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第23話 ジェイグさんについて

俺とゾラさんとグリアスさんとジェイグさんによって村は救われた。

村に薬を届けた後、グリアスさんとゾラさんは隠していたジェイグさんの遺体を火葬にしに行った。


ジェイグさんは15年前に護衛依頼の途中で、護衛対象である商人の財産を奪って逃亡した。

もちろん重罪だが事情は複雑だったそうだ。

その商人は密輸をしてた。禁止されている魔道具を隣国へ売っていたそうだ。三人はそれに気がついて密輸商人を衛兵に突き出そうということになった。

証拠を抑えてくるとゾラさんとグリさんに言い残して、ジェイグさんはそのまま居なくなってしまった。

後には密輸商人だけ残された。

密輸品と商人の財産は消えていた。

結局は密輸業者としての証拠もなくなってしまったので、冒険者ギルドは護衛者の財産を奪ったとみなした。ジェイグさんは重犯罪人となった。

その後、ジェイグさんはどうやら遠い国で暮していたらしい。

彼の懐にはレルド達と契約した内容や、彼らが東方の国に居てどこかの傭兵団から追われているらしいなど書かれたメモと、どこかの町の物品預け票が出てきた。


ジェイグさんには賞金がかかっていた。

けっこうな額だ。

ゾラさんとグリアスさんはその分の金は何としても払うから、ジェイグさんをそのまま眠らせて欲しいと俺に頭を下げてきた。

俺は断った。

金を貰うことも冒険者ギルドに報告することも。

代わりにちゃんと話してもらうことをお願いした。

それから俺はジェイグさんにシィーニの町で会ったこと、ブーツを直して貰ったことを二人に話した。

二人とも驚いていたけど「ジェイグ、変ってないなあ」とグリアスさんが言った。

「リョータ。ブーツの礼って言うなら、金額合わないぞ。それに冒険者としてギルドに報告をしないのもな。本当にいいか」とゾラさんに聞かれた。


正直びっくりするくらいの懸賞金だ。

それはそうだろう。冒険者が依頼主の財産を奪って逃亡するなんて絶対に許してはいけないことだ。Aランクになればそういったギルドの掟を破った者を討伐する義務が発生する。Aランクでなくても冒険者として、ギルドの違反者を見過ごすことは違反となる。

でも俺は報告するつもりも、賞金を受取る気にもなれなかった。

「いいえ。ブーツだけじゃないです。最後に助けて貰いました。それに俺まだDランクでしょ。ほんとうに冒険者として認められるのはCランクからって言うじゃないですか」

もちろん屁理屈だ。

襲撃者とはいえ三人殺したことへの贖罪の気持ちもあったのかもしれない。

とにかく俺はジェイグさんの首で金を得たいとは思えなかった。

依頼報酬を全額俺に渡すという二人の申し出も拒否した。

報酬はきっちりと三等分だ。

ゾラさんとグリアスさんは傭兵達の埋葬とは別にジェイグさんを荼毘に付した。

俺はサスレンダ魔呪禍病の初期症状が出始めていて、手伝えなかったけど。


ゾラさんは今日、冒険者の共同墓地に遺灰を納めてきたそうだ。

しばらくしたらジェイグさんが住んでいた町へ出かけるという。

どんな暮らしをしていたのか知りたいから。

傭兵達のことも調べるつもりだと言う。

レルド達は何かの理由で追われていて、ジェイグさんと契約した。

エルストラを横断中に、魔呪禍病にかかって立ち往生していたらしい。

ゾラさんの推測だが、レルド達は近くの村に薬が届くと知って薬を強奪しようと画策したようだ。

罠を作って待った。彼らが体力を失い、病で思考力も鈍りも焦っていたこと。馬ではなく灰色走竜が来て縄を引きちぎったことで完全な伏撃にはならなかった。

偶然が重なって。

そして俺はついに人を殺したわけだ。


「昔な。ある国に、農士ってのがあったんだよ」

ゾラさんがぽつりと言った。

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