ノースエルフ連合 4
「アルザメントと、シリウス……なんでお前らがここに居るんだ!?」
「そりゃあ、俺たちはワールド・ルーラーだからな。ここで少し事業をしていたのだよ。それよりも、何故ジョウキリとシンの国境で死んだはずのお前が遠いトルヴァ―なんかで生きているんだ?見間違いかと思ってつけてきたら、案の定、本人で俺たちが驚かされたぞ」
こうしてアルザメントが説明している間にも、拳銃を拾いなおし、銃口を向ける。無論、何も知らないジルデイルだが、只者ではないというのがトゥリストの言動から読み取り、より一層警戒している。
「おいおい、確かに俺たちとお前は敵かもしれない。だが、今争う必要はないだろ?お互い、目的があり、計画があり、そのための予定がある。予定にない争いをされたら、お互い困る……」
分からない道理ではない。しかし、それでも信用して武器を下げろ、というのには無理がある。
「まぁ、良いさ。拳銃なんて、俺らからすれば、おもちゃのようなものだからな。死なないことは分かるだろ」
アルザメントはともかく、エルフであるシリウスは確かに殺すことは不可能だろう。錬成術によって改造された肉体、そこに魔力が加わることで、その少女の姿とは考えられないほどの超人的なパワーを持つ彼女は弾丸如きで倒すことなどありえない。
「……まぁ、良いだろう。一応、武器は降ろしておいてやる。しかし、もう一度言うぞ?なんで、お前らはここにいるんだ?事業とか言っていたが…もしかして俺をジョウキリから追ってきたわけじゃないだろうな?」
あのワールド・ルーラーのことだ。トゥリストが生きているという情報を何処からか入手し、常に遠くから観察していたのではないか?と考える。
「なわけないだろ、だとしても、俺が直々に追わないよ、事業っていうのは、このNEUの反発国に武器をジャンジャン売って、組織の資金を稼ぐためにきたのだよ」
なるほど、確かに冷静になれば、思いつく事だ。
人を殺す武器を売って、反乱を増長させていることで良い思いをしていることにかなり怒りが沸き立つは話ではあるが、しょうがないことだとも言える。
儲かることが分かっているから、仮にワールド・ルーラーが現れなくても、何処かの商人がやっていしまっていただろうし、多くの人が求めているからこそ、大量に売れるのだ。
ほぼ無関係と言っても良いトゥリストが、どうこう言おうと解決しない話だ。
「じゃあ、俺の所に来たのは偶然ってわけか?」
「だから言っているだろ?死んだはずのアンタが生きていたから、俺たちは気になって追ってきたんだ。もしアンタの事を見ていなかったら、事業は部下に任せて、今頃俺たちは空白地帯へと行っている」
「何、空白地帯に行っている、だと?」
なんて偶然だ。
自分の向かっている場所が、アルザメントの目的地であるとは……。
「どうやら、その様子。口ぶりからして、トゥリストも空白地帯に向かっていたのか?」
「ああ、だが、おれはその先の妖国に用がある」
(なんてことだ、これも奴の……。いや、そこまで世界に影響を与えることが出来るのだろうか、あの神は…)
「何をボソボソと喋っているんだ!?」
少し表情が変わったアルザメントへ再び銃口を向ける。だが、それに対抗するように、シリウスも銃口を向ける。
「言った…敵対、するつもりはな、い。さ…っさと銃を、ひっこめ、…ろ」
「……ああ、そうかい」
大人しく銃を懐へと戻す。
「さて、もうお前に用事は無い。また空白地帯で会うことがあるかもしれないな、じゃあでは」
そう言って、アルザメントとシリウスは何処かへと立ち去っていく。




