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ひまつぶしに書いた随筆  作者: 檻の熊さん
16/16

No rice?Let them eat wheat!(貧乏人だから食うんじゃない。糖尿病だから食うんだ)

挿絵(By みてみん)

 写真は、猫の避妊手術前の準備中に撮ったものです。

 いまどき、写真の中に写り込んでいる諸々くらいを用意して手術をやっている。


 機械の古い新しいとか、他にももっと追加するべき機械があってみたり、色々と突っ込み所はあります。

 ポイントは、「これ、写っている分全部で、いくらくらい払ったら用意出来ますか?」というところでしょう。


 10万円くらい?

 30万円くらい?

 50万円くらい?

――――――チャンチャラオカシイ。


 「この程度」で、購入時100万円では足りません。

 300万円の方に近い。

 古い機械も目立ちますから、全て今どきの最新の機械に刷新し、何なら「ちょっと良い機械」も追加したら、400万円程度「以上」かかります。


 考えてみましょう。

 「避妊手術1頭いくら」という話です。

 シーズンになると、料金の問い合わせが結構あります。

 残念なことに、「片っ端から電話入れて一番安かったところに行く」という臭いをプンプンさせている電話があります。

 私は、そういう連中相手に仕事をするのが嫌で、「3万円くらい(もっとかかる)」という事を言っております。

 

 事実、写真の様な準備をして待っていても来ない事がありますから、冗談ではないのです。

 「そんなにちゃんとしないでいい」とか、あり得ない話までしていく方が現れますが、冗談ではないのです。


 「死んだ」「そうか」で終わるのであれば、そうする?

 しかし、「そのように扱われた」と思う飼い主は当然現れるのです。

 冗談ではないのです。

 避妊手術に限らず、手術を安全なものと考えている人は多いですが、その「安全」を何で担保するのでしょうか。

 安全だと思い込んでいるから、「1円でも安く」という発想が出てくるのは理解出来ます。

 その前提が間違っているのです。


 世間で、人間の医療機関でキャンセル料の徴収が始まるとてああだこうだと騒いでおりましたが、とられて当然なのです。

 写真に写っているだけで、使い捨ての「開封後再使用不可」の滅菌パックに入っていた製品が幾つもあります。

 使い回す品にしても、清掃消毒滅菌の手間が無くなる訳ではありません。

 全て、費用が発生しているのです。


 この写真の時の手術は、予定通りに実施されております。

 雌猫の不妊手術で、ノミの寄生が見付かったので同時に駆除も行っての、35,000円でした。

 これで「高い」と思うのであれば、それは「どうか()()()()()安い所に行ってください」としか思わない。

 なぜならば、「そんな面倒な飼い主」は()()()()()()()()()押し付けた方が私が(らく)だからです。


 ネット上、TNRの関係で格安避妊手術の料金が分かるのですが、12,000円くらいの様です。

 こういう料金は、当然、相場よりも安いものです。

 見る人が見れば分かってしまうのですが、「避妊手術」である所までは同じですが、実は同じ内容で()()をしていません。

 例えば、手術器具の滅菌方法を変更したり消毒で済ますとか、使い捨てにするはずの諸々の再使用を行うとか、そもそも用意するべき機械を用意しないとか、「その仕事」だけに特化して他の仕事を一切やらない、手術前検査を省略することも出来るし、仕事を圧縮して人件費や光熱費を節約するなんてのもあります。

 こういうコストカットが出来るのです。

 料金だけ見て「そちら」を選ぶ飼い主の皆々様には、是非とも「そちら」に行って欲しい。


 実は、ビジネスモデルとしてはあちらの方が優れているという話は昔からありまして、あっちの方が仕事はあるし儲かる(当社比)というのは本当なんです。

――――――実は、1999年当時,私が始めた。

 ネットで、当時そういう事をしたのです。


 当時の話で、動物病院への捨て猫対策に悩んでいた私は、「手術料金を安くしておけば、みんな()()だろう」と、自分が開業したときに、不妊手術の料金を限界ギリギリまで下げた料金体系でもって世間にデビューしたのです。

 いえ、借金返し終わって引っ越してからは、一切やらなくなりました。

 もちろん、当時の私は仕事の質を落としたりはしておらず、ただ利益率を下げて料金だけをギリギリまで落とすという企業努力をしていただけだったのですが、何故かその時に私が作った料金体系だけが世間に残り、()()()()()結実したのです。

 なにしろ、よく似た金額でした。

 少なくとも、影響を与えたと思っている。


 ちなみに、こちらが移転の翌々年の2008年に()()()したときの料金ですね。

 まだ消費税が5%でした。

 最終的に2()()3()()(今の料金)で落ち付いた理由ですか?

 事情は色々ですが予約させても来ない人が大勢いた、そして実際の「仕事」の頻度が少なかったので、次第に危機感を持つ様に成り、「なんとなく」料金を上げていく内に経営的に落ち付いた数字がその金額だったのです。

 「ちゃんと病院を使ってくれていたなら」、こういう料金でもよかったんですよ?

 なにしろ、移転前はこれよりも更に安い料金で()()()たんですから。

 雄猫の去勢手術なら、5,000円でしたか。



<去勢手術>当日退院の場合。

ネコ       8,000円

イヌ5kg未満  8,000円

10kg未満   9,000円

15kg未満   12,000円


<避妊手術>当日退院の場合。

ネコ       11,550円

イヌ5kg未満  13,650円

10kg未満   15,750円

15kg未満   18,000円



 動物病院は斜陽産業、その経営基盤はニンゲンの病院に比べると脆弱で、どもならん。

 ところが、ニンゲンの病院こそ倒産が相次ぐ時代になりました。

 高齢で勇退というか自主廃業というのとは、訳が違う。

 本当に、先週まで院長先生していた人がコンビニでレジを打っている。


 病院が倒産している時代に経営を考えない経営者はいない。

 倒産前提の滅私奉公を「医は仁術」なんて言っていたのは、前時代の遺物だと思っている。

 収支が合ってこその経営で、そうでなくてはどんな医療が継続的に提供されるというのか?

 世知辛(せちがら)いけれど、近頃はそんな事を言うしかない時代に成っちまいましたね。


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