55/164
第15話 J
まずいことになった。
傭兵どもの何人かが下痢をしている。
目の充血と肌の色がおかしい。
そしてポーションの効き目が悪すぎる。
魔法薬が効かないとなると、これは魔呪禍病だ。
しかもこの症状。
これは――サスレンダ魔呪禍病か。
彼は運命の皮肉を感じていた。
彼自身は抵抗力があるのかまったく症状が出なかった。
この病気は罹らない者にとっては脅威ではない。
今後どうするかレルド達の意見は割れた。
罹っていない者は病人を放ってさっさと行きたい。病人の方はなんとか治療を受けられる場所へ連れて行って欲しいのだから、纏まるはずがない。
彼は「病人を近くの村か町に連れて行った方がいい。森の中にいるよりも生き残る目がある」と提案した。「残りは先に行けばいい。病気になるならないも死ぬ死なないも運だ。傭兵ならそれを受け入れろ」と。
結局その案は実行されなかった。
レルドのやつが魔呪禍病に罹ったからだ。
彼としては心中複雑だ。
レルドがここで死んでくれれば一番いい。
ところがレルドは体力があるのでしぶとい。
とにかく進路先の情報は必要だ。
彼が近くの村に偵察に行くことになった。
夜陰に紛れて村に忍び込んだ彼は知った。
その村はすでに魔呪禍病にやられていた。




