第114話 未来
帝都から少し離れた郊外でスィクスス達は円陣を組み魔力を注いでいた。
「皆さん集中して下さい! 私達の魔力が消えたら隊長達が脱出してこれません!」
「わかってるよ! でも、これきちぃー! 角出したらやっぱりダメだよなー!」
「あはは! ダメに決まってるじゃん! セヴンスは情けないねー!」
「うん、エイトスの言う通り」
「支援要員の中では1番脳筋なのにね~」
「うるせーよ3バカトリオ!」
5人が必死に魔力を注ぎ続けていると、魔法陣が光始めた。
「来ますよ!」
目が眩む光周囲を照らし、止んだ後にはマリ達が現れた。
「え? ええ? あ! スィクススー! 他の皆もー!」
マリは景色が変わり本当に移動した事に戸惑うが、直ぐに知った顔触れに喜びの声を上げた。
「陛下、ご無事で何よりでございます。 ですが……何やら羨まけしからんですね。 ルーデウス様に言いつけますよ?」
スィクススの言葉でマリは我に返り、しっかりと握り合っていた手を離す。 ヨハネは笑っているが、ジャックは少し寂しそうだ。
「っ?! これは、違うの! サードに言われて不安だったから……」
「はいはい、皆注目! 直ぐに追手が来ます。 移動しますよ! ジャック、ヨハネ救出部隊はまだ大砦に居るんですか?」
メリーが間に入り、移動の指示を出す。
「かなりの戦闘でしたから、まだ大砦でしょう」
「ぷっ、やっぱりジャックの執事モードは笑えるね~。 さっきの精霊が混ざった奴等も来るだろう、早く行こう」
ジャックとヨハネの話を聞き、メリーは移動手段を考える。
「ヨハネ、2人が広場まで飛んで来た方法は無理かしら」
「ははは、マリ……止めた方が良いと思うよ。 私とジャックでなければ即死してたから」
大砦から帝都まで歩兵の進軍速度に合わせても2日掛かる距離があるのだ。 本当に緊急事態の為にかなりの無理をしたのが分かる。
「よく無事だったね2人共……」
「私は風の精霊に守ってもらったからね。 ジャックは平気なふりしてるが、恐らく肋骨の数本は折れてるよ」
「ジャック!?」
「税務官殿! 貴様、陛下に余計な事を! って、陛下?!」
ジャックがヨハネに掴み掛かろうとするが、その前にマリが心配そうに胸元に来たことでフリーズした。
「スィクスス、頼んでた馬車や馬は手に入った?」
「申し訳ございません隊長、近隣の村を亡命させる際に確認しましたがそもそも村には逃走防止の為か馬は皆無でした」
「仕方ありませんね……走るしか手段無しか。 ちょっと編成を考えます、フィフス帝都の警戒を。 他の戦闘隊員達は周囲を警戒しなさい」
「了解っす」
「「「了解!」」」 「了解さんよ~」
フィフスはスラスラと近くの木に登り帝都の方を警戒し始める。
ファースト達も周囲を警戒しに散らばる。
此処は帝都の正門から暫し離れた場所だ。
フィフスの超人な視力で確認する限り、まだ正門から追手は出てきていないようだ。
「隊長、まだ追手来てないっすけど多分時間の問題っすよー?」
「ありがとう、フィフス。 編成を決めました! 全員再度集合!」
メリーは全員が集まった事を確認し、作戦を伝える。
「これより味方の居る大砦に向けて走ります。 先頭は私、ファースト、セカンド、サードが、間にスィクスス達と陛下を挟んで後方をフォース、フィフスにジャックとキサラギが守りなさい。 道中、馬車の類があれば奪います!」
「「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」」
「了解さんよ~!」
「わ、分かった! 必ず皆で帰ろうね!」
「勿論です陛下」
「またあの精霊が混じった奴等が来たら足止めは任せてくれ」
こうして、14名の壮絶な脱出劇が始まる。
それを追いかけるのはゴルメディア帝国数千の兵士達と精霊人形達に怒れるルミニスだ。
全員で生きて帰ると心に決め走り出したマリだが、心の中では未来予知で広場の映像を見なかった事に一抹の不安を感じていた。
しかし、もう未来は変えられない。
何が待っていようと進むしかないのだ。
良くも悪くもマリが動いた事で変化した未来に向けて。




