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序章


 レーベン大陸、東の大国リグレンス。王都リレオン、王城。

 白亜の宮殿が空に届かんとそびえ立つ姿は圧巻。今日も陽光で眩しく光るそれは、国民の誇りである。農作業の合間を縫っては城を見上げ、優しい王殿下がご健康か伺うのだ。

 その宮殿の頂上部、国中を見渡せる時計塔が鳴ると、国民は安心して農作業なりに勤しむ。

 鐘はいつも、国民が愛する王太子が直々に鳴らす。

 今日もありがとう、と。優しい王太子の心が聞こえてくるようだと、皆口を揃えて胸を張るのだった。

 そんな彼は、人々から時計塔の王子と呼ばれる。



「父上! 何をお考えですか、このご時世に勇者を召喚なさるなんて! 魔物も騎士団でさばき切れています、我が国の魔術師は有能です。何がご不満ですか!?」

「まぁ落ち着きなさい、リーズルイド。これには深い訳があるのですよ」

「どうせ大したもんじゃないでしょう!? どうせ隣国のアルナルド陛下に自慢したいとか同盟国のチハル姫殿下とかにちやほやされたいとかそんなもんでしょ、絶対! 認めませんよ!?」

「うっ………さ、さすが我が子……!」

 どうやら図星のようで、玉座にいじけて座る。まだ40代中盤の男で、温和な顔立ち。翡翠色の瞳にくすんだ金色の髪。細い体つきをしていて、どちらかというと文官の方が似合いそうだ。実際、武術は苦手と言っていたからそうなのだろうが。

 王族としては質素な、というか平民の服の上に金の縁飾りがついた深紅のマントを纏うという奇抜な格好をしている。平日はこんなもんだ。今日はマントがあるだけマシだろう。(普段はもろに平民服)

 それに向かい合うように、同じく平民の服を着て腕を組んで仁王立ちをしている少年。王太子である。

 親子揃って平民と同じような生活をしている変人王族。レーベン大陸では(多分別の意味で)有名である。

「ホラ、図星じゃないですか。駄目ですよ、絶対。勇者様だって自分の暮らしがあるに決まっているんです、そう簡単に自分勝手な都合で召喚できません。平和な世界にいる方を呼び出してしまったらどうするんですか! もう少し考えて行動して下さい、父上」

「いや、だってぇ………う~ん、リーズルイドには内緒にしときたかったんだけど…………」

 どうにも煮え切らない王に、王太子は首を傾げた。

 普段なら駄々をこねまくって黙殺するだけなのだが、今日は少し様子が違う。

 頭を抱えて、少々大袈裟に悩んでますポーズを取っている。怪しいというか不気味なのだが、そこは親子。不本意だが黙って待ってやる。

「あのね、昨日聞いた話なんだけど」

 とうとう腹を括ったのか、王が口を開いた。


「魔王が復活しちゃったらしいんだよねッ!」


 早く言って下さい、そんな大事な事。

 これほど父上を殴りたかった事はないと、彼は後に側近にこぼしていたという。



 魔王。その名の通り、魔族・魔物の親玉だ。

 最強にして最凶、破壊を好むと言われており、前代の魔王はレーベン大陸の西側をまるまる滅ぼした。今は未開の大森林となっている。

 魔力が桁外れに高く、世界を破壊するのも可能。

 腕の一振りで万の兵を薙ぎ払い、剣の一振りで大地を亡き者とする。なんて噂もある位だ。尾ひれ位はついているだろうが、相当なものだったのだろう。

 その魔王は、勇者。リグレンス国国王ベールヴァルドが召喚したヤマト・ウヅキによって葬られたと伝説にある。

 リグレンス国が勇者召喚の技術を持っているのはそのせいだ。

 百人の魔術師に加え、王族一人が立ち会う儀式。宮殿の奥に建てられた神殿にある魔法陣に、魔力を注いで術を行使すればいいだけである。

 幼い頃から教育されてきた自分には造作もないことだが、避けたい事態だ、とリーズルイドは思う。

 召喚される〝勇者〟に心当たりがあるのだ。

 しかも彼の性格からして、

『メンドクサイ』

 と一刀両断しそうだ。

(でも、タツキと会えるかもしれないんだ。そういえば)

 不謹慎な事を考えたが、頭を振って浮かんだ考えを打ち消す。彼があっちで幸せに暮らしている事を知っているのだ。不幸ならいざ知らず、それを知ってて召喚することが何故出来ようか。

 もう夕暮れが近づいている。地平線の向こうが赤くなっていくのをぼんやりと眺めて王太子、リーズルイドは溜息をついた。

 鐘を鳴らす時刻が近付いている。

 この鐘を鳴らせば、すぐに夕食となるだろう。父上は早寝早起きはどんな美徳にも勝ると考える人だ。比例して夕食の時間は早くなり、睡眠時間は長くなる。

 寝る前に、魔王の情報でも集めてみようかな、と考えながら鐘を鳴らすべく縄を引いた。



 ゴォーン、と夕闇を告げる鐘が鳴る。

 その音が魔を払う音色になっている事を、王太子は知らない。


 初心者が幼馴染にデータ消された腹いせに書き殴りました。

 とても残念文章でグダグダ続く予定ですが、ここまでスクロールして下さったのも何かの縁という事でよろしくお願いします。

 短くてすいませんでした……次からはもうちょっと頑張ります。

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