表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/164

第二五話 作戦

「やったぞ!」

「ひゃほう! 落ちやがった!」

戦闘蟻が五匹とも落ちた。

これ以上無い成果だ。

運搬蟻も半数は落ちたか。地表に残っているのは二十匹ほどだ。

皆で歓声を上げる。

「やったよ!」

「やったっす!」

俺もホー君とハイタッチをした。


「よし。弓隊! 撃ち方始め!」

冷静なタッガさんの号令で矢が放たれる。

地表に残った運搬蟻を狙った攻撃だ。

風きり音と共に矢が飛んでいった。運搬蟻は統率している戦闘蟻がいなくなったからか動きが鈍い。射るにはかっこうの的だ。

「練習通りに組で一匹を狙え。ゆっくりでいい。掛け声を合わせて!」

レイナの言葉に急造弓兵の村人が矢を射る。

「そうだ。素晴らしい! あわてるな。落ち着いて射るんだ」

指導した冒険者が褒めながら自分も射る。

運搬蟻は先導していた戦闘蟻が居なくなって混乱しているようだ。次々に射殺される。

弓隊の攻撃が続く中、タッガさんがチョピヌを見た。

「どうだ?」

「うん……成功だ!……槍が体を貫いて……動けない!……うん効いてるよ!」

上空のラピズから情報得たチョピヌが報告する。

「落ちた運搬蟻どもはどうだ? 穴を掘られたら厄介だ。杭を噛み切られてはいないか」

地中に巣を作る蟻の魔物だ。運搬蟻に穴を掘られて脱出されたり、強い顎の力で槍を噛み砕かれることが心配だった。

「今は大丈夫そうだけど……やはり早めに始末した方がいいかもね」

このまま地表の運搬蟻を掃討してから、穴に落ちた数十匹を矢で始末する。

そうすれば身動き出来ない戦闘蟻だけが残る。

後は穴の縁から神聖魔法の攻撃を毎日続けて弱らせて行く。かなり根気のいる戦いだが、ウィンターゲート作戦の骨子は勝てないカースドモンスターに対して、「時間切れ」で勝利を得ることだ。


地表の運搬蟻で動いているのは一〇匹を切った。そのどれも矢傷を負っている。

「よし。直接始末する。いくぞ!」

「おお!」

ダッガさんの号令で俺達は駆け出した。

弓を置いたレイナもジョシュアも一緒だ。

冒険者達が、弱った運搬蟻に止めを刺していく。

元の世界の蟻の大きさからすると、子牛くらいの大きさがある蟻はそれだけで驚きだが、俺も冒険者となって一年経つ。

それに隣にはレイナがいる。


ステ盾は左手に持った盾の表面に被せるような感じで出してある。こうすれば意識して動かし易い。

矢傷に狂乱した運搬蟻が襲い掛かっては来るが、盾でいなしてから反撃する。運搬蟻の関節を狙って剣を叩きつけ、脚を斬り飛ばした。

続いてレイナがその首を落す。ごろりと蟻の頭部が転がった。

視線の端でタッガさんの斧の一撃が蟻の頭を粉砕するのが見る。黒っぽい体液が飛び散っていた。

ホー君の繰り出す槍が太陽の光にぎらぎらと光っていた。

完全にこちらが優勢だ。

運搬蟻を倒しきったら次は穴の中の運搬蟻を射殺す。

そして持久戦だ。

このまま行けば作戦は成功する。

そう思った時だった。


「くそっ。一匹上がってきたぞ!」

誰かの叫び声に視線を廻らせれば、落とし穴の縁から体に槍と杭が刺さったままの戦闘蟻が黒い体液を撒き散らしながら這い出てくるのが見えた。

杭が折れてしまったのか、土が崩れて傾斜が緩くなってしまったのか。

血のように赤い眼がちらちらと燃えるように瞬き始めた。

俺はレイナの前に出ると盾をかざす。

パシパシと赤くフラッシュがたかれたような強い光。

誰かが地に倒れる音がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ