神座闘争 12
世界は無限に存在している。他の世界の事を我々はいろんな呼び方をする。異世界、別世界、パラレルワールド……。そして、それら世界は上下に並んで存在している。
この並びには規則性が無いと思われていた。しかし、ちゃんと理由があったのだ。
それは、世界の完全性。
その世界が未完成であればあるほど下へ、完璧に近ければ近いほど上へと存在している。故に。やいち達のような上界人は下界で活躍することが出来る。
下界の者たちに比べ、より完璧に近い知的生命体であるためだ。
何故、このように未完成の世界で溢れているのか。それはまだ究明出来ておらず、この世界全てを創造した神に問うしか知る方法は無い。
そして、下に在る世界たちは、未完成という問題を抱えているため、既に崩壊しかけている、また既に滅んでいる世界が多い。
しかし、世界もただ存在しているわけではない。実は、世界には意識があるということが分かった。まるで一個の生命体のように、世界も生きているというのが発覚したのだ。さらに、その世界の中に住む人間は生物における細胞のような役割を持っているということも分かってきた。
やいち達が今いる世界は自分が滅亡しないように、ある対策をした。
それが代行者。
細胞の中から優秀な者に世界を支配する権利を与え、滅ばないように内側から制御させる。これが、代行者の仕事。
「そして、今代の代行者が神を名乗って世界の力を悪用している。神の目的は知らないが、人々の記憶や歴史を神の力で改竄させたり、障害にあるもの全てを破壊している。私と私の友で造り上げた覇国エルドラも、奴の障害となったから破壊されてしまった……」
「世界の代行者……それが神の正体、か。なるほど、であれば、魔王を倒した勇者が、神に反乱して、殺された、理由が…なんとなくわ…かった……」
博士は自力で文献を読み漁り、研究を繰り返して近づこうとしていた真実に急にたどり着いたことで少し思考が追い付けなくなりかけていた。
「おい、大丈夫か、博士?」
格闘家が心配で声をかける。
「ナウローディング。ナウローディング……」
「ダメだ、こりゃ」
「神の正体だが、まだはっきりとはしないが、なんとなく分かった。だが、それが俺たちの何の関係がある?俺たちは別にこの世界自体に興味は無い。救いに来た、と言うほど俺たちは強くないし、傲慢でもない。さっさとみんな無事に集まって、元の世界に帰られれば、俺たちも邪魔しないっていうのに……」
「それには、『条件』が深く関係している」
「条件?」
「ああ、まず、神もとい代行者に成るための条件……それが世界に選ばれるほどの、神と呼ぶにふさわしい何かしらの才能を持っているか、どうか、だ」
「才能?ただ力を持っているわけではダメなのか?」
「そうだな、例えば人並以上にずば抜けた戦闘力があったり、一発であらゆる物事を記憶するとか……どんな問題も暗算で一秒以内に解く、とか、まさに神にふさわしい才能だろ?そういう奴らが世界に選ばれる。無論、ずば抜けた何かを持っていた所で、確実に選ばれるわけではない。世界を滅ぼさないように制御する存在を決めるのだ、強いがその代わり馬鹿だったり、魔力量が無かったり……頭脳、筋力、魔力量、全てが人並あれば問題ないとは思うがな」
「それで?それがどうやって俺たちに繋がってくる」
「ここは繋がってこない、関係があるのは次の問題、神座だ。これに座ることで、世界から代行者にふさわしいか、ジャッジされる。そして、神座を呼び出すためには、代行者に成れる者、多大な魔力、この二つが新たに必須条件になるのだが、この中で『魔力量』が問題だ。これはどんな一人分の魔力では決して呼び出せない量が必要になる。最も最後に神座を呼び出した魔王も、一人では呼び出せず、魔力量が多い兵士二千人でやっと神座召喚出来たというのだから」
「そうか……電気という全く異なるエネルギーを持ち、世界でも優秀である魂を持つ我々上界人を用いて神座を召喚しようというのが奴らの狙いか!?」
ローディングし終わった博士が、一体自分たちが彼らの計画のどのような役割を果たしているのかを理解する。




