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ひまつぶしに書いた随筆  作者: 檻の熊さん
21/21

Fool around(ひょうげる)

 昔の青木雄二さんのマンガ『カバチタレ!』、この作品の実写ドラマの方の改(・)変(・)で、そんな事をやっていたと記憶しております。

 つまり、弁護士というのは「鉄人28号」みたいな者なのだと、善人が操縦すれば正義の味方、悪人が操縦すると悪魔の手先、主題歌にあるそ(・)の(・)通(・)り(・)の存在なんだと。

 実際は弁護士ではなくて行政書士だったか司法書士だったかの方たちの物語だったはずなので、ちょっと違うんですが、たしかに法律の専門家というのは善人の側の弁護をするなら正義の味方みたいだし、犯人サイドの弁護をするならば悪魔の手先の「悪い奴」にしか見えません。

 いえ、その昔、善でも悪でもない事をうたう神(・)というのがいて、解釈次第でそういう存在は悪(・)魔(・)として扱われるんだとか、そんなマンガ(菊池としを作品)がありましたが、本当にそんな感じです。

 大昔のソロモン王に仕えた悪魔たちとかも、そんな感じだったんでしょうかね?

 つまり、「使う人次第」「立ち位置次第」というものです。


 もちろん、弁護士というのは職業ですし、日本は法治国家ですから犯罪者だって裁判無しに刑罰の適応はあり得ません。

 絶対に、犯人側にだって弁護人は必要なのです。

 「悪即斬(シンプルに終わり)」――――――とはいかない。


 いえ、『必殺仕事人』は有名な時代劇ですが、役者の方たちが「殺し屋」という陰(・)惨(・)な(・)イメージの付きまとう役を演じることに強い抵抗感を示したことでも有名な作品で、何やかやで日本人には殺しというのはタブーなんだと思います。

 『NOIR(ノワール)』『Phantom 』他にもいくつか、つまり主人公が殺し屋で殺人を生業(なりわい)にしている作品の最後は、直接殺されたシーンがあってみたり生存が難しい状況でぼかしながら終わってみたり、何がどんなに面白くても主人公たちにハッピーエンドを迎えさせないのがある種の約束事(ごと)なんだろうという作品、けっこう見かけます。

 殺人者が、幸(・)福(・)を(・)迎えたら駄目らしいんですね。

 例えば、戦争に行って帰って来た人とかでも。


 そんなこんなで、弁護士の仕事に絡(から)めて自分らの仕事の話を書いてみようと思ったのです。

 獣医師、医師とかでも同じですが、「応召義務(おうしょうぎむ)」というのがあります。

 実は私ら、「仕事を断ったらいけない」という職業です。

 つまり、「診察してくれ」、「はい/イエス」という事です。

 「イエスオアイエス」でもいいよ。

 法律に、そういう事が書かれている。

 弁護士は、断ることが出来る所が違う。

 もちろん、「風邪を引いて100度の熱を出している」といった「正当な理由」がある時は断れますが、「金を持ってない」「踏み倒されたことがある」くらいでは断れない。

 いや、本当にそういう事になっている。

 依頼さえあれば、相当な理不尽であっても「ノー」は言えない。


 何はともあれ、弁護士同様に、いざ仕事を引き受けたならば依頼人が善人だろうが悪人だろうが関係なく全力で仕事をすることに変わりは無い。

 医師獣医師、みんなそんな仕事です。

 分かると思いますが、医師が目の前にいるのが殺人犯だからといって、開胸術の最中(さなか)にその心臓にトドメを入れたりはしないのです。

 もちろん、見殺しにしたりも駄目。

 「仕事」とは、そういう物です。


 この関係で、「守秘義務(しゅひぎむ)」という物が出てまいります。

 いちおう、警察なんかに聞かれたら話していいみたいですが、職務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らしたり利用したりしてはならない――――――墓の中まで持っていく内(・)緒(・)ですな。

 具体的には、ある産婦人科医が、診察に現れた人妻に「この子供の父親は夫ではない」ことを告白されて、「これで共犯ですね」とニヤリとやられたとか、そういう話です。

 殺人犯を無罪に持って行ったけれど、実は依頼人が「やった」ことを知っている弁護士みたいな話です。

 あるんです。

 黙っていた方が良(・)い(・)のか、義憤(ぎふん)に駆られて暴露(ばくろ)し(・)ち(・)ま(・)お(・)う(・)か(・)と思うことが。


 近頃は「友達のフリをした敵」という意味で「フレネミー」と言ったりするそうですが、うっかりするとそういう者に自分が成りかねない話、あります。

 冗談でなく、「私が」ではなくて「おまえが」墓の中まで持って行けという話です。

 「おれに聞かせるな」と。

 いえ、SNSの時代ですから、ちょっとしたつぶやきがえらい騒ぎに成らないとは限らず、「守秘義務違反」となれば拘禁や罰金といった刑罰の対象になります。

 私ら、そういう職業です。


 意味もなく、作ったプラモデルの寸評を書いてみたり、ラーメンの写真ばっか載せてる先(・)生(・)のSNSが増えるのは、そんな理由です。

 最近、看護師のSNS投稿で世間が騒いでおりましたが、「分かってない」とあ(・)そ(・)こ(・)ま(・)で(・)やるもんなんだな…と、素直に呆(あき)れました。

 どうせやるなら、違法性を認識した上で人生懸(か)けてや(・)る(・)くらいのイベントだったら、評価も変わったんでしょうがね。

参考文献

病院職員の不適切SNS投稿、なぜ相次ぐ? 最近の入院経験から識者が推察, Jcastニュース, 2026/10/20

←「スマホなどを持っていると反射的にやる」「だから、職場に持ち込ませるな」と,この記事は主張していた.悪くない対策なのかもしれん.

「偉くなったと勘違いする人がいる」高須幹弥氏 相次ぐ看護師の“不適切動画”に苦言…医療現場の問題点も指摘, 女性自身, 2026/10/22

「まじ暇」「つまんねえ」夜勤中に患者を撮影…「患者の尊厳を守る」と学んだ看護師2人が“なぜベッドにスマホを向けたのか”, 東洋経済オンライン, 2026/10/27

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