあったのでは?)
ここは見た目にも旧家と呼ぶに相応しい古びた館にゃ。そら怖ろしげにゃ霊体が現われてもにゃんの不思議もにゃい。そう思った途端、背筋が、ぞおぉっ、と。みんにゃもおんにゃじ気持ちにゃのにゃろう。どの顔にも怖れの表情らしきものが浮かび上がってきていたのにゃ。
《古いといえば、ここも古いわよ。なんせワタシが生まれたと同時に……。
あら、いやだ。ワタシったらなにをいっているのかしら。
ミアンちゃん、気にしなくてもいいわ》
《さりげにゃくごまかしたのにゃん》
そんにゃ緊張感の高まる中、ついに。
「行ってきたよぉ」
とっことっこ。とっことっこ。
『ミーにゃんに次ぐ新たにゃ犠牲者かも』と危惧されていたネコが、平和を満喫している、といわんばかりの、弾むようにゃ軽い足取りで戻ってきたのにゃん。
「ずいぶんと時間がかかったみたいにゃのにゃけれども」
心配顔と平和顔が向き合う、にゃんとも異様にゃ光景。
「いやあ、オマルがね。今まで見たこともないタイプでさぁ。しかもネコサイズなんだ。『これは話の種になる』と確信してね。こう、どっかとしゃがんでさぁ」
「……長居をしていたのにゃん」
必要もにゃいのに、目の前にてわざわざ実演してみせる友にゃち。自然とウチの目は薄焼きせんべいよりも薄く。見れば、みんにゃも一緒にゃ。
「うん。どおぉ? 君も行ってきたら? 結構楽しい」
(みにゃまでいわせずにゃん!)
ぼがっ! ぐさっ! どがっ! ぶずっ!
「な、なんでさぁ!」
ふみふみっ! ふみふみっ!
「心配をかけた理由がオマルに感動したから? ふざけんにゃあ!
さぁみんにゃあ! 遠慮は無用にゃん!」
おぅっ!
んにゃわけで一斉にウチらがミクリにゃんへ襲いかかろうとした、と、その時にゃ。
「痛っ!」
ウチらの剣幕に圧されたのにゃろう。仰向けに倒れたミクリにゃん。その際に発した言葉がこれにゃ。
「ミクリにゃん。あんた、痛覚を開いていたのにゃん?」
「いいや、違うよ。でも……痛いって感じたのは間違いないんだ」
《みんなって不感症?》
《にゃんでそうにゃるのにゃん?》
「当ったり前なのわん」
いつの間にか、ヤカンにゃんが頭上に。でもってウチとミクリにゃんの会話に割って入ってきたのにゃ。
「あなたたちは今、実体化しているのわん。
……ああそれから、霊力も減っているのわん」
「にゃ、にゃんと!」
早速確認してみたのにゃ。とはいっても、暴力を振るったわけじゃにゃい。友にゃちのほおをつねったり延ばしたり、つねられたり延ばされたり、不満がにゃいよう、かわるがわるにゃ。
結果は……、みんにゃがみんにゃ、痛がったのにゃん。
ついでに、とばかり、も一つテストを。ネコ型は前足に、翅人型は手に、霊力を集中してみたのにゃ。ところが……にゃんと、これまた誰もがおんにゃじ。目一杯、力を込めているはずにゃのに、いつもの半分くらいしか手応えが感じとれにゃい。
「どうしてこんにゃことを?」
「無条件に力を使えたら、簡単にクリアされちゃうかもしれないわん。それってカイラからすれば、絶対に避けなければならない事態なの。で、どこの誰であろうと館に入った途端、制限をかけちゃうわけ。もっと厳しくも出来るけど、それじゃあ、『誰もここに来ない』『来なきゃ力を奪えない』『リピーターにもなってくれない』って、『ないないづくし』になるわん。それもダメってことでこの程度に落ち着いたの。判ったわん?
あっ、それから何度もいうようだけどね。アタシがやりたくてやっているんじゃないの。全てはカイラのさしがね。文句や抗議があるなら、そっちにね。
『オールミッションクリア』ともなれば、ひょっとしたら逢えるかもしれないわん」
(とりつくしまがにゃいにゃあ。……でもまぁ、これからは心してかからねば)
そう覚悟するしかにゃい。
でもにゃ。取り敢えずは、『実体とにゃった』ということで、
「ばんにゃあい! ばんにゃあい!」
みんにゃ揃ってばんにゃい三唱。
「ああでも……、実体になれたからって、どうして喜んでいるのかしらね。わたしたち」
ミストにゃんのこの言葉に、『さぁ』と揃って返事したのはいうまでもにゃい。
《子供特有の好奇心ね。ワタシがはるか大昔になくした……おおっ、と。
冗談じゃないわ! 誰よ、そんなこといっているのは!
まだまだ、ぴっちぴっち、なのに、そんなことあってたまるもんですか!》
《にゃにひとりで怒っているのにゃん?》
ちょいと気ににゃることが。ドアを開こうとする寸前にゃ。
「しかし……、いずれにしてもおかしなことばかりだ。
ひょっとしたら、この館、カイラが秘めている『真の力』というのは」
後ろから、呟きともとれる声が聞こえたのにゃ。声色で直ぐにミロネにゃんと知れた。振り返れば、『左手を右肩の脇に挟み、右手の拳をあごに当てて』の考え込むようにゃ仕草。みんにゃの視線が注がれていることには気がついたみたいにゃ。それでも、静かに首を横に振るにゃけで話しかけてくることはにゃかった。
《あら。未来でお喋りしているワタシの存在に気がついたのかしら?》
《にゃいにゃい》




