神座闘争 13
確かに、博士の言う通りならば、合点がいく。
きっと、ワールド・ルーラーも、魔王残党軍も、やいち達流星の勇者が来ることを前提に、数十年前から準備をし、常に動向を気になっていたのだろう。
故に、やいち達の周囲で問題が起きるし、誰もがどんな奴なのかを確認しに来たのだろう。
しかも、死なないように、でも身勝手に動かぬように……慎重に何も知らない我々を手のひらで操ろうともしている。実際、既に手駒のようにされているのかもしれない。
「……クソッ、それはそれでイラつくぜ…」
「でも、ブライハの言う通りなのであれば、早く私たちはここから逃げた方が良いんじゃないか?そうすれば、神座を召喚するための力は足りずに、このまま空白地帯での騒ぎは収まるはずだろ?」
再び博士が今回の事件の核心を突くような質問をしていく。
「確かに、俺もそうすべきだと最初思った、だが、奴らは流星の勇者ばかりを意識していて、他の事に目がいっていない。故に、今回、神座の降臨に成功しようが、しなかろうが、最終的には全て丸く収まる結果になるはずだ」
「というと?」
「私はワールド・ルーラーに色んな情報を与えたと言っていただろ?それには、神座の降臨条件だったり、代行者に成れる者とは何かだったり……でも、タダで教えていたわけじゃない。こちらも色んな情報を教えてもらったり、色んな物を仕入れてくれたりしてもらったよ。そして、今回の魔王残党軍の作戦にある人物を投下させてもらったよ」
「ある人物……?」
「それが―」
ブライハの声を掻き消すほどの爆音が遠くで轟く。
一体、何が起きたのか、皆最初は分からなかったが、すぐにブライハだけが理解する。
「ほぉ、やはり彼は盤面の外からやって来た異物のようだな……」
この魔樹林を出れば猛吹雪で視界が悪い。そんな魔樹林の外からでも見える真っ赤な世界が遠くにあるのを皆が確認する。
(何だ、あの赤い光は!?魔力も感じる……ん?この魔力の雰囲気、何処かで感じたことがあるぞ?)
一体、何処で感じた?
妖国?栄華?いや、それよりも前……旅にすぐに出て魔獣と戦った時が最初の出会い……まさか!
「キコツか!?」
「そうだ、彼は面白い存在だ。彼はワールド・ルーラーも、魔王残党軍の計画にも無い、しかし、世界と深い関わりを持つイレギュラー……彼がこの場に加わるだけで、面白い事が起きるぞ。さて、まだまだこの世界の真実を語り切っていないが、こちらも動かないといけない。さぁ、再び北へ向かうぞ!」
「……とりあえず、今はアンタについていってやるよ。ナナシの件もあるしな!」
やいちはやはり完全には信用しきれないと思いながらも、確かに今は前へと進むしかないと思い、北へと再び歩き出す。




